第二十五話 「勇気ある行動と対決」
*優子は、菜々に会って直也への気持ちを確かめるべく、日曜日に電車で菜々の勤務するお店に向うのである。
優子は、電車の中でちょっと考えた。直也の彼女に会ったら、直也への気持ちを聞こうと思うのである。
色んな事を考えていたら、駅についた。
駅にはついたが、お店の場所が分からず、交番で店を聞いた。駅からは歩いて10分ぐらいで着くと交番で聞いた通りの道順でメモを見ながら、歩いて迷わず店に着く事ができた。
店の自動ドアを通り店の中へと入っていく優子である。
さて、ここからが問題である。
直也の彼女であろう鈴木菜々を探さないといけないし、それになんて声かけて話そうか考えていた。
とにかく彼女を探そうと店の中をキョロキョロしながら歩いていると、男性店員が「お客様何かお探しですか?」と声をかけてきた。
優子はとっさに、「すいません。こちらの従業員で鈴木菜々さん」いらっしゃいますかと?と尋ねた。男性店員が「今呼んでまいりますからお待ち下さい」と話、店の奥のほうへと歩いていった。
2~3分待っただろうか?店の奥の方から、さっきの男性店員ともう1人若い女性が歩いて優子の方へと歩いてきた。そして男性店員がこう話した。
<男性店>
・「お客様、大変お待たせいたしました。鈴木をお連れ致しました。ごゆっくりお買い物ください。失礼します」と言って、2人から離れた。
<菜々>
・お客様。はじめまして、私が鈴木ですが、どういったご用件でしょうか?
(何の疑いもなく営業スマイルで優子に話しかける)
<優子>
・間違っていたらごめんなさい。鈴木さんって?直也君の彼女ですか?
(ストレートで優子が聞く)
<菜々>
・え?お客様どういう事ですか?今聞かれた事は、プライベートな事ですよね?
いくらお客様でもプライベートな事はお答えできません。
(淡々と話す菜々)
<優子>
・答えられないのは、あなたが、直也君の彼女という言葉の裏返しですね。
(優子は、菜々が彼女と確信した)
<菜々>
・あの~。すいません。何をしにきたのですか?あなたは誰ですか?ここ職場ですよ?
私が直也先輩の彼女だったら何かいけないのですか?
(菜々は少し怒り口調になる)
<優子>
・私?直也君と付き合っていたんです。
彼を私に返してください。それを言いに来たんです。あなたは直也君を本気で好きなの?
(優子はストレートで菜々に気持ちをぶつける)
<菜々>
・はあ?何を言うかと思えば!あなたおかしいじゃない?
職場まで乗り込んできて別れろとか!ありえない!
本気で好きかって何であなたに答えなきゃいけないわけ?
(菜々は店で声をあげる)
<優子>
・あなたこそ、直也君の優しい気持ちを利用してるだけじゃない!
直也君、体調崩しているんだよ!あなた彼女なのにそのこと知ってんの!
(優子も声が高くなってくる)
<菜々>
・利用してる?分かってるような事言わないでよ!
直也先輩が勝手に私の所に通ってきて体調崩しているだけじゃない!
そんなの知らないわよ!
何あなた?直也先輩をまだ好きな訳?
(優子の事を面倒くさいと思う菜々)
<優子>
・あなたより、私の方が直也君の事、思っているわよ!直也君を返してよ!
(優子は引き下がらない)
<菜々>
・そんなに直也先輩の事好きなんだ!そこまで言うなら、直也先輩が、私と別れてあなたに戻りたいなら、別に構わないわよ!
(菜々言い返す)
<優子>
・直也君次第と言う事だけでも、あなたが本気で好きでない事わかったから!
それだけでも来た意味があったよ。
(菜々との会話で絶対取り戻すと心に決める)
<菜々>
・直也先輩が、あなたに戻るとは思わないけど、せいぜい頑張って下さい。
それにさ!あなたのように背の小さな人を直也先輩が本気になると思う?
あなたって幸せな人ね!あなたのように私、暇じゃないのでもういいですか?
店には二度と来ないで下さい!
直也先輩への気持ち届くといいですね?(笑)
(優子を見下す菜々)
<優子>
・あなたさ!直也君をもてあそんでいるのね!最低だよ!
年下の癖に生意気だし人の気持ち何だと思っているのさ!
何であなたに会いにきたか!あなたに私の気持ち分からないでしょうね?
菜々の近くまでいって、背伸びして胸ぐらをつかむ!
(生意気な菜々の態度に怒りを抑えられない優子)
<菜々>
・何するのよ!手を放しなさいよ!
優子の手を振り払う!
・年上ずらしてさ!年下に負けて乗り込んできてさ!大人気ない女!
だから直也先輩にも愛想つかされるのよ!それに私の気持ち?笑わせないでよ!
私、元彼に振られて自分の力で直也先輩を自分の彼にしたし!
(あ?むきになってつい元彼の話しをしてしまう菜々。まずいと表情に出る)
<優子>
・ふ~ん。元彼?に振られた(笑)だろうね!
あなたのような女性は、ふられて当然よ!
人の気持ちをもてあそぶような女に幸せになる権利なんてない!
それに振られて寂しくて直也君に近づいた訳だ!
(菜々の表情に直也への気持ちは私の方が強いと確信)
<菜々>
・黙って聞いてればいい気になってさ!もうどうでもいいから!店から出て行ってくれない!
直也先輩がそんなに好きなら、どうぞ好きにして下さい!
そう話すと足早に奥のほうに歩いていく。
(動揺した表情を浮かべながら優子の前から去る菜々)
*優子は、最後に菜々に馬鹿にされた事でむかついたが、絶対直也を取り戻すと決めた。
それに自分の目で菜々を見て話した事で、私の目に間違いはないと確信する優子であった。
会話の中で、元彼がいた事を暴露して、優子の突っ込みに動揺を隠しきれない菜々の態度にまだまだ脈ありと判断する優子である。
この事から、優子は、もう一度、直也と話そうと決める。
直也は、優子と菜々が会って話したことなど、知るよしもない。
でもきっと菜々から伝わるであろうと優子は覚悟していた。
今回の事で優子は今日菜々と会って話しをして感じたことと自分の気持ちをもう一回直也にぶつけようと決めて、帰路につく優子である。
優子は、菜々に屈辱とも言える一言である背の小さい事も指摘され、何度も何度も「負けてなるものか」「負けてなるものか」と自分に言い聞かせる優子である。
そして、菜々と会った数日後、また新たな展開が待っていたのである。
さてさて、これからどうなる?この展開!恋の行方はいかに!




