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身長差50cmの恋  作者: Last Life
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第五十六話 両親からの言葉と人生の分岐点

*直也は、優子の両親への挨拶に向かい、悪天候の中無事に優子の実家に到着し、お父さんへの挨拶が刻々と迫る中、緊張がマックスになってきたのである。

人生の中でこんなに緊張する事は、本当にあるだろうか?優子も自分の両親に合わせる事の緊張は計りしれないのである。しかも優子には、心の奥底に、元彼の時を連れてきたときの悪夢がどうしても残っていたのである。相手は違うし、大丈夫と何回も自分に言い聞かせていたものの不安がないと言ったらうそになる。現在自分の脇にいる直也を信じて、お父さんが着替えて来るのを待つ優子なのである。

優子のお母さんが、茶の間に先に来て、座って「今お父さんが来ますから」と話されてすぐ、お父さんが茶の間に入って来て、お母さんの脇に座った。

直也は、テーブルから下がり正座した状態で、挨拶する。


<直也>

 ・はじめまして、優子さんとお付き合いさせて頂いております直也でございます。

  今日は、お忙しい所お時間を作って頂きまして有り難うございます。


<お父さん>

 ・「優子の父です」いつも優子が世話になっているようで。

  疲れるから、足崩しなさい。それと、隣に居るのが、母さんだから。


<お母さん>

・優子がいつもお世話になっております。どうぞ足崩してください。


<お父さん>

 ・天候悪くて、車の運転大変だっただろうね?山の天気は、変わりやすいしね!

  直也さんは、運転の方は、大丈夫だったか?


<直也>

・雪道の運転は、何回かはありますが、視界がこんなに悪い時の運転は、初めてで、かなり緊張しました。


<お父さん>

 ・こんな山奥にしかもこんな悪天候の時に、わざわざ来てくれて、すまなかったね。

  スキー場は、ここから、10分も走るとあるのだが、直也さんは、スキーはするのかね?優子は、スキー場は近いが、スポーツは、まるっきり駄目でインドアのこたつでみかん派だからな?弟の晃と言うのが居るのだが、そっちは、スキーの指導員を持つくらいのきちがいで、優子とは全然違うんだよ!

<直也>

 ・スキーは、趣味で多少はしますが、初心者に毛が、はえたような感じです。

  えっ?優子さんは、スキーしないのですね?初耳でした。弟さんが、そんな上級者なのですね?今度教えてもらおうかな(笑)お父さんは、スキーはしないのですか?


<優子>

・お父さん酷い~。確かにアキちゃんとは違うけど、こたつでみかん派の言い方は、ちょっと言いすぎだよ~(笑)


<お父さん>

・あっ?優子すまん!すまん!

 私は、スキーはしない。スキー場でのバイトは前にしていた事はあるのだが、どうも板2枚に乗って滑る事は私には無理のようだ。幼い頃は、ちょっとはしたのだが、むいていないようだ。直也さんは、お酒は飲むのかね?


<直也>

 ・お父さんは、スキー場の方でお仕事はされていたのですね?私は、お酒は飲む事は飲みます。お父さんは、飲まれるのですか?


<お父さん>

・酒は、昔は朝方まで浴びるほど飲んだよ!でも身体壊してから、多少たしなむ程度だ。近所で会合とか寄り合いとかの酒の席では、コーラで相手最後まで参加しているよ。


<お母さん>

 ・話の途中で悪いけど、お父さんそろそろ、夕飯にでもしませんか?

  優子、ちょっと手伝ってという。


<お父さん>

 ・そうだな。優子はお母さんと一緒に夕飯の準備を手伝ってあげなさい。

  直也さんすまないね。今準備させるから~。


<優子>

・「うん」分ったと、立ち上がり台所の方に向かおうとする。


<直也>

 ・あの~。その前に、ちょっと・・・。

<お父さん>

 ・優子。ほら、お母さんの手伝いしなさい。


*直也は、挨拶するタイミングを逃してしまう。心の中で、「どうする」俺?

 まさか、食事頂いてから、挨拶するなんて事はちょっと違う?

 いや~。足はしびれるし、それに直也は汗かき!茶の間には、スートーブが焚かれて

 いるし、スーツ着てきたし、緊張してネクタイで首が絞められている感覚で、額から汗

が流れてくるし、ハンカチで何度も何度も汗拭くありさま!

直也は父との会話をしながら、やはり食事をご馳走になる前に、ちゃんと挨拶しようと

心に決めるのである。

 食事の準備をする為、優子もお母さんも茶の間と台所の往復であっと言う間に、テーブルにはご馳走が並んだのである。お寿司も?この時、直也が思い出した。優子が前に言ってた事を、実家でお寿司が食卓に並ぶ時は、大事なお客様が来た時と、大晦日だけと聞いていた。お寿司が並んだ事で、直也は、緊張は変わらないが、少なくても歓迎はされていると少しだけ安堵する直也。それなら、尚更の事、お母さんが座ったら、挨拶をすると再度心に決める。

 

 夕飯準備が、終わり優子が、直也の脇に座りお母さんが、グラスを4つ持ってきて、

 お父さんの脇に座った。直也さんこんなのしか準備出来なくて、口に合うかどうか分からないけどと言いながら、グラスを手渡すお母さん。

 じゃ~頂くとしますかと父が話したとき!

 直也が、もう一度正座をし、背筋を伸ばして、こう話かける。


<直也>

 ・ご馳走になる前に、お父さんとお母さんにお話があります。

  少しだけ私にお時間下さい。お願い致します。と頭を下げる。


*お父さんとお母さんもテーブルから少し下がり正座する両親。


<直也>

・「お父さん・お母さん」優子さんと結婚させてください。一生大事にして必ず幸せに致しますので、私に優子さんを下さいと直也は、正座をしながら、頭を深々とさげる。すると・・・・。


<お父さん>

 ・頭を上げて下さい。直也さん娘を頼みます。と一言。頭を下げるお父さん。


<お母さん>

 ・直也さん。どうか、どうか優子を宜しくお願いしますと、お母さんの目からは、大粒の涙が・・・。


*後から聞いた話しだが、この時のお母さんの涙は、背の小さな娘が結婚は出来ないと

思っていたらしい。それに優子の背の小さいのは、優子がお腹に居た時に、お母さん

 が転んでしまった事が原因だったようで、ずっと自分を責めてきたようで、この時の

 直也からの結婚の話をされたときに、お母さんは感極まったようだ。またお父さんも、

 優子は、人様とは違う背のちいささ!だから親として、命ある限り、優子をずっと守っていこうと両親で話していたそうだ。


<直也>

 ・お父さん・お母さん「ありがとうございます」必ず、必ず優子さんを幸せに致します。


<お父さん>

 ・優子、直也さんと幸せになるのだぞ。あんまり迷惑かけないようにちゃんとサポートしてあげなさいよ。  


<優子>

 ・お父さん「結婚許してくれてありがとう」直ちゃんと幸せになるからね。

  

<お父さん>

 ・父さんは、結婚反対した覚えはないぞ?


<優子>

 ・だって!父さん!いつも?何でもない(笑)ね?そろそろ、夕飯食べようよ!冷めてしまうよ!お父さん早く!グラス!グラス!コーラでいいのでしょ?


<お父さん>

 ・コーラでいいよ!直也さん!もう挨拶は、終わりだから、足崩して!さあ~

  乾杯しよう!姉ちゃんは、何飲む?直也さんは何飲む?

  母さんは、ビールだな?


 *こうして、直也は、緊張しながらも、優子の両親に、挨拶を無事にこなして、優子との結婚を認めてもらい、第1喚問はクリアー出来たのである。

  この世に生まれ、この世から去るまでの間に人生の分岐点は、何度くるのだろうか?

  人は度重なる分岐点を何度も通過し、成長していくのだと思う。直也と優子にとっても、この分岐点は、あくまでも人生の通過点にしか過ぎない。

  直也も優子もこのまま、トントン拍子に、結婚が進んでいくものと思っていた。だが、人生とはそんなに甘くない。この時、まだこの2人はまだ知らない。更なる壁が立ちはだかるのである。


  



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