表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
身長差50cmの恋  作者: Last Life
51/72

第五十一話 プロポーズと厳しい助言 

*恐怖の事件から1年が過ぎようとしていた。この1年の経過は、直也と優子の同棲期間と同じである。直也は、いつプロポーズを切り出そうか迷っていた。

 そんな時、2人でテレビドラマを見ていてのプロポーズシーンの遭遇。優子からの何気ない問いかけに直也は、ベランダにタバコを吸いにでる。

 普段は、サービス業の仕事で、突然のクレーム対処や会議で上司から数字の質問攻めとか沢山追い込まれる事は、多々ありそういう場面では、難なく返答は出来るのに、自分のプライベートの事となると、どうしても逃げ腰になる。優子の気持ちは充分伝わっている。

 タイミングというのは、本当にあるのだろうか?偶然にも優子がベランダに出た時に、「流れ星」が・・・。「願い事した」・・・。こんな言葉を話されたら、もう切り出すか!

 心に決めて!


 あのさ~。優子。ちょっと2人で深呼吸するか?

 えっ?「深呼吸」なんで?流れ星見て、直ちゃんおかしくなった?

 

 おかしいのは、昔からだぞ!いいから深呼吸するぞ!優子しないなら、俺1人でするからいいよ!

 ふ~ん。変なの(笑)深呼吸をする姿を優子は、首をかしげながら黙ってみていた。

 2回くらい大きく深呼吸をする直也!すると!

 直也は、星空を見ながら、優子にこう話かける。


<直也>

・そろそろ、俺と一緒になってくれないかな?

 俺のお嫁さんになって欲しいな?とても恥ずかしくて、優子の顔を見て話せない直也なのである。


<優子>

・しばらく、間をおき優子は、「ありがとう」直ちゃん。嬉しいよ。本当にありがとうね。

 やっと直ちゃんから、私が一番言って欲しかった言葉、人生の中でこんなに幸せな日はないよ。直ちゃんの気持ち有り難く頂戴するね。

 でも、返事を出す前に、私に少し時間貰っていい?


<直也>

・ん?ん?返事少し時間が欲しい?直也は正直、優子が自分のプロポーズをずっと待っていたに違いない、だから2つ返事でOK出ると思っていただけに、優子の時間が欲しいという言葉に、不安を感じる直也なのである。しかし何か考えがあると感じて、直也は、

 普段どおり、返事は急がないからゆっくり考えて貰っていいからと笑顔で話す。


・優子のこの時の気持ちを直也は知る由もなかった。優子には優子にしか分らない自分自身への葛藤があったのである。何度も挫折し直也に裏切られても自分の気持ちを貫き通して、自分の力で好きな人を取り戻し、その彼(直也)の気持ちを動かした。

 優子も直也が自分の事を大事に思ってくれている事は肌で実感しているのである。

 でも優子は、プロポーズを2つ返事で喜んでいいものか?迷いがあった。

 その迷いとは、自分の気持ちとは裏腹に現実的な事を考えないといけないという事である。こんな背の小さな私と直ちゃんが結婚したら、苦労するだろうな?それに、身長差も50cmもあるし、それに5歳も年上だし、こんな私が本当に結婚していいのかな?

 それに、好きな人の子供だって産みたい。でも私のような背の小さな人が子供うめるだろうか?色んな不安が一気に優子に襲い掛かってきたのである。

 優子は、直也からのプロポーズをずっと待っていた。プロポーズと同じくらい、不安に思い迷っていたのは、自分のコンプレックス。実際プロポーズをされて、幸せはすぐ目の前にある。今までよそ見もせず、ずっと直也だけを一途に思い続けてきた。だからこそ、迷いがここで出たのである。自分の事より相手を思いやる優しい気持ちが逆に時として牙を向いて自分に襲いかかってくるのである。

 人は時として、目標をクリアした瞬間に、力が抜けどこに目標を置いていいのか分らなくなる。本来なら、プロポーズをされて、ここからが本当のスタートになるはずなのに。


<優子>

・直ちゃん「ごめんね」せっかくのプロポーズに水を差す事になってしまって、理由は聞かないで、少しでいいから時間頂戴。近いうちに必ず返事するから・・・。

 お願いね。


<直也>

・わかった。理由は、聞かないよ!自分の人生だから、ちゃんと考えて返事くれたらいいからさ!まあ~。あんまり気にするな!

 


・優子は、最高の形でプロポーズをされて、もう目の前に幸せが手の届く所まで来ていた。幼い頃からずっと夢にみていた大好きな人との結婚。目標達成寸前での不安・迷い、自分への葛藤。何も考えず、好きな人に飛び込んだらいいのにと誰もが思うだろう。

 でも優子は、違っていた。直也が好きだからこそ、自分のコンプレックスとの戦い!

 そんなの気にしなきゃいいだろ!何度も挫折してやっと手にいれた幸せだろ!コンプレックスなんか関係ないだろ!きっと周囲の人が優子の話を聞けば、こんな話が飛び交うだろう!そんな事は、優子にもわかっている。優子本人が、周囲の立場で優子自身をみていたとしたら、きっと同じような言葉を発していただろう!世間は、自分の事でないから、責任も無く面白可笑しく、自分の感情そのままの言葉で話しかけてくる。

 悩み事を打ち明ければ、同情した振りをして、結局は自分の考えだけをおしつけてくる。

 本当に心の底から気持ちが分かるのは、優子と同じ状況にいてコンプレックスがあり、それを克服した人にしか優子の気持ちは分らないだろう!今の現代のように、SNSとかで、悩み相談できたら、どんなに救われただろうか?

 優子には、何でも相談出来る親友の由紀ちゃんがいたのであった。髄一由紀ちゃんにだけは、相談出来る、優子は、直也からのプロポーズとコンプレックスの悩みを由紀ちゃんに相談することにしたのである。


 数日後、優子は、由紀ちゃんに相談があるから、時間作って欲しいとお願いして、会社帰りに喫茶店でお茶しながら、話を聞いて貰う事になった。2人で会社を出て、喫茶店に向かい、席について、コーヒーを頼む2人。


<優子>

・由紀ちゃん忙しいのに、時間作ってくれて「ありがとう」ちょっと相談があって!

 由紀ちゃんの意見聞きたくて・・・・。


<由紀>

・相談って?優子ちゃんどんな相談?

 まさか・・・。彼?また浮気して、女作ったとかの?


<優子>

・えっ?彼が?また女?まさか(笑)それはないよ!でもそうだったら、さすがの私も・・・。

でも、そうじゃないの!相談はね!私この前、彼からプロポーズされたの!


<由紀>

・さすがに、彼も同じ事はしないか(笑)

 えっ??優子ちゃん「おめでとう」良かったじゃない!それで?それで?

 いつ?結婚式あげるの?私にスピーチとか?

 そういう相談か~?緊張するな~(笑)


<優子>

・由紀ちゃんあまりにも、暴走しすぎだよ!私ね!まだ、彼に返事をしてないの!

 相談というのは、色々悩んでいることあって!

<由紀>

・えっ?返事してないの?優子ちゃんが一番待ち望んでいた事じゃない?何をそんなに悩んでいるの?私からすれば、好きな人にプロポーズされたら、2つ返事でOKだすけどな!ちゃんと相談のるから話してみなよ!で?悩みって?


<優子>

・「うん」あのね。彼からのプロポーズ「ずっとずっと」待っていたのね。

 プロポーズされた時、物凄く嬉しかった。それと同じくらい色んな事が頭を過ったよ。彼と出逢ってから、沢山、挫折したし傷ついた。でも私は彼が好き。周囲から何て言われても彼が好き。人を好きになるのに理由ないでしょ?彼がそれを教えてくれたの。

 ずっとコンプレックスに思っていた背が小さい事!私だって、普通に恋愛して、好きな人と幸せになりたい!お嫁さんにもなりたい!ウエディングドレスだってきたい!ずっとそれを夢みてきた!前の彼の時に、結婚寸前までいって、破談!その時、自分と照らし合わせると現実は、難しいのかと何度も挫けそうになった。そんな時に私のそばにいてくれたのが彼。その彼が私のコンプレックスの壁を見事越えさせてくれた。

 そんな彼だから、実際プロポーズされて、本当に私なんかでいいのか?ここにきて自分に自信がなくなってきた。だからどうしていいのか分らなくなってきてさ!

 どうしたらいいだろうね?


<由紀>

・なんだ!そんな事で悩でた訳?優子ちゃんらしくないね?

 って?迷うくらいなら、プロポーズ断ればいいじゃない!ここまで来て、背が小さいから?コンプレックス?だから?何?

 そんな中途半端な気持ちなら、彼に失礼だよ!変な期待を持たせたら悪いから、断った方がいいよ!彼とは別れな!


<優子>

・いくら由紀ちゃんでも、真剣に悩んで相談しているのに酷いよ!由紀ちゃんも所詮人事だからね?私、背が小さくてコンプレックス感じて、悩んでいた気持ちわからないでしょうからね?


<由紀>

・そうよ!私、優子ちゃんの気持ち分からない、それに背が小さくて悩む気持ちだって分らない。いくら友達だって、容易く気持ちわかるなんていえないでしょ?

 でもさ!その気持ちをぶつける相手間違っていると思うよ!私にぶつけてさ、同情でも

 して欲しかった?悪いけど私そんな優子ちゃんは嫌いだな!むしろさ、何度も何度も挫折した優子ちゃんを私は見てきた。何度も彼の事で、たくさん泣いたよね?でも優子ちゃんは、自分の一途な気持ちを貫き通して、彼の気持ちを自分だけに向かせたよね?私は、そんな優子ちゃんをとっても尊敬した。なぜなら、私が優子ちゃんなら、裏切られた時点で、もう終了だし諦めた!でも優子ちゃんは、違ったよね?周囲に何て言われても自分の意志を貫いて、彼の気持ちを動かしたのよ。もっと自分に自信を持ちなよ!今までの努力を無駄にせず、自分の気持ちのままに進んで欲しいな!優子ちゃんの口癖「負けてなるものか」その精神結構好きだけどな!


<優子>

・由紀ちゃん。「厳しい助言」ありがとう。やっぱ!私は私だ!背が小さくても・・・。

「負けてなるものか」精神だね!ちゃんと彼に、自分の不安をぶつけてみる。

 由紀ちゃんに言われて目が覚めた気がするよ!「ありがとう」由紀ちゃん。


<由紀>

・そうだよ!そうじゃなきゃ優子ちゃんじゃないよ!頑張らなくていいから、今の不安な気持ちを彼にぶつけな!

きっとさ、私より優子ちゃんの気持ちは、彼が1番知っていると思うよ!だから、優子ちゃんじゃないと駄目だからプロポーズしたのよ!間違いなく、優子ちゃんの悩みや不安は彼が取り除いてくれるから、ちゃんと話してみな!

 あっ?それと、彼を紹介してくれる約束も忘れないでね?


<優子>

・「ありがとう」由紀ちゃん。胸の奥にひっかかっていたのが、取れた感じだよ。

 お陰で目が覚めたよ。今日帰ったら、彼にちゃんと話すからね。それと正式に彼に返事したら、その結果も報告するね。彼も必ず紹介するからね。


<由紀>

・「うん」いつもの優子ちゃんの素のままでいいのだからさ!私もそろそろ、彼見つけないと、優子ちゃんにおいていかれそうだ(笑)近いうちに彼を紹介してね。


*由紀は優子の気持ちは、充分分かっていた。親友だからこそ、本当に幸せになって欲しいからこそ、厳しい言葉を突きつけた。由紀は両親がいない苦労人。でも決して弱音は見せない。でも、自分の弱さを認める勇気は絶対必要。それは、由紀が1番知っていた。

 どんな厳しい言葉が飛び交っても、お互いに自分の弱さを随一だせる相手がこの2人なのである。それが言葉で交わさなくても通じあえるのが優子と由紀の友情の証なのである。

優子は、自分の苦しい胸の内を由紀に打ち明け、親友に「厳しい助言」を貰い、我に戻った優子は、背中を押されて、由紀に相談した事を直也に、話すことを約束する。

こうして、優子は、アパートに帰り、直也が帰ってくるのを待つ優子なのである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ