第四十三話 結果報告
優子は、何度も挫折を繰り返しながら、やっとの思いで、1人暮らしまで辿り着いた。
再就職先も会社閉鎖最終日に決まるという、夢のような出来事がおきた。後は、直也へ報告をして、返事を貰うだけとなった。直也の会社に電話をして、在社確認をした優子は、直接、返事をもらいに、直也の会社へ行く優子なのである。
ここまで来ると、何事も諦めずに努力してきた事は、優子にとっての自信と達成感に満ち溢れていたのである。そんな気持ちを懐きながら、返事をもらいに、直也の会社へとむかう。
会社に着いた優子は、店に入り、レジカウンターにいた女性職員に声をかけて、「副店長さん」をお願いしますと話すと、「少々お待ち下さい」と返事がかえってきた。内線電話で、
呼び出す女性職員。すると「間もなくまいりますので」奥のカウンターでお待ち下さいと、親切に、カウンターまで案内してくれた。
3分くらい待っただろうか?すると・・・・。背中越しに直也の声で、こう話しかけてきた。
「お客様、大変お待たせ致しました」御要件をお伺いいたしますと、優子の前に回ると、直也は・・・・。
<直也>
おっ?優子?しばらく~。びっくりしたよ。どうした?急に?
直也は、突然の事に驚いたのは事実だが、いつか優子の事だから来るだろうとは思っていたのである。
<優子>
直ちゃん。仕事中なのに、突然ごめんね。ちょっと時間作れるかな?話があってきたのね。
<直也>
ここ職場だから、ここでは、まずいから、仕事15時で終わるから、それまで、どこかで、待ってもらえる?今13時半だから、後1時間半位、どこかで時間つぶせるか?駅前に本屋あるから、時間つぶしてもらって、15時すぎに、駅前の喫茶店にはいけるけど、いいかな?
<優子>
いいよ。駅前の喫茶店ね。場所すぐわかる?
何か目印と喫茶店の名前教えて頂戴。
<直也>
目印は、俺がいつも車を停める駐車場覚えているよね?その南側に、交番あるでしょ?その2軒隣に喫茶店「待ち合わせ」と言う店の名前で看板出ているから、分かると思うよ。そこでいいかな?15時半までは、いけると思うから。
<優子>
交番は分かるから、喫茶店の場所も分かると思うから、そこでいいよ。
15時過ぎに、喫茶店で待っているね。忙しいのに直ちゃんごめんね。また後でね。
そう話すと、優子は直也の職場を後にするのである。1時間半は、本屋で時間をつぶす
事にした。この時の優子は、なぜか、達成感から前とは違う自信があった。何度も何度も挫折を繰り返し、やっとここまで来たという自信。でも直也から、返事を聞くまでは、
100%の確信などなく、必死に努力を続けてきたことで、直也からの解決策のクリアーをしたという事実だけである。あくまでも自己満足に過ぎない。
優子は、一途に直也だけを見てきただけに、ここまで来たら、直也を信じて、元に戻れることだけを考えていたのである。そんな事を思いながら、本屋で時間をつぶしていると、15時まで、10分前となり、約束の喫茶店に移動する優子。
本屋を出ると、すぐ、喫茶店の看板があり、中に入り、奥の席に着く優子。コーヒーを1つ注文して、直也が来るのを待つ優子なのである。
時計の針が、15時15分を指そうとした時、喫茶店のドアが開き、直也が入って来た。
直也は優子を見つけると、向かいの席に座る。すると女性店員が来て、ご注文はと聞かれ、「彼女と同じもの」とコーヒーを頼んだ。優子は、1人暮らしをしている事を隠して、直也の今現在の本心を探ろうとする。
<優子>
直ちゃん。忙しいのに職場まで行って「ごめんなさい」どうしても話があって。
それと、直ちゃん、副店長に昇進したの?それとなんか痩せた?
<直也>
優子久しぶりだな。元気なようだな。つい最近、副店長に昇進してさ。仕事大変だから、少し痩せたのかも。
<優子>
そうなのね。直ちゃん副店長昇進「おめでとう」仕事大変だろうけど、無理しないで、
ちゃんと食事もとりなよ。バランスよく食てるの?スーパーのお弁当とかだけでは駄目だよ。
<直也>
昇進したばかりだから、仕事覚える事沢山あってさ。食事は、1人暮らしだから、
弁当が多いかな。優子は、昔から鋭いな(笑)
食事は、注意するよ。それより、優子の話は、何?
<優子>
直ちゃん昇格したら、何か風格出た感じがするね。私の話ね。最後に直ちゃんに会った時にした話を覚てる?
<直也>
覚えているよ。解決策の件だろ?そのことは、ちゃんと覚えているよ。
優子の気持ちは、凄く嬉しかった。でもな~。俺が出した解決策は、かなり厳しかっただろ?こんな俺でも、今までずっと思ってくれて「ありがとう」な。
優子には、これから先、素晴らしい出会いがあると俺はそう信じているよ。
この時点で、優子に聞きもせず、直也は、解決策クリアーは出来なかったと一方的に
思っていたのである。
<優子>
直ちゃん。「ありがとう」で、私達もう終わりなの?ねえ~直ちゃんに聞くね?もし、私が解決策をクリアー出来ていたら、私と寄りを戻すことを真剣に考えてくれていた?優子は、展開がちょっと違うと思ったが、ちょっとだけ、直也を試す聞き方をする。
<直也>
正直にいうと、最初から解決策は、難しいと俺は思っていた。駄目だったら優子とは、終わりにすると決めていた。でも解決策をクリアー出来たら、優子と真剣に寄りを戻すことは考えていたよ。もちろん、俺は今まで優子に酷いことを沢山してきたけど、優子がこんな俺でもいいならと真剣に考えた事に嘘はない。
<優子>
そうか~。直ちゃん私こそ「ありがとう」本当に真剣に考えてくれていたのね。
やっぱり、私の目に狂いはなかった。私の好きになった直ちゃんは、とても素敵な人
最後にさ~。もう1回直ちゃんに聞くね?
本当に、解決策クリアー出来ていたなら、私ともう1度寄りを戻す事を真剣に考えて
くれていたのね?嘘じゃないのね?
<直也>
嘘じゃない。この場に及んで嘘ついてどうする?寄りを戻すことを真剣に考えたよ。優子とは最後だから、ここまで来て嘘なんかつかないよ(笑)
<優子>
嘘じゃないのね。良かった。直ちゃん。じゃ~今日で最後ではなく、今日からスタート出来るのね?私と寄り戻してくれるのね?(笑)
優子は、直也の本心を上手く引き出す事に成功した。
<直也>
ん?ん?優子、どうした???どういう事?驚いた表情で。
今日からスタート?? ちょっと理解できない?今日で最後だろ?
優子が動揺するのは、分かるけど、一生懸命頑張っても、無理な事もあるのよ。だから仕方ない。
<優子>
直ちゃん。何か勘違いしてない?私は、解決策クリアー出来なかったとは、一言も言ってないよ(笑)私、解決策クリアーしたのよ。だから、今日直ちゃんに会いに来たのよ。
<直也>
え??え??何??何??ちょっと待って??ちょっと話されていること呑み込めてなくて・・・・。
優子が1人暮しを?ほんとに?ほんと? 解決策クリアーしたの??
でも?ほんとか?
<優子>
直ちゃんに嘘ついてどうするの?ほんとだよ。私が、嘘ついているかどうか、ホッペつねってあげようか?(笑)
<直也>
ほんじゃ~。つねってみてくれよ。痛い!痛い!ちょっとは、加減してくれよ。
どうやら、痛いから、ほんとのようだな。ご両親よく許してくれたな?
いや~。驚いたよ。
<優子>
ちょっと強くつねってしまったみたいだね(笑)私ね。ここまで来るのに、色んな事
沢山あったの。両親から1人暮らしを許してもらって、アパートの仮契約をしてすぐに、会社倒産して、再就職決まらなくて、このままだとアパートも契約破棄して、実家に帰らないといけないと思いながら、会社最終日を向かえてさ。テレビドラマのようだけど、その会社最終日に再就職先が決まって、夢のような出来事があって、解決策クリアーして、直ちゃんに会いに来たというわけなの。
<直也>
そうか~。優子色々大変だったな。まさか優子が1人暮らし本当にするとは。
解決策を真剣に考えて、クリアーするために頑張ったな。「ありがとな」こんな、俺のような男でも、ここまで思ってくれて、凄く俺は幸せだよ。
<優子>
直ちゃん。私解決策、クリアーしたよ。今度は、直ちゃんからの返事を聞かせて欲しいのだけど・・・・。
優子はすでに自信を持って直也に話す・・・・。
<直也>
俺からの返事ね。あまりに急な事で、驚いたけど、優子が解決策クリアーしたから・・・・。
返事は・・・・。
この時、直也のポケベルが鳴る。「ちょっとごめん」会社からだ。電話してきていいか?
<優子>
「いいよ」会社からなら、急用かもしれないしね。
*直也は、喫茶店の公衆電話から会社に電話すると、至急会社に戻るようにと言われた。
優子に理由を話し、返事は、優子のアパートの住所と電話を聞いたので、明日必ず電
話すると約束して、喫茶店を出て、会社に向かう直也なのである。
さて、返事を聞く前に仕事で呼ばれて会社に戻られ、ちょっとだけ不安になる優子だが、
明日連絡くれるという約束したので、アパートで連絡を待つことにする優子なのである。




