第四十七話 三度目の恐怖がせまりくる。
*優子は、2回も不振な車に後を追われて、直也がアパートに来てくれてから、4日目の朝(月曜日)直也は、月火曜日と連休で朝優子を会社に送り、夕方は、会社まで迎えにいった。直也の連休中の2日間は、送迎したので何も起こらなかった。
ここ3日間は何も無かったから、大丈夫かもしれないと思っていた。
優子のアパートに来てから、6日目の水曜日の朝、出勤しようと優子と駐車場の車の所に行った時にある出来事がおきた。
それは、フロントガラスに張り紙がされていた。アパートの管理会社からの注意喚起の文面であった。その内容とは、「この駐車スペースは、来客用で常時駐車する事は出来ない」今後違反した場合は、罰金又は、それなりの対処をさせて頂きますと記載されていた。
その文面を見て、優子?どうしよう?こんな貼り紙されたら、ここに駐車できないよな?どっかあるか?近くに駐車場?
私この辺、良く知らないから、駐車場は分らないよ。どうしようか?優子の事心配だしな。とりあえず、車に乗れよ。会社に送るから。会社に向かいながら、車で相談しよう。
と話、優子を乗せて、会社に向かう直也。
<優子>
・直ちゃん。駐車場は使えそうもないから、とりあえず、3日間は何も無かったから、今日の帰り何も無ければ大丈夫だと思うから・・・・。今日は、直ちゃん自分のアパートに帰っていいよ。私大丈夫だからさ・・・・。
<直也>
・でもさ~。優子本当に大丈夫なのか?万が一やばいと思ったら、近くで誰かに助け呼びなよ。それと、何かあったら隠さず連絡よこしなよ。
<優子>
・わかった。何かあったら必ず直ちゃんに連絡するから。心配かけてごめんね。
優子帰り、注意して帰りなよと話、直也は、会社の近くで優子を下ろした。
*直也は、心配しながらも、ただただ、何もない事を祈るしかない直也なのである。
そんな事を思いながら、会社へと車を走らせる直也なのである。優子も今日の夜は、
直也が来ないから、不安もあるし、それに会社帰りにも不安を感じていたのである。
優子は、17時に仕事を終えて、普段どおり自宅に向かう優子なのである。恐怖感がないと言ったら嘘になるが、ドキドキしながら、自宅へと向かう優子。しかし、今日は何も起こらなかった。直也も心配になり、夜電話を寄越すが、何もなかった事を伝えると
安心したようであった。その後、週末まで何も無く終わり、1週間が過ぎた。
1週間前の恐怖は、何だったのかと?思いながら休日の日曜日を迎える優子なのである。
優子は、先週直也に迷惑かけたから、内緒で直也のアパートに行って、夕飯の準備と掃除くらいしてあげようと思い電車で直也のアパートへと向かった。
駅で電車を下りて、買い物をして直也のアパートに向かって居る時にちょっと変な動きをする車に遭遇するのである。時間はまだ、お昼前の11時過ぎなので、周囲は明るいし、車どおりは多い。そんな時、1台の普通車が優子の脇を通りすぎると、100メートル先でウインカーをつけ停車。優子が近くに行くと、また100メートル進んでウインカーをつけ停車。また優子が近くに行くと、また100メートル進んでウインカーをつけ停車。何かおかしい?と感じた優子は、車が入れない細道に一旦身を隠した。
すると、どこかでUターンしてきたのであろう。反対車線を低速で誰かを探すしぐさをしていた。優子はその車のナンバーを覚えていたので、低速で走る車は、まさしくさっき3回挙動不審の変な動きをしていた車に間違いはなかった。
優子は、陰に隠れながら、反対車線を低速で走る運転者を怖いながらも確認した。
すると・・・・。驚くことが・・・・。
帽子とマスクで身を隠していたようだが、その運転者とは、優子が元付き合っていた、元彼によく似ていたのだ。え?何で?でも、1週間前に後を追いかけられた車と同一車輌かどうかは分らなかった。しかし、間違いなく、今日のあの車の運転者は、元彼だったような気がする。もし本当に元彼なら?今更何の為に?木の陰に身を隠しながら、あまりの衝撃に、膝まずいてしまう優子なのである。恐怖心から、30分くらいそこから動けなかった。誰か分からない相手に後をつけられるのも怖いが、いざ後をつけてくる相手が本当に元彼であるならと思うととてつもなく恐怖が襲ってきた。
30分後、細道から大通りに出た優子は、周辺を確認しながら、今日の事は、心配かけるけど、直也に話そう。そんな事を考えながら最新の注意をしながら直也のアパートに急ぐ優子なのである、直也のアパートについた優子は、鍵を空け、部屋へと入った。
部屋に入った瞬間、さすが、1人暮しの男性の部屋、一言「もう汚い」それともう一言「もう臭い」洗濯も脱衣所にテンコ盛り。布団も敷きっぱなし、台所もあるだけの皿を使って洗ってないし。ぶつぶつ優子は独り言を言いながら、さっき追われた恐怖など、部屋の現状を見たとき一瞬で忘れることが出来るくらいとんでもない汚い状況だった。優子はエプロンをして、まず掃除と洗濯をはじめた。
部屋の現状はびっくりしたが、片付けをしながら、優子は考えた。明日は仕事だが、このまま、夕方自分のアパートに戻るとき、また追われたら怖いから、今日の所は、直也が帰ってくるまで、アパートでおとなしく居ようと思う優子なのである。
洗濯も掃除も終わり、布団も干したし、完璧にこなす優子。
さて~。夕飯はカレーにしようと買い物してきた。夕方までは、まだ早いので、テレビを見て横になっていたら、ついつい寝てしまった。
1時間位は、寝てしまったようだが、目が覚めた後、夕飯のカレーを作り直也の帰りを待つ優子なのである。いつも仕事で帰宅は、23時頃と聞いていたので、優子には帰って来るまでの時間は長く感じるのであった。時計の針が、間もなく23時に指そうとして居たときに、部屋の鍵が空いた。
<直也>
・ただいま。駐車場に車止めたら、部屋に明かりついていたから、優子が居ると思ったよ。
<優子>
・連絡もしないで勝手に来てごめんね。でも合鍵貰っていたから、好きな時にきてもいいと思ったし、それにこの前送迎とかしてくれた御礼したかったから。
<直也>
・「もちろん」優子が好きな時に来ていいよ。御礼って?この前、優子のアパートに行って、送迎したりしたから?そんな事は気にしなくていいよ!当たり前の事をしただけ。それより?凄く部屋綺麗(笑)「ありがとう」
それに夕飯まで?カレー?いや~嬉いっす。
<優子>
・部屋綺麗でしょ?どうすれば、あんなに汚く出来るのか不思議(笑)それにさ、部屋あけた瞬間、鼻曲がるくらい臭かったよ!倒れる寸前だったよ(笑)
仕事忙しいのは分るけど、もうちょっと、掃除とかしたら宜しいのではないかしらね?「副店長さん」これでは困りますね(笑)
<直也>
・そんな?酷かった?でもさ!片付けがいあったでしょ?(笑)
会社ではちゃんと整理整頓できているのですがね。今後も宜しくお願いします(笑)
俺をいじめるのはこれくらいにして、お腹すいたな~
<優子>
・まったく!今後?これからは、もう少し綺麗にしたら(笑)お腹すいたよね。
今御飯にするからさ。
優子は、夕飯の準備をしながら、直也に今日のことを話そうとする。
<直也>
・ところでさ、優子今日こんな時間で、アパートに帰らないのか?泊まっていくのか?
って?また何かあっただろう?
直也には、嘘はつけないようだ。もう気付いているようだった。
<優子>
・食事の用意が出来たよ。カレーだし、おかわりもあるから出してね。
食べながらでいいから聞いてくれる?直ちゃんには、嘘つけないからね。
今日は遅いから、明日朝帰るよ。いいかな?
<直也>
・あっ?美味しそうだわ!「いただきます」食べながらで悪いけど聞くよ。
明日朝帰るのね?わかった。ところで、何があった?
<優子>
・実はね。今日直ちゃんのアパートに向かって居る時に、今度は、私の前方100メートルくらい進んではウインカーつけて停車。それを3回された。怖くなって細道に入った。そしたら、どっかでUターンしてきたらしく、反対車線を低速で走行して誰かを探していたようだ。恐怖感があって、30分位その場から動けなかったね。
怖かったけど、運転者の顔見たのね?そしたら、私の元彼によく似たの。
もう?怖くて怖くてさ!後は周囲確認しながら、直ちゃんのアパートまで来たの。
<直也>
・えっ?今日も不審な車?何?元彼?なの?1週間前の不審な車も元彼なのか?
しかしさ、もし元彼が優子を追いかけまわしているのなら、今更なんで?
はっきり元彼だと断言は出来ないのか?
<優子>
・元彼だとは、断言できないよ。でも、遠くからだけど、多分元彼のような気がした。
ただ、1週間前の車と今日の車が同一車輌かは、分らないしね。何か凄く怖くなってきたよ。私狙われているのかな?
<直也>
・断言できないのでは、どうにもならないな。たださ、元彼なら、俺が優子を横取りしたと思ってさ、優子に嫌がらせする訳?それにさ、俺が前に、優子に頼まれて元彼と話したとき、結構年上に生意気な口叩いたから、それを恨んでいるかも?
もし、そうなら俺に責任あるからな。やるなら俺にすればいいの。
<優子>
・だってさ!私達の事をどうやって調べるの?付き合っていることすら、知らないはずだよ?もし直ちゃんが言うように、恨みなら私が追いかけられるのはつじつまがあうよ。私が元彼を振ったからさ!だけど、生意気な口叩いたくらいで、根に持つかな?
<直也>
・理由は分らないが、あくまで元彼が不審車輌の運転手なら自分達への恨みの可能性はあるのかもしれない。用心する事に越したことはないな。何か起きてからでは、取り返しがつかないから、とりあえず、当面の間は注意するしかない。
俺は優子に危害が及ぶのが1番恐れている。優子のアパートには駐車出来ないから、行けないから、当分は俺のアパートから会社に行けばいいんじゃないか?
通勤は大変かもしれないけど、不安抱えながら日々過ごすよりは安心じゃないか?
明日と明後日2日間は休みだから、最低限の生活用品は、仕事帰り優子のアパートに寄って持ってこようよ。どうだ?
<優子>
・「うん」直ちゃんの提案に賛成するよ。直ちゃんに迷惑かけるけど、私も怖くて仕方ないしね?だから、しばらくの間、直ちゃんのアパートから会社に通うことにするよ。今度は、こっちまでこないと行けないけど、私のアパートへの帰り道より、
こっちの方が、車通も比較的多いし、それに街頭も沢山あって明るいからね。でも直ちゃんが言う通り用心はするね。
*優子は、3回目の不審車輌に遭遇し恐怖が再び襲ってきたのである。しかもその運転者が、元彼に似ていたことから、余計に恐怖感が増す優子なのである。直也と相談した優子は、直也のアパートから当分の間会社に通うことになるのである。
先週の2度の嫌がらせといい、今回で3回目だ。もし、本当に元彼ならと思うと、不安が頭を過るのである。現代であるなら、ストーカーであるだろう。当時は、つきまとい?
不審者?どう呼んでいただろう?呼び方は変わっても、恐怖を感じる事は、今も昔も変わらない。優子は、4度目はないよね?と心の中で叫びながら、自分の身の安全を1番に考え、不安を抱えながら直也のアパートからの出勤をスタートさせるのである。
4度目の嫌がらせはまた?起こるのか?そして、嫌がらせをする不審者は、誰(元彼)なのか?平穏な生活は?果たして今後どうなる?




