第五十三話 1年ぶりの実家への帰省と母への根回し。
*優子は、直也からのプロポーズを受けて、「結婚」のゴールに向けてのスタートを切るのである。幸せの絶頂にある優子は、浮かれる気持ちをぐっと我慢して、週末の休みを迎える事になる。実家に帰る前に、親友の由紀にだけは、「結婚」の報告をしたく、会う約束する。週末の金曜日の会社帰りの夕方に前回相談した、喫茶店で、報告する事にした。
仕事は、定時の17時に終えて、会社の正門で待ち合わせをして由紀と喫茶店に行く。
喫茶店に入り、席につきコーヒーを2人分頼んで、優子が話しはじめる。
<優子>
・由紀ちゃん。この前は、相談に乗ってくくれてありがとうね。私ね。きちんと、彼に、
自分の気持ちをぶつけたよ!ちゃんと結論でたから!
<由紀>
・彼に、ちゃんと話ししたのね?で?結論は?彼にどんな返事されたの?
<優子>
・「うん」彼に話したよ。由紀ちゃんがこの前私に言った通りだった。私の不安な気持ち全部正直に話した。そしたら、黙って話し聞いてくれて、彼からは、俺と結婚してくれるのか?くれないのか?どっちだって聞かれたの!それで、「結婚したい」と
返事したら、俺が聞きたいのはそれだけだといわれた。
<由紀>
・「やったじゃない」優子ちゃん。結婚だね。「おめでとう」
私が言った通り、私よりずっと彼の方が優子ちゃんの事を理解してたでしょ?
彼?何も聞かず、「YES・NO」どっちと聞くところが、かっこいいね?
優子ちゃんの全部がいいのよ!良かった。良かった。
<優子>
・「ありがとう」これも由紀ちゃんのお陰だよ!でも私も正直、彼が「YES・NO」だけで、不安に思っていた事に対して何も文句も言われなかった事に、驚いたよ。
話す前までは、緊張していたのにね。拍子抜けだったよ。
<由紀>
・私は、何もしてないよ。優子ちゃんが正直な気持ちを彼にぶつけた結果だから、良かったね。拍子抜け?贅沢な悩みだよ!これから、どうするの?引越しとかもしないといけないでしょ?
<優子>
・贅沢な悩み?そうだね(笑)引越し?それもあるけど、その前に明日、実家の両親に彼と結婚したい事を話しに言ってくるの。彼がお互いの両親には祝福してもらって結婚したいと言うから、まずは私の実家に挨拶したいと言われてね。
お父さんが、厳しいから、ちょっと不安だけど、お母さんに根回しして話してもらうようにしようと考てる。
<由紀>
・そう?明日、両親に彼との事をね。お父さんが不安?まあ~?娘を持つ父親なら、誰でも嫁には行かせたくないと言うのが世の中一般的のようだけど、でもさ!娘の幸せを願わない親は誰1人いないと思うから、大丈夫!祝福してくれるよ!お母さんに根回し?そこまで必要かな?
<優子>
・お父さんに何て言われても、気持ちは変わらないから大丈夫だけど、たださ!
私、元彼の時に、1度お父さんに嫌な思いさせて、結婚の挨拶とかは、あんまり良く思ってないはずだから、とりあえずお母さんに根回しして、お父さんの反応を見てもらおうと思うの。
<由紀>
・あっ?そうか?元彼の時にね。でも、相手が違うから大丈夫かと思うけどね?
優子ちゃんも何かと大変だろうけど、彼との結婚に関しては、気持ちちゃんと固まってさえいれば、問題ないと思うからさ!
<優子>
・確かに、相手が違うから大丈夫かと思うけどね。彼との結婚への気持ちにもう迷いはないからいいけど、彼の紹介は、元彼で1回経験はあるけど、緊張するよ!
<由紀>
・私には、応援してあげる事しか、出来ないけど、何かまた悩みがあったら、私でよければ、いつでも相談にのるからね。優子ちゃんは、明日がまずは、最初の山だね!
いつもの優子ちゃんで、話せば大丈夫だから。それと落ち着いたら、彼紹介してね。
<優子>
・「うん」とにかく明日、実家で話してくるよ。あっ?彼ね。落ち着いたら必ず紹介するからね。
<由紀>
・無事に上手く行く事を願っているからね。また連絡頂戴ね。優子ちゃんごめん。
私そろそろ帰らないといけないの。また今度ゆっくり会おうね。
じゃあ~ね。明日頑張って!
<優子>
・あっ?ごめんね。由紀ちゃん忙しいのに、また、今度ね。
明日頑張るね~。
*親友の由紀に、「結婚」の報告をした。そして、由紀と会った翌日、優子は、実家に向かうのである。出掛ける前に、直也に実家に行って来る事を伝えて、一晩だけ宿泊して、
明日の日曜日の夕方に帰ってくる事を伝え、出発する。
実家への帰郷は、1年ぶりで、電車とバスを乗り継いで、むかう優子は、移動中に外の山並みの景色が紅葉で綺麗に染まっているのを見ながら、ここまで来るのに色々あったなと考えながら、結婚の新たなステージに立つ第1歩を踏み出すべく、両親の待つ実家へとむかうのである。バスを降りて、実家に着いた優子は、玄関を開ける。
<優子>
・ただいま。「今帰りました」玄関を開けると、お母さんが出迎えてくれた。
これ「お土産」とせんべいの詰め合わせを渡す。1年ぶりの実家は、「ホッ」とする暖かさがあった。
<お母さん>
・「お帰り優子」玄関で、ボーっとしてないで、中に入りなさい。お茶入れるから部屋に荷物置いてきな。
<優子>
・「うん」階段を登り自分の部屋に荷物を置く。部屋は、アパートを借りるとき出て行った時の当時のままだった。綺麗に掃除もされていた。懐かしさも感じながら、着替えて、階段を降りて、茶の間に行く。
<お母さん>
・優子の部屋、当時のままだっただろ?晃がさ、姉ちゃんの部屋を俺が使ってもいいだろ?って、お父さんに言ったら、優子がいつ帰ってきてもいいように、そのままにしとけと言って、聞かなかったのよ。きっと、優子がすぐ根を上げて、帰ってくると思っていたと思うよ。お父さんは、口には出さないけど、優子が出て行ってからは寂しかったのだろうね?昨日の夜、明日優子が帰ってくると言ったら、お父さん何て言ったと思う?会社辞めて、帰ってくるのか?だってさ!思わず、笑ってしまったよ!
いつも冷静なお父さんが、優子の事話したら、とんだ早とちりしてね。今朝も早く帰ると言って、仕事に出掛けて行ったよ。「冷めないうち」お茶のんで。
<優子>
・お父さんがね。やっぱり娘は可愛いのかな?お父さんの帰りは、何時頃になるのかな?それと今日アキちゃんも仕事?
<お母さん>
・そりゃ~。自分の娘は、可愛いと思うのは当たり前だよ。晃は、仕事今忙しくて、毎日夜遅いよ。で?優子。今日帰ってきたのには、何か理由があるのだろ?
会社辞めて、戻ってくるのかい?それとも、お金でも困っているのかい?
突然帰ってきたことに、母は、何か察知していたのである。
<優子>
・えっ?帰ってきた理由?お母さん、鋭いね!「うん」ちょっと、話したい事があってね。先にお母さんに話したいけど、いいかな?聞いてもらえる?
<お母さん>
・鋭い?優子の母親何年やっていると思うのよ!娘の行動1つで、大体は分るよ。それで、お父さんに話せない事なら、やっぱお金?いくら欲しい?困っているのだろ?
お父さんには、内緒にしておくから、正直に話しなさい。
<優子>
・お母さん!私、お金とかは大丈夫だよ!贅沢な暮らしはしてないけど、お金は、大丈夫。それより、もっと大事な相談があってきたの。実は、私ね。好きな人がいて、その人から、プロポーズされたの。私も彼の事好きで、結婚したいと思っているのね。
それで、彼が家の両親に挨拶に来たいというから、その報告に私がきたの。多分、お父さんは、前回の元彼の時の件があって、人が違っていてもあんまりいい印象がないと思うから、お母さんから話して貰って、何とか挨拶できるように、取り次いで欲しいのね。駄目?
<お母さん>
・えっ~~?えっ~~?優子が、結婚?本当に、本当かい?そうか!好きな人から、プロポーズをされたのね。良かった。「おめでとう」優子。お父さんに話す前に、こんな事を聞くのは悪いけど、前の彼のような人とは違うのね?どんな人?
お母さんは、優子を幸せにしてくれる人なら、祝福するしね。
<優子>
・お母さん「ありがとう」私もそう言ってもらうと嬉しいよ。彼は、サービス業で、お店では、副店長。年齢は私より5歳年下で、身長が高く私より50cmも!
性格は、優しい人だよ。相手のお父さんは、公務員でお堅い人らしい。
<お母さん>
・そうかい!今度は、大丈夫なのかい!お母さんは2度目だから、あんまり動揺もしないけど、優子が心配なのは、お父さんが何て言うかだろ?ちゃんとお母さんが、後から、話しておくからさ!だから優子は、お父さん帰ってきたら、普段どおり、お父さんとお酒でも飲んで、普通にして頂戴。明日、優子が帰る前には、お母さんがお父さんに聞いて返事するから。安心しな!
<優子>
・お父さんに何て言われるかな?心配!前回もかなり無理に彼と合わせた感じ出し、それに、お父さん頑固で難しいから・・・。お母さん大丈夫?
<お母さん>
・優子心配いらいなよ。お母さんに任せておきな。とにかくお父さんには、お母さんがちゃんと話すから、お前は、お父さんと普段通に接しなさい。いいね。
さて、もう夕飯の準備をしないといけないね。優子も手伝っておくれ。
*そんな会話をしながら、台所に2人で立ち、夕飯の準備を始めるのである。優子は、お母さんに、彼と結婚の件を話した事により、気持ちは少し楽になったのである。
お母さんを見方につける事で、お父さんに上手く話してくれると期待を寄せる優子なのである。お父さんがどう思うか不安はあるもののここまできたら、悩んでも仕方ないので、あとは明日お母さんからの返事をまつしかないと思うのである。




