第五十話 直接対決! 遂に暴かれる真相と強い絆。
優子が追いかけられた翌日。女子高生と約束した17時に備えて、予め直也と相談していた優子は、16時半に駅の近くの本屋で待ち合わせすることにした。そして、約束の時間の17時には、時間差で、駅の外で改札方面から出てくる人が確認できる場所で待つことにした。依頼女性が自分達2人に気付いたら逃げられる可能性があるので、細心の注意をしながら優子とは距離を置いて待つ事にしていた。
念には念を入れて、16時半に優子と待ち合わせした。直接接触することは避けて、目線だけ合図をして、17時の約束の時間まで距離をとり本屋で立ち読みをするのである。
時計の針が16時55分を指した。直也は優子に目線で合図して、駅の外の公衆電話ボックスの脇で待機した。優子は、直也からちょっと離れた場所で待機するのである。
すると駅入口の時計が17時を指した。直也はいよいよだと!少しだけ緊張が走るのである。どういう状況になろうともとにかく、真相だけは、はっきり突き止めると心に決める。優子も依頼女性はどんな人?と心臓の鼓動が「ドキドキ」し、緊張しているのが、自分でもよく分る優子なのである。
すると・・・・。女子高生と女性が出てきた。女子高生は、公衆電話の方に2人で歩いてくる。その姿を優子も離れた場所から見ていた。直也にも緊張が走ってきた。
直也は、女子高生が電話ボックスの手前でバイト料金を受け取る瞬間に声をかけると決めていた。女子高生が邪魔で女性の顔が分らない。女子高生は、立ち止まりバイト料金をその女性から手渡された。人目があるから、2人とも道路に背を向けた状態であった。
よし!今だと思い!2人に声をかける直也。すると優子も直也の動きを見て、走って直也の元に・・・。2人は道路に背を向けていたので、声をかけられて、振向く2人。
<直也>
・ちょっとすいません。2人同時に、「はい」と言って、振向く!振向く寸前に、優子は、直也の隣にいた。
*すると・・・・。直也も優子も驚いた!言葉が出ず唖然とした。女子高生と一緒にいた相手が、優子の友達の晴美だった!つまり直也の元カノ!2人とも一瞬言葉を失った!その様子を見ていた女子高生は、何が起きたのか? 理解が出来ない様子。
晴美もこの状況に驚き!動揺を隠しきれず、こう話しかける。
<晴美>
・2人ともしばらく!元気そうだね?どうしたの?2人揃って?偶然だね?
こんな所で、驚いたよ!この状況に動揺を隠しきれず、必死にしらばっくれる晴美。
晴美は、なぜ2人がこの場にいるのか把握できてない!
<直也>
・何?偶然だと!惚けんのもいい加減にしろよ!お前さ!女子高生使って何でこんな酷い事をするのや?優子がどれだけ怖い思いしたかお前さ!許さないからな!
<優子>
・晴美!に私何かした?どうして、こんな事?
<晴美>
・2人で何を言っているの?私が何したって言うのよ?
私はただ、女子高生と話しているだけじゃない!2人ともおかしくなったの?この人達関係ないから、もう行こうと女子高生に話しかける。
<直也>
・おい!ちょっと待てよ!お前さ!この場に及んで、まだ、惚けるのか?全部その女子高生から聞いて知っているぞ!学生使うなんてお前最低だな!出るとこに出てもいいぞ!お前がしたことは犯罪だぞ!
<晴美>
・晴美は、態度を一変して、女子高生を睨み付け!なんだ!今の女子高生口軽い!そういいながら舌打ちして!こう話す!そうだよ!私が全部仕組んだことさ!
優子!あんたさ!私が前に付き合っていた、直也とよく付き合えるよね?
直也もさ!優子が私の友達と知っていて手を出したわけ?あんた達ムカツク!
優子は悲劇のヒロインでも演じるの?それに直也も随分優子に肩入れしてさ?
2人とも随分仲がいいのね?
<直也>
・俺達の事は、お前には関係ないだろ!それに、晴美とは別れたあとに優子とは付き合っている訳だし!お前にとやかく言われる筋合いないだろ!何か文句あるなら、女子高生とか利用しないで、直接文句言ってきたらいいだろ!お前卑怯だよ!
<晴美>
・卑怯?何とでもいいな!優子がさ、私より幸せそうにしている事が、凄くムカツクし、腹が立つ!だからあんた達別れなさいよ!そしたら許してあげるから!
<優子>
・晴美!あなた変だよ?昔から、自分の思うようにならないとすぐ、機嫌悪くするし、それに、私が誰と付き合おうが、晴美には関係ないし!それにさ、私より幸せに?
笑わせないでよ!そんなの自分で見つけたらいいじゃない!こんな卑怯な事する晴美に、幸せなんてこないとは思うけどさ!
*女子高生は、3人のこのやり取りを聞いていて、これが大人の修羅場かと思いながら、
内容を聞いて、この場から早く立ち去りたいと思うのである。
その様子を直也が気付いて女子高生に、もう君の役目は終わりだから、帰りなさいと話
女子高生は、頷き、優子に一言「お姉さん、怖い思いさせてごめんなさい」と謝った。
もうこんな事、二度としませんと言いながら、その場から立ち去ったのである。
そして3人になった事で、直也が真相にせまるのである。
<直也>
・なあ~!晴美!お前がグダグダ俺たちの前でいくら、抵抗してもお前が惨めになるだけだし、お前がどんな恨みを持っていようが、俺は優子を守る!だから、もう俺たちの邪魔はしないでくれ!そして二度と俺たちの前に顔を出さないと約束しろ!そしたら、今回の事は、水に流してやる!
<晴美>
・あんたら2人バカだな!幸せになんかなれるはずないだろ!直也!あんた!私を捨てた事、絶対後で後悔するから!優子も幸せになんかなれるはずないから!
精々飯事していたらいいさ!あんた達の顔なんか、もう二度とみたくもない!
<直也>
・こんだけ!文句言ったら気がすんだか?警察に出さないだけでもあり難く思えよ!
それと!お前さ、女子高生だけじゃなく!変な車のオヤジもやとって、優子に怖い思いさせただろ?それも晴美の仕業だろ?
<晴美>
・あ~?あのオヤジ?って?優子の元彼か(笑)私がさ!直也と優子の事言ったら、すぐ飛びついてきたよ!しかしあのオヤジも頭いかれているわ?優子の事、好きだから、嫌がらせするって!自分の思うようにならなくて別れたからだと、怯える優子見て、あのオヤジ喜んでいたよ!
優子は、あのオヤジとお似合いなのにさ!
<直也>
・全部お前の仕組んだ事か!お前も優子の元彼も!同じ穴の狢だな!お前らこそ世に模範となる異常性格コンビだな!そのオヤジにも言っとけ!優子は俺が守るから!二度と変な事するなと!今度何かあったら、ただじゃすまさないからな!文句あるなら正々堂々と言ってこいと!あのオヤジに話しとけ!
<優子>
・もう!晴美!「あんた最低」といいながら、ずっと我慢して抑えてきた怒りが爆発して思いっきり晴美の顔を平手打ちする優子!
<晴美>
・優子!あんた何するのよ!痛いじゃない!晴美は優子を睨みつけて2人ともどうぞ!お幸せに!皮肉っぽく言いながら、晴美の目には涙が!まさか、こんな展開になるとは、思いもしておらず、逆に2人の強い絆に気付かされる晴美は、言葉を失い、「さよなら」と言いながら、駅の改札の方に走って消えていった。
*優子は、晴美が立ち去ってすぐ、今までの恐怖が一気に崩れて、思わずその場でしゃがみこんでしまうのである。それを見た直也は、優子の気持ちを察して、そっと右手を差し出した。すると優子も右手を差し出し立ち上がる。
優子も直也もこれで今までの恐怖から解放されると安堵するのである。
2人が歩き始めると、さっきの女子高生が2人の元に戻ってきた。すると・・・・。
「すいません」お兄さん、私の学生証?返してください!と言ってきた!
晴美が居た事で驚いてすっかり返す事を忘れていた直也は、ポケットから、学生証を取り出し、女子高生に手渡す。学生証を受け取った女子高生は、2人にこう話す。
今回の事は、本当に申し訳ありませんでした。こんな事二度としません。
お兄さんが必死になっていたのは、彼女の為だったからなのですね?酷い事した私が言うのも何ですが、「キューン」としました。お姉さんもこんな素敵な彼に守ってもらえて、とても幸せですね。
それと、私も2人のような素敵な恋が出来るように自分磨きをしながら頑張りますと笑顔で話して駅の改札へと消えていった。
直也は、優子と歩きながら、「やっと終ったな」晴美が黒幕で、優子の元彼まで絡んでいたとは、正直驚いたよ。それに女子高生をバイトで使うとは!
優子の恐怖は並大抵ではなかったよな?よく乗り越えたな。もう大丈夫だから!
本当に怖かったよ!でも、直ちゃんが、そばにいてくれて私を守ってくれた事、何よりも嬉しかった。私も晴美が仕組んだとは驚いたよ。それに私の元彼までさ!
晴美、よっほど、直ちゃんの事好きだったのね?そうじゃなきゃ、普通あそこまでしないよ!
だから、言っただろ!俺はお前を守ると!晴美が?俺をどう思っていようと、今は関係ないし、でも女性の恨みは怖いなと感じたよ!それに晴美より優子が俺を思ってくれているのが強いんだろ?
え~?直ちゃんを思っているのが、私の方が強いと思っているの?
そうよ!女性の恨みは、怖いよ~? それは1番直ちゃんが、知っているじゃない?
何?何?優子の方が思ってくれていると、感じているのは俺の自惚れなの?
そうそう!女性の恨みは怖い!怖い!
(笑)直ちゃん冗談だよ!私は直ちゃんだけしか見てこなかったでしょ?
誰かさんのように、フラフラしてなかったしね?
今回の晴美の行動で分ったでしょ?女性を怒らせるとこうなると?
きっと友達である私にだけは負けたくなかったのよね?別に直ちゃんを取り返した訳ではなかったのにさ!晴美は昔から被害妄想が強いから、私に負けたことを認めたくなかったのだと思う。だから、自分を許せなくて気持ちをコントロール出来なかったようだね?それに、私が晴美に負ける事は、あり得ない!
ったく?冗談かよ(笑)驚かせないでくれよ!フラフラ?それは言わないでくれよ!
怒らせると女性は怖いと大変勉強になりました。今回の件は、晴美が完全に惨めな結果 になったな。
*こうして恐怖から解放された2人は、この事でお互いの心の絆が強くなり、どんな苦難にも耐え、乗り越えられると感じるのであった。
2人は、しばらく直也のアパートで暮らしていたので、事件は解決したものの今更、別々に生活するのが嫌になり、その後1年近くは、優子のアパートは、同棲が親にばれないためのサクラで住んでもいないのにただ家賃と基本料金の光熱費を払っていたのであった。
直也は、同棲も1年近くになり、もう優子の年齢も年齢だし、そろそろ、男として、きちんと決めないといけないと感じるようになってきた。
やっぱり、こういう事は、男の俺の方から伝えるべきだよな?と思いながら、1歩を踏み出せないでいた。仕事では、客商売で人と話す事は苦手ではないのに、中々切り出せない!そんなある週末の日曜日のことだった。
直也が早番で帰ってくると、優子は、いつも通り、食事を出して、ビールを出す。
早番の時は、一緒にビールを飲むのが定番になっていた。
2人でビールを飲みながらテレビを見ていると・・・・。
恋愛ドラマで、彼が彼女にプロポーズする場面が!そのテレビの内容は、彼が彼女と海にドライブに行き、浜辺で彼が彼女に指輪を渡してプロポーズする場面だった。
彼は、「俺と結婚して下さい」と彼女の前に指輪を差し出し、彼女は「はい」と返事をする。場面だった。
その場面でビールを右手に持ち、しばらくの間ピクリとも動かなかった。
すると優子は、直也の方を見て、こう話す。
直ちゃん「いいなあ~」「いいなあ~」「羨ましいなあ~」
ね?直ちゃんと話す。
そうだな!まあ~。ドラマだからな!そうそう!ドラマだしな!
おおよそ!ハッピーエンドがドラマだしな!
え~?直ちゃん!からは、それだけ?後は何かないの?
ね~?直ちゃん!ってば!
ちょっとタバコ吸いたくなったからと、ベランダに出る直也!
ベランダに出ると、タバコに火をつけて星空を見ながら、やっぱりそろそろ、
プロポーズしなきゃ~って?考える直也なのである。テレビドラマとはいえ、
優子もきっと待っているだろうなと感じる直也なのである。
やっぱり指輪も買わなきゃ駄目か?でも?サイズも分らないし、どう調べればいいか
わかんないし、そんな事を考えていたら、直ちゃんまだ、タバコ吸い終わらないの? と、優子がベランダに出てきた!あ~?綺麗な星空だね?
あっ?流れ星?見た?見た?願い事した?私今願いごとしたよ!直ちゃん当ててみて?
*直也は、優子の気持ちをさっちした!もうここまで来たらと星をみながら、直也は、
優子にこう話かける!直也は、ちゃんと切り出せるのか?そして、優子の反応は?
いったいどうなるこの結末!




