第二十九話 揺るがない気持ち
*菜々と一緒に行った海に着いた直也は、優子に「着いたよ」と伝える。
優子は、全然海見えないね?真っ暗闇の海は、今の私にぴったりだね?私を裏切って彼女(菜々)と来た時の海は、綺麗だったでしょうね?同じ場所に、彼女(菜々)を裏切って私と来た感想聞かせてよ。優子は、直也に目を覚まして欲しかったのである。
<直也>
・優子すまない。本当にすまない。ごめんなさい。
(何度も頭を下げる直也)
<優子>
・さっきも言ったよね?謝って欲しい訳じゃないよ!私が聞いた事にちゃんと答えてよ?彼女とデートで来た場所に再度、彼女(菜々)を裏切って私と来た感想!
今の海と彼女(菜々)と来た海どっちが綺麗だった?
(私の立場になって考えて欲しいと思う優子)
<直也>
・今日の海は、夜だから暗いし景色が分からないな。それと感想と言われても。俺が悪いから、何も言えない。
(直也は、何も返せない)
<優子>
・ねえ?私が何で、ここに連れて来て欲しかったか分かる?何であえて暗い海に連れて来て欲しかったか分かる?直ちゃん!今の私の気持ち分かる?
(優子は、直也に気付いて欲しいと思う)
<直也>
・それは、優子が俺に対してのあてつけかな?
(直也は、気付かない)
<優子>
・え?あてつけ?馬鹿じゃないの?何でわかんないのよ!ほんと鈍感!普通気付くでしょ?いくら私でも、裏切って彼女(菜々)と来た場所に、好き好んで連れてってなんて言わないわよ!少しは考えなさいよ!
(普段は温厚な優子も怒り口調で話す)
<直也>
・すまない。優子に何言われても仕方がないな。俺、馬鹿だから、何も考ええられないよ。
(直也は、自分がまいた種だから何も言えずにいた)
<優子>
・ねえ?ねえ?私の気持ち考えてよ?ここまで言ってもわかんないの?
どうして!ここに来たかったか!直ちゃん自信の今の気持ちを考えれば、分かるでしょ?
(優子は気付いてよ!と心の叫びがでる)
<直也>
・優子。ごめん。なんとなく分かった。ここに連れて来られた意味がね。今俺が、ここに優子と来ている事実は、彼女(菜々)を裏切っている事になる。裏切る気持ちは、どうなのか?俺に気付けということだろ!それと暗い海に来たのは、今の優子の気持ちそのままという意味か?
(直也は何となく答えた)
<優子>
・直ちゃんは、裏切られた事はないだろうけど、今こうして、元カノである私と海に来て彼女(菜々)を裏切った気持ちはどう?元カノと一緒に海に来たという事を彼女(菜々)が知ったらどう思うかしらね?直ちゃん苦しいでしょ?裏切るより、裏切られた方が、どんなに辛いのか、その立場にならないと絶対分からないしね!そんな事言っても直ちゃんは、裏切る方だから、わかるわけないか!それに、裏切っておいて、良く平気で、「優子の気持ちそのまま」とか言えるね?所詮他人事な訳?
もっと、相手の立場で考えなさいよ!
(優子は、決して直也を責めるためにだけ言った訳ではなく、少しでも逆の立場で考えて気付いて欲しいと思う優子)
<直也>
・優子の言う通りだよ。俺は、裏切られる気持ちは分からない。どんなに責められても裏切った事実は消えない。もちろん許してもらおうとは思わない全て俺が悪い。
直也は、優子に謝ることしか出来ない。すまない。本当にごめん。
(直也は、全て自分が悪い事を承知の上、優子の気がすむまで付き合う事を決めてそれが、せめてもの優子への償いだと思う直也である)
<優子>
・もちろん!私は、直ちゃんを許せない!でももっと許せないのは、彼女(菜々)の事!
さっきも話したけど、私より直ちゃんを好きで、大事にしてくれるなら、私は、悔しいけど身を引く覚悟だった。でも今は違う!私絶対直ちゃんを諦めないからね?
絶対にね!直ちゃんが本当に私を裏切った事を申し訳ないと思ってくれるなら、ちゃんと私が彼女(菜々)に聞いた事を自分の口から確かめてその結果を私に教えて!
約束して!直ちゃん!
(優子は、彼女(菜々)にだけは、直也を渡したくはなかった!必死に思いを伝える)
<直也>
・優子に聞いた事は、ちゃんと彼女(菜々)に確認する。でもその結果を優子に報告する必要があるのか?優子を裏切った事は申し訳ないとは思うけどさ、彼女(菜々)との事は、関係ないのではないか?
(直也は、何とかこの場を逃れたく抵抗する)
<優子>
・直ちゃん!この場を早く逃れたいと思っても無駄だよ!私は、直ちゃんが、ちゃんと彼女(菜々)に話しを聞いた結果を報告してくれる事が、私を裏切った謝罪にしてあげるから!彼女(菜々)がなんて直ちゃんに言うかしらね?直ちゃん私に報告すると約束してよ!簡単な事でしょ?
(優子は直也が考えて居る事はお見通しであった。)
<直也>
・優子の言いたいことはわかった。彼女(菜々)に聞いてその結果を報告すればいいのね? 約束する。でも、その結果を聞いてどうするの?
(直也は、優子がどうしたいのかが分からない)
<優子>
・でも?そんな言葉聞きたくない!私に悪いという気持ちあるなら、約束したこと守ってよ!グタグタ言わず、行動で示してよ!
(絶対に彼女(菜々)から取り返すその気持ちが優子を支えていた)
<直也>
・もう何も言わない!約束は守るから!ちゃんと報告するから!もう帰ろう!
(優子に押し切られた直也)
<優子>
・いや!帰らない!まだ帰りたくない!何で帰りたいの?彼女(菜々)に会いたいの?
そんなに私と居る事が、彼女(菜々)に対しての罪悪感?
(優子の攻撃は止まらない)
<直也>
・帰らない?俺とここにいつまで居ても意味ないのではないか?
罪悪感?無いと言ったら嘘になるな!
(直也は、優子の問いに平常心を必死に保ちながら話す)
<優子>
・意味?直ちゃんにはなくても、私には重要な意味があるよ!直ちゃんが彼女(菜々)に気持ちがあるように、私だって、直ちゃんへの気持ちは、誰にも負けない!
いくら直ちゃんに突き放されても、私は絶対にあきらめない!
(優子の意志は固く気持ちをぶつける)
<直也>
・優子の気持ちに答えて上げる事は出来ない!それに、俺は裏切った男だぞ!いい加減俺みたいな男綺麗さっぱり忘れてくれよ!周りを良く見れば、必ず優子を幸せにしてくれる人がいるよ!わかってくれよ!
(自分が悪いくせに応援する素振りをみせる直也)
<優子>
・綺麗さっぱり?忘れろ?って?それが出来たらどんなに楽だろうね?私を裏切った直ちゃんは許せないけど、それ以上に直ちゃんを好きな気持ちが強いし、今の私があるのは、直ちゃんが居てくれたから!この事実を自分の気持ちに嘘付いて、今直ちゃんを諦めたら私一生後悔する!だから直ちゃんに何と言われても自分の気持ちに正直に納得するまで頑張ると決めた!人を好きになる事に理由なんてないでしょ?
(自分の気持ちをはっきり伝える)
<直也>
・とにかく優子の気持ちは理解したから、約束した彼女(菜々)に質問の真意を聞いて
それをちゃんと優子に伝えるから、今日の所は、帰ろう!
(平常心で話す直也)
<優子>
・じゃ~。最後に約束して、私の質問の答えは、ちゃんと会って結果を教えて欲しい
それをこの場で約束して!そして彼女(菜々)から聞いた事、聞いて直ちゃんが感じたことを私に正直に話すと約束して頂戴!いい?
(もう一度直也と会う為に約束をしたいと考える)
<直也>
・わかった。約束するよ。
(直也は、疲れた表情で約束をする)
*直也は、夜の海に連れてこられて、色々な事を考えることになった。裏切ったのにも関わらず、自分を未だに思ってくれる優子。
彼女(菜々)に会って確認したことを優子に会って伝える約束をした。直也の心境は複雑であった。
優子は、自分の気持ちを全部直也にぶつけ、絶対に取り戻すと気持ちを固める。
さて!この展開!まだまだ油断が出来ない状況である。
直也・菜々・優子と3人が絡む恋愛はいったいどうなっていくのであろうか?




