第六話 別れ話
*優子の相談を引き受けるかどうか?直也は返事をどうするのか?それと、晴美との別れ話を来週に控え、落ち着かない直也である。優子も直也が晴美との事で大変な時に、自分の相談を聞いてくれた直也の優しさに申し訳なく思いつつ、直也に頼ることしか出来ない優子であった。
返事を出す朝を向かえた直也と返事を貰う優子は、お互いに不安定な気持ちを頂きながら、仕事に向かうのである。直也は仕事をしながら、優子への返事を考えて、気乗りはしなかったが、引受ける決意をした。
*直也は、約束の時間23時に優子へ電話をする。
<直也>
・優子へ電話してワンコールで切る。
<優子>
・30秒後優子が直也に電話。
<直也>
・直也が受話器をとる。「優子さん」?「こんばんは」直也です。
<優子>
・「直也君こんばんは」仕事で疲れてないの?大丈夫?
<直也>
・大丈夫。疲れてないよ。優子さん早速だけど、昨日の返事だけどさ。色々考えたけど、俺が、彼に話す事で優子さんの立場が悪くなるよ?本当にそれでもいいの?
<優子>
・うん。いいよ。私の立場はどうでもいいの。ただ心配なのは、直也君が彼に怒られるよね?関係ないだろって?
<直也>
・俺の事心配?彼に怒られるから?あのさ~。俺の心配はいいよ。
優子さんが自分で聞けないから俺に頼んだんでしょ?だから気にしなくていいよ。
プライベートな事に第3者の俺が口挟む事ではないから、怒られるのは目にみえるよ。
だけど、はっきりしない彼が悪いだろ?乗りかかった船だから優子さんの代弁してあげるよ。
<優子>
・ありがとう。お願いします。
<直也>
・引受けるにあたり、1つだけ条件があるけどいいかな?
<優子>
・何条件って?
<直也>
・晴美との別れ話を来週会ってしないといけないから、それが終ってから、優子さんの相談を引受けるという事でいいですか?さすがに俺も同時に2つもこなす自身がないから、1つずつ片付けたいんだ。いいかな?
<優子>
・もちろん。直也君の優先順位で、私の方は、晴美と話した後でいいから。
<直也>
・晴美とは、来週10月最後の休みに会う事になっているから、そこではっきり別れようと思うんだ。
だから優子さんの方は、11月に入ってからになると思うど、
それでもいいの?
<優子>
・私の方はそれでもいいので、お願いします。ねえ?10月最後の休みっていつ?
<直也>
・最後の休みは、30日だよ。なんで?
<優子>
・じゃ~。30日の夜に電話してもいい?
<直也>
・いいよ。電話貰った時には、晴美との事は別れて決着ついていると思うから。
その時に優子さんの悩みの段取りを相談しようよ。
<優子>
・うん。直也君も大変なのにごめんね。直也君も疲れていると思うから。じゃ~30日に電話するから。そう話すと優子は電話を切った。
*直也は、1週間後の晴美との別れ話をして、ちゃんと決着を付ける事に専念する事にした。前回の晴美の行動が頭を過ぎり、すんなり別れてくれるかが凄く不安な直也であった。
*1週間が過ぎ晴美に会って話す日が来た。
直也は、前回の晴美の行動を見て、車の中で別れ話をする事にした。
約束の場所は、いつもデートする時に待ち合わせ場所にしていた、神社の駐車場で
11時にしていた。直也は、時間には厳しくいつも15分前には着いて待っていた。
すると、毎回遅刻してくる晴美が、10時50分に来て、直也の運転席の窓を2回トントンと叩いた。
直也は窓を降ろして、晴美に助手席にのるように話し、晴美は、頷いて、ドアを開けて助手席に乗った。
*直也が晴美に別れ話を切り出そうとした時。
<晴美>
・この前は、ごめんなさい。私どうかしてたんだ。急に別れ話されてさ。
何が何だから分からなくなって、「死ぐ」なんて言ってあんな行動とってしまって
本当にごめんなさい。別れるなんて冗談だよね?
(晴美は助手席で下を向きながら、反省している様子で話す)
<直也>
・別れ話は、冗談ではないよ。ごめん。俺と別れてくれ。
(直也は、ストレートで気持ちを話す)
<晴美>
・理由は何?説明して?好きな人でも出来たの?
(声を少しふるわせながら直也に問いかける)
<直也>
・好きな人はいない。理由は、晴美とは性格や考え方の違いがあると思ったし、それに、時間にはルーズだし、それに晴美のわがままに、俺が合わせる事に疲れたんだ。それに自分の思うように行かないと、すぐ機嫌悪くなるでしょ?
(直也は我慢せず、自分の気持ちを晴美に伝える)
<晴美>
・私の事嫌いになったの?悪いところ直すから、もう一度だけ考えてもらえない?
<直也>
・晴美。ごめん。もう無理。
(晴美の方は見ず、運転席で遠くを見ながら首を横に振る)
<晴美>
・私が直也の事どれだけ好きか?分かってないの?この前もあんな行動とった意味が
直也は分かってくれないの?
(晴美の目からは、涙がボロボロ落ちてくる)
<直也>
・逆にこの前の行動で、俺は晴美と別れる事を決断したんだよ。
(左目で晴美の涙をみながらも冷静に話す直也)
<晴美>
・いくらお願いしても戻る事は出来ないの?考え直す事も出来ない?
<直也>
・無理だ。もう戻る事はないし考え直す事もない。別れてくれ。
<晴美>
・晴美は、10分くらい下を向いてずっと泣きながら無言でいた。
*晴美が突然助手席のドアを空け降ようとした。直也はまた前回のような事がと・・。頭を過ぎり、降りる寸前に晴美の右手を掴んだ。そしたら、晴美が直也もうわかったから、この前のような馬鹿な事はもうしないからと言った後に、今までありがとうと泣きながら話し、掴んだ右手をはらって、晴美は歩いて帰って行った。
直也は、泣きながら帰って行く晴美のうしろ姿を見届けることしか出来なかった。
すんなり晴美が納得した事に、直也は少し不安あったが、思っていたより、ゴタゴタにならなくて良かったと思うのであった。
*直也は晴美と別れた。優子との電話の約束も今日の夜。
優子の相談が・・・。どんな方向にいくのか?




