第二十三話 「電話での確信」
*優子は、直也に電話で絶対に諦めない気持ちを伝え、直也は、その場を逃げるように怒り口調で電話を切った。
直也は、当然諦めないと言われた優子の事は気にはなるし、菜々には、別れた事を伝えないといけない。
普通なら新しい恋のスタートだなんて考え 浮かれる所だが、今回だけはなぜかすっきりしない。
それもそのはず、優子と別れ菜々と付き合う事にはなったが、直也が菜々に弱みを握られていること、直也と優子は、菜々に元彼がいて振られた腹いせに2人の仲を壊されたことなんて知りもしない。
菜々の本音で誰でも良かった相手が直也であった事が、直也と優子にとってとても不運でもあった。
それにそんな気持ちで直也に告白したなのだから、菜々が直也に対する気持ちは、本気ではないと誰でもそう思うのである。
それを裏付ける出来事がこれから起こるのである。
それは、優子のある行動から菜々の本心が明らかになるのである。
優子は、自分の本心を伝えて絶対に直也を取り戻してやると心に決めた。
直也との電話で彼女が会社の人だと分かった事で優子の気持ちにスイッチが入るのである。
優子は、自分が納得するまでとことん進み自分の幸せは自分で掴まないといけないと強い信念を持って行動に移そうとしていた。直也は、すっきりしない気持ちのまま菜々に優子と別れた事を伝えようと仕事を終った後に、1時間かけて菜々のアパートに向うのである。
菜々は、直也が来るとも思わず、仕事を終えて食事も済ませてゆっくりテレビをみながら寛いでいた。
直也は、菜々のアパートに着いて車のエンジンを止めて、菜々の部屋に明かりがついているのを確認して、玄関の呼び出しボタンを押す。
<直也>
・菜々の部屋のドアの前に立ち呼び出しボタンを押す。ピンポーン!ピンポーン!と2回鳴らす。
(ドアの方に歩いてくる足音が聞こえる)
<菜々>
・ドア越しに「はい。どちら様ですか?」と声をかける。
<直也>
・こんばんは。「菜々。俺、直也だよ」ちょっといいか?
<菜々>
・え?直也先輩?と言いながら部屋の鍵を空けて、ドアを開ける。
先輩、こんばんは、どうしたんですか?
(菜々は心の中で彼女と別れた報告だと思うのである)
<直也>
・突然すまない。話があってきたけど、ちょっと時間くれないか?
(別れた事だけは伝えようと思う直也)
<菜々>
・話ですか?いいですよ。立ち話もなんですから中へどうぞ。
(部屋の中に案内する)
<直也>
・お邪魔しますと言って奥の部屋に案内される。
<菜々>
・先輩!コーヒーでいいですか?それともビール飲みますか?
(機嫌よさそうに話す菜々)
<直也>
・車で来たし明日仕事だし、それにちょっとだけ話があってきただけだしさ。
座って聞いてくれ!
<菜々>
・先輩!わかりました。話先に聞きますね。で?話は何ですか?
(直也と対面で座り話を聞こうとする)
<直也>
・あのさ。ついこの前、俺彼女と別れたから!
(優子と別れた事を伝える直也)
<菜々>
・先輩!彼女と?別れたのですね?菜々嬉しいです。
菜々との約束守ってくれたのですね。
先輩は私の彼ですよね?
(菜々は自分の思い通りになったことを喜ぶ)
<直也>
・そうだ。菜々の彼は俺だよ。
別れた事を伝えに来ただけだから、遅いから今日はもう帰るよ。
(直也は、どうも優子の事はすっきりしないが、別れた事を菜々に伝えた)
<菜々>
・先輩!ビール飲みましょう!今何か作りますから!
今日は菜々と先輩にとって大事な記念日だから、帰るなんて許しませんからね。
(菜々は思うようになり、自分の寂しさを埋めるために直也を帰さないようにする)
<直也>
・今日は突然来たのだから、また今度の機会でいいじゃないか?
(気乗りしない直也である)
<菜々>
・先輩!菜々の彼だから、私の言う事聞いてもらいますよ。
それに、記念日に帰るなんてそんな酷いことしませんよね?
そういいながらビールを出してくる菜々。
(一度言い出したら聞かない菜々)
<直也>
・分かったよ。仕方なく諦めて菜々のところに一晩世話になろうと決める。
(すっかり菜々のペースに引き込まれる)
<菜々>
・先輩帰ったら、また菜々を泣かせるところだったんですよ。先輩飲みましょう?
ビールどうぞとコップにビールを注いできて、乾杯と言って飲み始める。
(菜々は満足そうにビールを飲む)
*2人でしばらく飲みながら話をした。
直也は、菜々と付き合うと決めたものの優子の事が気になって仕方なかった。今更どうする事も出来ないし、それに菜々が直也に対しての気持ちは寂しさを埋めるためだけとは知らず直也は、ただ優子と別れた事を伝えるだけのつもりが、菜々のアパートで一晩を過ごし、ついに一線を越えてしまうのであった。
2人は、翌朝仕事があるため、早く起床して会社へと向った。
2人の話の中で、菜々は自分の寂しさを埋めるため、直也の優しさを利用し、毎日でも直也に会いたいと伝えた。直也も優子の事を1日でも早く忘れるために無理してでも仕事を終えてから菜々に会いに行く日々が続いた。過酷な時は、仕事を終えて菜々のアパートまで1時間の道のりを車で向かい到着するのが夜中の12時を過ぎ、寝ずに遊んで朝方5時に菜々と別れ自宅に戻り仮眠も出来ないままシャワーだけ浴びて仕事に行くといった日々が長く続いた。
付き合って3ヶ月が過ぎたある日の事、直也は、体調を崩し会社を2日間休んだ。菜々と付き合ってからの疲れが蓄積したのである。
そんな2日目の夜の23時に直也の自宅の電話がなる。ワンコールで切れたと思ったら、何度も電話が鳴る。もしかして?優子かなと思いながら、受話器を上げて電話に出る。
<直也>
・もしもし!どちら様ですか?
(体調が悪く元気のない声で電話に出る)
<優子>
・もしもし!直ちゃん?私!優子だよ。
ごめんね!迷惑だよね?電話切らないで聞いて。電話するなって、怒られるけど、どうしても声聞きたくて。元気?彼女とうまく付き合っているの?何か直ちゃん声おかしいね?どうしたの?大丈夫?
(優子は必死に直也と話がしたくて色んな事を聞いてくる)
<直也>
・ちょっと体調崩してさ!でも元気だから!
(体調が悪いときに優しくされると直也は戸惑う)
<優子>
・直ちゃん!彼女とはまだ付き合っているの?ねえ~?教えてよ~?
(優子は直也の声を聞いて、体調崩した原因は彼女だと直感した)
<直也>
・彼女とは付き合っているよ!悪いけど体調悪いから電話きるぞ
(直也はとにかく体を休めたかった)
<優子>
・わかった直ちゃん!ゆっくり休んで早く治して頂戴!おやすみなさい!
また電話するねと言って電話を切る。
(優子は直也が優しい性格をしている事は誰よりも知っていた。体調が悪いのは、きっと彼女が原因である事は間違いないと確信する優子である)
*優子は、直也の声を聞き、体調が悪い原因が菜々だと確信したことで、ある行動を取る!
優子の勇気ある行動が、今後の更なる展開を運んでくる。
さて、優子が取る行動とはどんな行動となるのか?
直也・菜々・優子の恋の行方は、いったいどうなっていくのであろうか?




