第二話 解消の提案
優子の辛い気持ちを察した直也は、気がすむまで泣いていいよと言った。よほど苦しかったのか、小さな体全部を使って振るえながら泣く姿を見て、優しく抱きしめてあげることしか出来なかった。優子が胸の中に飛び込んで来てから、10分が過ぎた時。「もう。大丈夫だから」と言いながら、直也の顔を見上げハンカチで涙を拭く優子であった。
<優子>
・直也君、ごめんね。こんな恥ずかしい所を見せて・・・。
泣いたらすっきりしたし、話聞いてくれてありがとう。
<直也>
・俺は、話聞いただけだし、何もしてないですよ。少しでも優子さんの気持ちが
楽になったのなら、いいですけどね。ベンチに座って気持ち落ち着けようよ。
*2人でベンチに座る。
<優子>
・初対面の直也君の前で泣いたりして、私年上なのに、かっこ悪いね?
それに私もう自信ないよ。
<直也>
・年上の女性が初対面の人の前で泣いたりする事がそんなにかっこ悪い事ですかね?俺はそうは思いませんよ。誰しも自分が可愛いから、自分を守ろうとする。泣きたいときは、泣けばいいし、怒りたい時には怒ればいいし、笑いたい時には笑えばいいし、苦しい時には苦しいと言えばいいし、むしろ自分の感情をそのまま出せる事は素晴らしいと俺は思いますよ。
それに自信がない?皆自信なんかないですよ。
<優子>
・分かったような事、言わないでよ。直也君には、私の気持ちわかるはずないよ。
人より背が小さくてコンプレックスにさえ思っている私が、結婚の事で悩んでいるんだよ・・・。結婚だよ?結婚。一生の事だよ?
<直也>
・優子さんの気持ち?俺には分かりませんよ。でも言わせて貰います。
背が小さいから?結婚悩んでる?じゃ~彼と別れて結婚やめたらいいじゃないですか?簡単な事ですよ。悩まなくてすみますから楽になりますよ。
<優子>
・何?その言い方?ムカツク!所詮人の事だからそんなふうに言えるんでしょ?
<直也>
・そうですよ。俺の事でないしね。でも俺なら、自分の気持ちと向き合いますけどね?
背が小さいから結婚がどうだとかより、今の自分の正直な気持ちに問いかけますけどね。どうしたいのかってね。優子さんは、逃げているだけじゃないですか?
<優子>
・どう言う事よ?自分の気持ちと向き合うって?分かるように説明してよ。
それに私逃げてなんかいないよ。
<直也>
・怒らないで聞いてくださいね?優子さんは、結婚が進まないのは、自分の背の低さ にしたり、彼のせいにしたりしていると俺は思います。一番大切な事は、優子さんがどうしたいかだと俺は思います。彼と結婚を本気でしたいかどうかだと思います。
そういう自分の気持ちから逃げているようにしか俺には見えません。だから向き合う事が大切だと思いますよ。彼とも向き合いましょうよ。そして彼と話し合って、優子さんの気持ちをぶつけて結婚を本当にしたいのかを確認した方が言いと思いますよ。何か生意気な事言ってすいません。
<優子>
・ほんと。生意気ね。でも悔しいけど直也君の言っている通りだと思うよ。自分の気持ちと向き合わないといけないね。どこかで、上手くいかない事を、背が小さい事が理由だろって、自分で勝手にそう思っていたのも事実だし、私との結婚の事を彼に確認する事が怖いと思っていたのも事実だよ。
<直也>
・結婚の事は良く分かりませんが、優子さんが不安に思っていることを、彼にぶつければいいじゃないですか?結果を恐れていては何もはじまりませんよ。○か×しか結果はないですよ。
<優子>
・結果を恐れずね~。何か怖いな~。
<直也>
・怖い?何言ってるんですか?子供じゃあるまいし、自分のことでしょ?
しっかりしてくださいよ。
<優子>
・でも~・・・・。聞くのが怖いな・・・・。
<直也>
・まったく~。面倒くさいな~。結局悪い結果を言われた時に、傷付くのが怖いだけじゃないですか?
<優子>
・どうせ私は、面倒くさい女です。傷付くのが怖くない人なんていないでしょ?
<直也>
・開き直るのですか?
まあ~。魔法使いに頼んで、魔法でもかけて貰ったら、怖くないかもね?
<優子>
・ふ~ん。魔法ね?いい考えだね?
って?私を馬鹿にしてるでしょ?私真剣に悩んでいるのに・・・。
<直也>
・とんでもない。馬鹿になんかしてませんよ。ただ面倒くさいな~って思ってます。
傷付のが怖い人が、恋愛だとか結婚だとか言ってる事が面倒ですよ。
結婚も本気じゃないのではないですか?
<優子>
・面倒?面倒?って?いいかげんにしてよ・・・・。
結婚だって、本気で考えてるのに・・・・。ひどいよ。直也君。
<直也>
・やっと本当の気持ちを出してくれましたね?ひどい事言ってすいません。
こうでも言わないと優子さんの本音が聞けなかったですからね。許してくださいね。これで分かりましたよ。あとは、簡単ですよ。彼とちゃんと話すことでよ。
<優子>
・え~?私の本音を聞きだす為に?ひどい事を?なんかどっちが年上かわかんないね?
<直也>
・年上の扱いは、晴美で慣れてますからね。まあ~優子さんの方が、はるかに扱いやすいですけど(笑)。
<優子>
・直也君には負けるよ。晴美が居るからね。どおりで年上の扱いが上手なはずだね。
でも晴美とは一緒にしてほしくないな・・・。
<直也>
・大丈夫です。晴美の方がかなりわがままなお嬢様だから、取り扱いは超上級者ですから。大変です(笑)
<優子>
・直也君。「ありがとうね」私の悩み真剣に聞いてくれて。彼に聞く前に、もう一つだけ、直也君に聞いていい?
<直也>
・何ですか?
<優子>
・直也君が私の彼の立場で、私の背が小さい事が原因で結婚の事を悩んでいると話されたら、どう返事するか聞かせて欲しいんだ。
<直也>
・俺の考えでいいの?
<優子>
・うん。私に悪いとか思わないで、直也君が私の彼になり切って、直也君の考えでいいから聞かせて欲しいの。
<直也>
・人それぞれ、考え方や性格は違うと思うから、俺が優子さんの彼になり切って話しても何の意味もないのでは?
<優子>
・そんな事ないよ。私の彼無口だから、上手く話せるか自信ないから・・・。それに直也君の考えを聞いて、どっちに転んでも大丈夫なように心の準備しておきたいんだ。
<直也>
・分かった。そこまで言うなら、俺が優子さんを彼女と思って回答するよ。
<優子>
・うん。お願いします。
<直也>
・じゃあ。せっかくだからリハーサルしようよ。俺も真剣にするから、優子さんも真剣にね。彼の回答とは違うかも知れないけど。優子さんの練習にもなるでしょ?
<優子>
・え~?リハーサル?そこまでしなくていいよ。
<直也>
・何言ってるの?結婚の事だろ?後悔しないようにそこまでするよ。いいね。
<優子>
・分かった。直也君優しいね。
*優子が、結果を恐れず、自分の悩みである、「背が小さい事が原因で結婚話が進まないのか。彼が私を好きかどうか、確かめるべく、最悪の事態も予測し、傷付く事を恐れず、覚悟を持って彼と向き合う為のリハーサルに入る。
優子の彼は無口、直也は仕事柄、お客さん相手の仕事で会話は上手くできるタイプ。
まったく間逆とも思える性格を感じる優子だった。
直也が彼の役をするので、優子の悩みにどんな回答をだすのか?
いよいよリハーサルのスタート・・・・。




