第二十四話 「優子の直感と行動」
*優子は、直也と電話で話し体調が悪いのは菜々に原因があると確信した。
その確信には、何の根拠もなかった。
でも優子は、直也を思う気持ちだけは誰にも負けないと自信を持っていた。
人を好きになる事に理由などない、それを教えてくれたのが直也だったから、優子は直也の事を考えれば考えるほど、直也が優しい性格だけに、年下の彼女ならなおさら、いいように利用されているのではないかと感じる優子である。
優子は、直也と別れてからも直也に対する気持ちを新聞の恋愛コナーの応募にあげて何度か採用になり新聞に気持ちを掲載されていた。直也がそれを読んでいたかは分からないが、優子は自分の気持ちをずっと書き続けていたのである。
女性であるなら必ず夢に見るお嫁さん。1度は結婚の二文字がすぐ目の前まで来ていて幸せになるはずであった。背が小さい事が原因かとずっと自分を責め続けてきた。
直也と出逢い年下ではあったが、優しい性格と考え方に心をひかれて好きになり、交際する事で、前恋愛の傷も消えつつ今度こそ幸せになれると思っていたのも、つかの間で、直也が裏切り別な女性と二股!結局一方的に別れる事になる。裏切られたのに、優子は絶対に、諦めないし直也を取り戻すと心に決める。
世の中一般的な女性なら、優子の立場ならどうするだろう?十人十色で色んな考え方はあるだろうけど、彼女の行動がまた更なる展開となっていくのである。
優子は、直也の彼女の勤務先を突き止めようと決める。
どうやって彼女の勤務先の店舗を割り出したかというと、直也の勤務する店には女性従業員は全部で5人いて、3人は主婦で後2人は社員で1人は新入社員で研修見習いだと以前付き合っていたときに聞いた事があった。
この事から、まず主婦パート3人はないだろうと思い、残り2人のどっちかだと思う。
直也の優しい性格からして、新入社員の可能性が高いと女性の直感で思い、優子はあるかけにでたのである。直也と別れた後に直也の勤務する店舗にこう電話して、彼女の名前と勤務先を聞き出そうと考える。
*優子が直也の店にこんなふうに電話すると!対応した女性が答えてくれた。
<優子>
・もしもし!すいません!ちょっと商品の事でお聞きしたいのですが?
<女性店員>
・どのような商品のお問合せでしょうか?担当者にお取次ぎしますので。
<優子>
・えっと!この前、店の方にお邪魔したとき、女性の方に聞いたのですよ。確か名前は、ネームに何て書いてあったかな?
その人に聞いたから!その人に聞けばすぐ分かると思うけど!
(店にも行ってないのだから、女性店員が何て答えてくるか優子は待った)
<女性店員>
・いつ頃来店されたか覚えていますか?それと女性の特徴覚えていますか?
(店員は情報を聞きだそうとする)
<優子>
・来店は随分前だから覚えていません。
でも店員の女性は、確か大きいネームプレートつけていた気がしますよ。
(新入社員なら、研修中の名札をつけていると思い、そう答えた)
<女性店員>
・大きいネームプレートなら、多分研修中の鈴木さんかな?
弊社の店舗は、研修中だと3ヶ月は見習い期間で、ネームも大きいのをつけるので多分鈴木だとは思いますけど、鈴木なら、研修が終了して別店舗に配属になりまして、現在弊社店舗には在籍してないんですよ。
どうされますか?
(親切に対応してくれる女性店員)
<優子>
・そうですか。私を対応してくれたのは鈴木さんと言う女性でしたかね?
凄く親切にしていただいたので、鈴木さんのお店に行って聞いてみたいと思いますので、店舗とフルネーム教えて頂くとありがたいのですが、宜しいですか?
(勤務先店舗とフルネームさえ分かればと聞く)
<女性店>
・ちょっとお待ち頂いて宜しいですか?今調べますので・・・。
30秒くらい待つと「お待たせいたしました」メモ取るものございますか?
(敏速な対応をしてくれる)
<優子>
・メモを取る準備しますので、お待ち下さい。準備できましたのでお願い致します。
(冷静な気持ちで聞き出す優子)
<女性店員>
・鈴木の勤務する店舗は、晴天駅(仮名)近くの開運店(仮名)に配属になっています。
電話番号は、(77)-7777-7777です。鈴木の名前は、菜々といいます。
近日中に行かれるのでしたら、私の方から連絡しておきますか?と聞かれる。
(親切に対応くださる女性店員)
<優子>
・ご親切にありがとうございます。鈴木さんのお店にお邪魔するときは、私の方から電話してから、行きますので大丈夫です。「ありがとうございました」と言って電話を切る。
(何とか店とフルネームを聞く事が出来ホッとする優子))
*優子はこのようにして、彼女のフルネームと勤務する店を探したのである。ただ、あくまでも優子の直感であり、直也の彼女である確信100%の断言ではなかった。そして優子の驚くべき行動とは、直也と電話で話した数日後の日曜日に優子が思いもよらない行動にでる。その行動とは菜々の勤務先に優子が足を運んだのである。菜々が彼女かどうかは、直接会って話さないと分からないけど、逆に会って違うならもう1人の女性が彼女と分かると優子は思った。
優子は、とにかく覚悟を決め直接直也の彼女と会って話して、自分の目で確かめて納得したかったのである。もちろんこの段階でも優子の気持ちには、直也を諦めるという選択はなかった。とにかく会って直也への気持ちを確かめたかったである。
さて優子は、直也の彼女に会いにいく事を決めて、休みの日曜日に優子は行動に移すのである。ここからまた新たなる展開が待っているのである。
当然、菜々はそんな事とは知らず、日曜日も普通に勤務していたのである。




