第二十八話 「優子の逆襲」
*優子と電話で約束した3日後の金曜日になった。
直也は、約束の時間に間に合うように、車で待ち合わせ場所に向かい、17時前には、ホームセンターの駐車場についていた。
優子を待つ直也の心境はとても苦しい状況である。
優子にどう説明していいのか、時間寸前まで車の中で悩む直也である。
解決策が浮かばないまま時間は経過して、17時の時報がラジオから流れ、間もなく優子が来ると動揺を隠しきれない直也である。
すると遠くの方から、優子らしき女性が歩いてくるのが見えた。
優子は車の近くまで来ると、運転席の方に来た。
直也は、運転席のガラスを降ろした。優子は直也に、こう話した。
<優子>
・直ちゃんしばらくぶり。
助手席を指さして、こう話した。助手席のクッションを後ろの座席においてと話す。
(直也の彼女が座ったクッションに座るのさえ嫌だったのである)
<直也>
・優子しばらく。助手席のクッション?わかったと頷き、後部座席にうつした。
これでいいのか?助手席に乗れよと話す。
(なんで?クッション?と意味が分からない直也)
<優子>
・助手席のドアを空け車に乗る。すると優子は、場所変えて話そうと言う。直ちゃんの彼女を連れて行った、有料道路の方に私も連れて行ってよ。そこで話そう。
(せっかく晴美がくれたチャンスをミスミス逃してなるものかと必死になる)
<直也>
・ちょっと待てよ!何でそこに行かなきゃないんだよ!話ならどこでも出来るだろう!
納得のいく説明を聞きたいんじゃないのか?
(怒り口調で直也君は話す)
<優子>
・そうだよ!納得いく説明聞くために、彼女を連れて行った所に連れて行って欲しいの!
私を裏切ってデートした場所にね!
(私を連れていけば、今の彼女を裏切った事になるので少しは目が覚めると感じる優子である)
<直也>
・俺に対するあてつけか?俺は嫌だね!
<優子>
・私の事は、平気で裏切れて、今の彼女は裏切る事出来ないだ!そんなにあの菜々と言う彼女を好きなの?
(ついカーットなって、菜々の名前を言ってしまい、しまったと思う優子である)
<直也>
・優子が何で菜々の事を知ってる訳!どういうことだよ!
(直也は何で優子がと?混乱する)
<優子>
・私は、直ちゃんの事何でも知っているのよ!知らないと思っているのは直ちゃんだけだよ!それに、直ちゃんは彼女の事!どこまで知っているの?
(優子は、もうここまできたら自分の気持ちと感じた事をぶつけようと思った)
<直也>
・ねえ!優子どうして彼女の事知っているのか、教えてよ!お願いします。それとどこまで知っているとは?分かるように説明してよ!
(動揺を隠しきれない直也である)
<優子>
・教えるには、条件が2つあるのだけど!聞いてくれる?
(優子はこの時とばかりに直也を責める)
<直也>
・条件?聞いてみないと分からないけど、無理なことでなければ聞くから。
(菜々の何を知っているのか?気になる直也)
<優子>
・条件は簡単だよ!
1つ目は、私の話を冷静にちゃんと聞いて直ちゃんが考えて欲しい。
2つ目は、私は、直ちゃんが今も好きで、絶対諦めないから、この気持ちを忘れないで欲しい。
この2つが条件。
(優子は、良く考えて自分を見て欲しいと思うのである)
<直也>
・わかった。2つの条件を聞くよ。
だから、さっきの俺の質問に答えて欲しい。どうして彼女(菜々)の事を知っているのか?
どこまで知っているの?の意味を説明してよ。
わかるようにお願いします。
(直也は不安さえ感じるのである)
<優子>
・私の話を怒らず、冷静に聞いてね。
直ちゃんの質問に答えるから。なぜ、私が直ちゃんの彼女(菜々)の事を知っているかというと、私ね。
直ちゃんが私と別れてでも彼女にした女性ってどんな人か自分の目で確かめたかったの。
だから直ちゃんの店に電話して、確信はなかったけど、私の直感で彼女を割り出して直接会いに行って話してきたから、知っているの。
それとどこまで彼女の事知っていると聞いたのは、直ちゃんと付き合う寸前まで、彼女に彼がいたという事は直ちゃん知っていたの?
(優子は直也に淡々と話す)
<直也>
・え?優子が彼女(菜々)に会いにいった?何を話したの? 何?寸前まで彼がいた?
それは知らなかったよ。
(優子が菜々にあった事も驚いたが、寸前まで彼がいたことも全然知らない直也)
<優子>
・私ね。彼女と会って話して、一つだけ心に決めた事があるの。直ちゃんを絶対に諦めないとね。
もし会って、本当に私より直ちゃんを好きと感じたら、諦める事も考えなかったと言ったら嘘になるけど、会って話して彼女の口から出た一言で逆に余計直ちゃんを諦めてはいけないという気持ちにスイッチが入ったよ。
(彼女(菜々)に感じたことをストレートに話す優子)
<直也>
・彼女の口から出た一言っては?何?
(菜々の口から出た一言が何か気になる)
<優子>
・直ちゃんその一言聞いたら、ショックうけると思うよ。でも聞きたいなら教えてあげるけど、聞きたい?
(優子のペースに話は進む)
<直也>
・気になるから、教えて欲しい。
(何を言ったか気になる直也)
<優子>
あのね。私ね。直ちゃんの彼女に、直ちゃんと別れて私に返してと言ったのね。そしたら、彼女ね。「直也先輩が戻りたいなら、いいですよ」だってこの一言聞いて私ね。
絶対に直ちゃんを思う気持ちは、私の方がある。
だから絶対に直ちゃんを諦めないと決めたの。
この事から、直ちゃんに私目を覚まして欲しいと思ったの。
これが、私の話の全部だよ。
彼女の一言私から聞いて、分かったでしょ?
私に戻ってきてよ。直ちゃん。
(優子は言いたいことを話し少し楽になる)
<直也>
・彼女(菜々)がそんな事をね。今は、何も言えない。それに優子の気持ちに答えてあげる事は出来ない。優子がこんな俺でも今でもそう思ってくれるのは、素直な気持ちで嬉しいけど、俺には優子に戻る事は出来ない。
(直也は、菜々より優子の方が自分を思ってくれていると感じた。でも今更戻るなんて無理。)
<優子>
・直ちゃん。私の話聞いてちゃんと考えると言ったよね?その条件も了承したよね?
それなら、彼女(菜々)の気持ちを直ちゃんが直接確かめてよ!私が話した一言を話したかどうか彼女の口から聞いて、気持ちを判断してよ。
私が彼女の立場だったら絶対に「直ちゃんが戻りたいなら」なんて言わないから。
いくら元カノが会いに来ても好きなら私は絶対に言わない!むしろ私なら、絶対渡さないというから!これだけでも彼女(菜々)の直ちゃんに対する本気度が分かるでしょ?
(優子は、直也にどんどん自分の考えをぶつける)
<直也>
・わかった。条件を了承したのだから、優子の言う通り、彼女(菜々)に直接聞くよ。
(優子の話していることは理解できた。なぜか、優子を説得するつもりが優子のペースになってしまう)
<優子>
・じゃ~。聞いたらちゃんと考えてくれるのね?それと、早く彼女とデートした有料道路の方へ連れて行ってよ。早く!
(直也にどうしても目を覚まして欲しいのである)
<直也>
・彼女(菜々)に聞いたらちゃんと考えるよ。約束する。有料道路?どうしてもいかないとダメか?そろそろバスの時間だぞ?
(優子を説得どころか、直也は逃げられない状況になり、バス時間で逃げようとする))
<優子>
・バス時間?大丈夫!今日は最初から残業で遅くなると両親に話してきたから!だから早くデートした有料道路の方に、連れていってよ。直ちゃんが悪いと思っているなら、私を連れてって!彼女を連れて行った同じ場所に。
(優子は、直也が逃げようとする事は予測して予め遅くなる事を両親には伝えて朝家を出たのである)
<直也>
・悪いのは俺だ!優子を裏切り苦しめたのも俺だ!認めるよ!すまないと思っている。
許してください。ごめんなさい。本当にごめんなさい。
(この通りと頭を深々とさげて優子に何度も謝罪する)
<優子>
・直ちゃん頭を上げて。別に謝って欲しい訳じゃない!1度は好きな人だから、好きな
人に幸せになって欲しいとも考え諦めかけた。でもどうしても納得がいかなかった。
だから・・・。私ね。やっぱり自分の気持ちに嘘付くことが出来ない。
直ちゃんが好き!私、待つ気持ちは全然変わってないから。
(直也の反省する姿に優子は、多少は私の気持ちわかってくれたかなと感じる)
<直也>
・優子の気持ちはわかった。「有料道路へ向うよ」と言って、エンジンをかける直也である。
(自分が悪いから連れて行こうと思う直也)
<優子>
・「うん」と頷いた優子は、しばらくの間、無言のままであった。
*直也は、無言の優子を乗せ、有料道路を通り、海へと向った。菜々と行った時とは違い暗くて周囲は見晴らしも何もかもが条件は悪かった。駐車場についた直也は、優子についたよと話す。
さてさて、優子がここまで連れてこさせた本当の理由を直也は分かっているのか?
ここに来た事で、改めて考えさせられる事になるのである。




