第四話 突然の再会
*優子と出逢ってから、2ヶ月が過ぎようとしていた。
直也は、優子が彼に話してどうなったのか?気にはなっていたが、連絡先も知らないし、晴美に聞くことも出来なかった。
そんなある日曜日に、直也が通常通りお店で仕事をしていると、「店員さんすいません」と声をかけられた。「はい・いらっしゃいませ」と返事をして振り向くと、直也君久しぶりと優子が立っていた。2ヶ月前のあの時とはちょっと違うなと、優子の表情をみるとそう感じる直也であった。店の入口の方には、彼がいて、直也と目が合って会釈程度に頭を下げて、挨拶した。そしたら、優子の彼は、1時間くらい用事があるらしく、優子を店において車で出て行った。優子から直也君少し話せる?と言われ直也は、後10分でお昼休憩になるから、御飯でも食べに行こうと話した。休憩になったら、声掛けるからそれまで、お店見ててと言った。休憩時間に入り、直也は優子を連れて、店の近くの喫茶店に連れていった。
*直也は優子と二人で喫茶店へと入り向かい合わせの席に着く。
<優子>
・直也君2ヶ月ぶりだね。突然来てごめんなさいね。
<直也>
・それは、いいけど。俺の勤務先よく分かったね?
<優子>
・晴美から2週間前電話来た時に聞いたんだ。
<直也>
・え?晴美に?
<優子>
・大丈夫だよ。勤務先聞いて、晴美に疑われるような事ないように、上手く聞き出したから心配しなくて大丈夫だから、安心して頂戴。
<直也>
・ふ~う。安心しました。疑われると面倒だからね。女性はちょっとした事で感が鋭いからね。
*店員が来てご注文は?と聞かれ、コーヒーと直也が言い、優子さんは?同じものと言われ、直也がコーヒー2つ注文した。
<優子>
・直也君お昼食べていいんだよ?私に遠慮しないでいいよ?私は彼が迎えにきたら、食べる事になっているから。
<直也>
・俺はいつも3時頃お昼なので、まだお腹すいてないから、大丈夫です。
<優子>
・え?3時にお昼?サービス業は大変なんだね?私は製造業だから、いつも12時にお昼で決まった時間に食べれるからね。
*お待たせしましたと店員がコーヒー2つ運んできた。
<直也>
・優子さん製造業なんだね?彼も土日休みなの?
<優子>
・そうだよ。休みは一緒だよ。あっ?そうだと言いながら優子が左手でバックの中を探し始めた。バックの中から、直也君この前借りたハンカチありがとうと直也に渡す。
<直也>
・わざわざ、良かったのに。アイロンまでかけてくれて、ありがとうございますと言いながら受け取った。その時、直也が気付く。優子の左手の指に光る物が見えた。
優子に直也が聞く。優子さん左手の薬指?もしかして?
<優子>
・直也君気付いた?実はプロポーズ正式にされて、指輪貰ったんだ。
<直也>
・良かったじゃないですか?おめでとうございます。
<優子>
・ありがとう。本当は、直也君に一番最初にこの事を伝えたかったけど、連絡先も知らないし、まして晴美にこの事を言ったら、直也君には伝わるとは思ったけど、晴美が先越されたと思い、直也君がまた嫌な思いしたらと思っているうちに、今日になってしまったんだ。
<直也>
・俺もあれから2ヶ月が過ぎたし、優子さん彼に言って、どうなったのか?気にはしていたんですよ。前に進んだのですね。良かった。
<優子>
・うん。プロボーズはされたけど、リハーサルの直也君との回答とは違って、別れる事覚悟で勇気だして聞いて、ちゃんとした回答貰ったのが、今から1ヶ月前だよ。
直也君との練習とは全然違う流れだったけどね。
<直也>
・いずれにせよ。優子さんの気持ちが彼に届いたのだから、私も嬉しいですよ。
<優子>
・一緒に秘密のリハーサルをしてくれたお陰だよ。今こうしていれるのも直也君が居てくれたからだよ。
<直也>
・俺は何もしてないし、全て優子さんが勇気出して、彼に気持ちぶつけたからだよ。
<優子>
・ねえ~?直也君、今度は私が直也君の為に何かしてあげたいんだけど~。
何かある?晴美との事とか?
<直也>
・その気持ちだけ、あり難く頂戴しておくよ。晴美とは、距離置こうと思ってるんだ。今までは、1週間に2回で月平均8回は、デートしていたけど、2ヶ月前の旅行後、本人には話してないけど、仕事忙しいからと理由をつけて1ヶ月に1回しか会ってないよ。
<優子>
・え?そうなの?晴美と距離おくと言ってた事、ほんとだったんだね?
2週間前に晴美から電話来た時に何も言ってなかったけどね。
<直也>
・晴美は言わないでしょ?プライド高いし。それに優子さんへの対抗意識は、かなりのものだからね?
<優子>
・なるほどね~?晴美の性格ならありえるね。晴美とは私の方が付き合い長いから、性格も分かるから、直也君の相談にも乗ってあげる事も出来ると思うよ。それに私も彼から指輪は貰ったけど、まだ、まだ不安あるから・・・。
もしまた悩んだ時に、相談してもいい?
<直也>
・いいよ。俺でよければ、相談はのるよ。俺の方も晴美の事で何かあれば相談しますよ。
<優子>
・じゃ~。連絡先交換しようよ?直也君自宅の電話番号教えて?私も教えるから。いいかな?それと、電話で話せる時間帯を教えて・・・。
<直也>
・連絡先交換?いいよ。名刺の裏に自宅の電話番号を書いて優子に渡す。
<優子>
・優子も手帳から紙1枚を破って、電話番号を書いたメモを直也に渡す。時間帯はどうしたらいいの?
<直也>
・時間帯は、用事がある方が、夜23時ジャストに、電話を鳴らしワンコールで切ると言う約束で、23時05分まで電話を待って貰い、来ないときはその日は駄目という約束でどう?
<優子>
・いいよ。その約束で。
<直也>
・優子さんごめん。もっと話してたいけど、そろそろ。休憩時間も終わりだから、店戻らないといけないからと言って、席を立ちコーヒー代のレシートを持ってレジに向かう。
<優子>
・優子も席を立ち、直也君ごめんね。またねと店を後にする。
*2ヶ月ぶりの優子と直也の再会で、お互いの状況が分かる。晴美と距離をおいた直也と指輪を貰い結婚に進んでいるように見える優子。
だが、不安はまだまだある優子。優子の感動のフィナーレは近いのか?
お互いの連絡先の交換が、この先どうなっていくのだろうか?




