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身長差50cmの恋  作者: Last Life
30/72

第三十話 「切り札の写真」

*優子に積極的に思いを伝えられて、直也の正直な気持ちは、複雑に揺れていたのである。

直也は、裏切ったのにも関わらず、優子の気持ちを聞いて後悔という二文字が頭を過るようになるのである。そんな事を考えながら、帰路についた直也は、菜々に会って確認しようと思うのである。

直也は自分が悪いのにも関わらず、優子がここまで、自分を思ってくれる事に、どうして?ここまで?と疑問にさえ思う。


冷静になって考えてみても、優子の立場で考えたら、直也が菜々との二股?その事を知り、彼女(菜々)に会いに行く(行動力)、自分の目で確かめ、思いが私のほうがあると感じると絶対諦めないと断言する。どうでしょう?同じような状況にある人がいるなら誰か正しい答えを教えて欲しい。どうすればいいのか?

あなたが直也の立場ならどうしますか?裏切ってしまった優子に戻れますか?

あなたが優子の立場ならどうしますか?裏切った直也を許しますか?優子のような行動力で、自分が傷付く事を覚悟して相手(彼女)に会いに行って、自分の目で確かめ立ち向かう勇気がありますか?


世の中一般的に賛否は色々あるだろうけど・・・。

きっと誰かに相談したとしても、一般論でしか答えは返ってこないはずである。それが分かっているならなぜ、相談する。誰かに話せば楽になるからだと思う。結局答えは、自分で出さないといけない。自分が出した答えには責任を持たないといけない。

人は皆、自分が可愛いから、自分の保身の為に必死に自分を隠そうとする。人前では、自分を作り、陰では、手のひらを返したように平気で人の文句をいう。

直也は、自分が優子にした事は、最低な事をしたと思いつつ、優子の行動力は、どこからそんなパワーがあるのか、とても不思議に思う直也なのである。

直也は、優子の行動力に圧倒されながらも、優子と約束した事を確かめないといけない状況にあった。彼女(菜々)が本当に俺と付き合う直前まで、彼が居た事、そして、直也が戻りたいなら、優子に戻ってもいいと話した菜々の言葉が本当なら、俺は遊ばれているのかと?菜々がどう思っているのか確かめないといけない直也である。

もちろん自分がまいた種と承知の上、半分脅しのような状況で菜々と付き合っただけに、優子が話してくれた通り、自分と付き合う寸前まで彼がいたとしたら、別れた寂しさから、誰でも良く、近くにいた俺に言い寄ってきたのではないかと考える。

それに、普通に考えれば、菜々が俺(直也)を本気で好きなら、優子に自分の彼である直也が戻りたいならなどと話すだろうか?それはあり得ない。菜々の本心はどこにあるのか?別れた寂しさを埋める為に、一時的に利用されていたのではないかとさえ思えるのである。

 

直也は、自分のまいた種だから、この三角関係にけじめをつけようと菜々に会って、本心を聞こうと決意する。

 

優子と会ってから1週間がたった休日、直也は、真実を確認するため、菜々に会いに行く。休日ローテーションだと、休日のはずだがアパートに行くと留守のようで、駐車場に車を停め、待つことにする。1時間くらい待ったが帰ってはこない。急遽仕事になったかもと思い、勤務先の店に行ってみた。すると勤務する菜々の姿をみて、休日変更になったのかと思いながら、お客さんのふりをして菜々が商品出しをしているそばに行き声をかける。


<直也>

・菜々お疲れ様。仕事中ごめん。ちょっと話があるから仕事何時に終わる?

(周囲にばれないようにお客さんのふりで接触する)


<菜々>

・あ?先輩?どうしたのですか? 私、早番だから、16時には仕事終わるから、アパートで待ちます?部屋の鍵をポケットから取り出し直也に手渡す。

(普通に鍵を渡す菜々)


<直也>

・分かった。部屋で待たせてもらうよ。鍵を預かり足早に店を出る。

今更だけど、付き合っているのに、合鍵さえ俺はもらえてない事に気付く直也。


*菜々のアパートについて、鍵を空けて中に入る。菜々の部屋は、小奇麗になっていた。

いくら彼女の部屋とはいえ、自分の部屋でもなく落ち着かない直也であった。

ちょっと喉が渇いた直也は、お湯を沸かしてコーヒーを飲もうとするが、どこにコーヒーがあるか分からず、台所周辺の戸棚を探し始める。すると、インスタントコーヒーが戸棚の引き出しにみつけ、取り出そうとした時に、インスタントコーヒーの下に、写真?が目に入った。数枚透明の袋に入っていた。勝手に見てはいけないと思いつつ、気になった。1番上は、菜々がどこの公園か分からないが、噴水の前で1人楽しそうに移っていた。こんな素敵な笑顔も出来るんだと思いながら、写真を1枚・1枚とめくっていくと、最後の1枚を見たとき思わず、

目を疑うことになった。その写真は、知らない男とべったりくっつき、慢心の笑顔のツーショットだった。きっと元彼か~と思いながら、こんなに大事にしまっていると言う事は、まだ想いがあるのかと感じる直也なのである。

どんな理由で別れたのかは分からないが、菜々が元彼に気持ちが残っているから写真を捨てずに持っているに違いない、普通に考えたらそれが素直な気持ちだろう。

直也は、考えれば考えるほど余計菜々の気持ちが分からなくなるのである。 

とりあえず、ばれないように写真を元に戻し、コーヒーを飲みながら、菜々を待つ。

すると、時計の針が16時半を指そうとした時、菜々が帰ってきた。


<菜々>

・先輩ただいま~。先に着替えますねと言いながら、部屋にいく。

  

<直也>

・お帰り。お疲れ様。待っているからゆっくり着替えておいで。


*5分くらい待つと菜々が着替えを終えて部屋からでてくる。


<菜々>

・お待たせしました。先輩何か飲みますか?あれ?コーヒー飲んでましたか?よくコーヒーある場所分かりましたね?

(何の疑いもなく話す菜々)


<直也>

・喉渇いてさ!勝手に台所の戸棚の引き出し探してインスタントコーヒーを見つけて、飲んだ。ごめん。勝手に。

(菜々の表情を観察する直也)


<菜々>

・謝らなくて、いいですよ。私もコーヒー飲もう!自分でコーヒーを入れて、菜々は直也と対面で座る。

(笑顔で話す菜々)


*菜々は、しばらくインスタントコーヒーは飲んでなく、しかも写真を隠していたことさえ忘れていたのである。


<直也>

・あのさ。菜々に聞きたい事あってきた。気を悪くせず聞いてくれるか?

手に持っていたコーヒーカップをテーブルにおいて。菜々の目をみて話す。

(これから聞く事に、菜々がどんな反応をし、どんな答えが返ってくるのか、不安さえ感じるのである)

<菜々>

・え?何?何? どうしたのですか先輩? そんな深刻な顔して?

あまりに真剣な眼差しで、菜々の目を見て話す直也に菜々も手に持っていた、コーヒーカップをテーブルに置き、両手を膝の上におき、「話ってなんですか?」

(普段とはちょっと違うオーラを出す直也に緊張する菜々)


<直也>

・俺がどんな話があるのか?菜々はわかんないのか?自分の胸に手を当てて聞いてみたらわかんないか?想像もつかない?そう問いかけても菜々の表情が変わる事もなく、内心は気付いていても、必死に平常心を保とうとしているのか、それとも何も考えてなく、その場しのぎにしょうとしているのか、菜々の表情だけでは、直也は読めないのである。


<菜々>

・今日の直也先輩変ですよ?どんな話があるか、私分かりませんよ!私先輩に何か悪いことでもしました?私をいじめないで下さいよ!話はなんですか?はっきり言って下さいよ!


<直也>

・今から俺が聞く事に、正直に答えると約束できるか?直也はいつもになく、真剣な表情で菜々に問いかける。


<菜々>

・なんか!先輩のその言い方、凄く気分悪い!私が何したっていうの?それに正直に答えろとか!約束しろ!とか、それが相手に話しを聞く側の態度!言い方に腹が立つけど、何聞きたいか知らないけど、答えてあげるわよ!で?何さ!男ならもったいぶらないで、はっきり言いなさいよ!目線は直也を真直ぐ見つめさっきまでの表情とは打って変わり目線の鋭さが直也の目に突き刺さってくるような視線である。


 *直也はわざと菜々を怒らせるように仕向けていたのである。それは、平常心で話せば、自分の保身の為平気で人は嘘をつくが、怒らせて多少自分を見失うようにもって行けば、はずみで本音を話す事が多い。これは、直也がそうだから、自分の弱点をあえて菜々に使ったのである。




<直也>

・コーヒーカップをテーブルからとり、コーヒーを一口飲んでから、直也は話はじめる。

俺が菜々に聞きたい事は、1つ目は、優子に菜々こう言ったそうだな?

「俺が優子に戻りたいなら、いいですよ」返してあげますって?それって、どういう意味?2つ目は、俺と付き合う寸前まで彼がいたって?それ本当か?


<菜々>

・何だ。そんな事?そうそう先輩の元カノさんわざわざ、私の職場まで乗り込んできてさ、「直也君を私に返してって」言いにきましたよ。凄く迷惑でした。先輩には悪いけど、あんな女のどこ良くて付き合ってたのか笑えますよ!確かに、私いいましたよ!先輩が戻りたいなら、いいですよって!意味は言葉のままでしょ?元彼?確かに居ました!それが何か!問題でもありますか?約束通り、答えましたけど、先輩は、何をしたい訳?そんな事私に聞いて何になるんですか?

あの女、私に会いに来た後、内容を先輩に話した訳だ!諦め悪い女!先輩も元カノの相手まで大変ですね?菜々は直也の方をにらみつけながら怒り口調で話す。


<直也>

・あのさ!菜々いくら何でも、あんな女とか?本人いないけど、言い過ぎじゃねえ?

それに、何?俺が、戻りたいなら、戻ってもいいって?お前俺の事、見下してないか?

俺の事なんか、本当は好きでないだろ?ただ、元カレと別れて寂しくて、俺に近づいたんだろ!つまりお前は、誰でも良かったわけだろ!自分のそばに居て寂しさを埋めてくれる人なら!感情が入って来た直也は、両手が怒りで自然にこぶしをつくり、グット我慢する直也である。


<菜々>

・何?先輩!元カノをかばう訳?へえ~先輩のほうこそ戻りたいと聞こえるけど! あんな女を忘れられないなら、戻ってあげたら!

元カレと別れて寂しくて先輩と?そうだったらどうだって言うのよ?私の事何にも知らないくせにさ!分かったような事言わないでよ!菜々は、怒りながら、目から涙をボロボロと流しながら、テーブルの上においてあったタバコの箱を取り、直也めがけて投げつける!


*直也は、菜々の態度を見て、はっきりした事があった。きっと菜々の気持ちは、まだ元カレにあると確信する直也である。少なくても、俺に対する気持より元カレへの想いが強いと感じたのである。


<直也>

・少し冷静になれよ!物にあたるのはやめろ!タバコの箱をテーブルの上に拾っておく。お前、元カレの事まだ好きなんだろ!お前さ、優子の事どうのと言うけど、本当は、菜々自信も元カレに自分の気持ちぶつけたいのと違う?未練あるなら、けじめつける為に、行動したら!菜々が元カレに気持ちがあるままでは、このままでは俺が嫌だ!

ちょっと考えたら、分かるだろ!


<菜々>

・先輩ぐちゃぐちゃうるさい!未練?あるはずない!テーブルに両肘をつけ、頭を抱えながら、泣き続ける菜々!


*本心を聞き出そうとする直也ではあるが、中々語ろうとしない菜々!自分に対する気持ちより、元カレへの想いが強いと感じた直也は、さっき見つけた写真を切り札にしようと考える直也である。このままでは、三角関係というより、皆不幸になってしまうと想い、切り札を使い、菜々の本心を聞き、方向性を決めようと、泣き続ける菜々を目の前に、立ち上がりインスタントコーヒーの入っていた引き出しを開けて、写真を取り出した。さて菜々は、その写真を見てどんな表情をするのだろうか?ゴタゴタした三角関係の行方は?直也の気持ち!菜々の気持ち!優子の気持ち!交差する恋に明るい兆しは見えてくるのか?



  


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