晴秋side-6
朝7時37分。
俺はドレスシューズの踵をコツコツと鳴らしながら県道74号線を小田原駅西口に向かって歩いていた。
昨日あった出来事が一瞬頭をよぎったけど、多分きっともう大丈夫…だと思いたい。
神薙の性格から考えるに、何かあっても言ってこないんだろうな〜。一緒にいられる時はいいんだけど、ずっとってのは難しい。
…うーん。
まぁ、考えても答えは出ないんだけどさ。
だって俺馬鹿だし。
そんな事を考えていると、小田原駅西口にある北条早雲像が見えてきた。
神薙も宗人も来ているのが見えたので、大きく手を振ってみたが、2人とも振返してはくれない。どうやら恥ずかしいらしい。
「チェっ、冷てーな。」
独り言を呟きながらも2人と合流して学校へと続く道を歩きながら話す。
「晴秋、何だか顔腫れてるんだけどまた喧嘩したの?」
やっぱ目立つのかな?
「おぅ。ちょっと、な。まぁ、いつもの事だ気にすんな!」
全く晴秋は…と、ブツブツと何か言っている。俺は神薙の方に目をやると、宗人に気付かれない程度に小さく手を上げて挨拶を交わす。
神薙もニコッと笑って答えてくれる。
どうやら昨日の事はもう気にしてないらしい。
さっきまで神薙が気にしてたら…なんて事を考えてたんだけど、大丈夫みたいで良かった。
「あ!そうそう、晴秋昨日お昼で帰っちゃったから、副委員長として伝えておくけどさ、昨日の5時限目小テストだったんだけど、平均点取れなかった場合、3日間2時間居残り補習に強制出席。最終日に再テストを受けてクリア出来なかった場合には、土曜日の午前中特別補習として、先生とマンツーマンで勉強会らしいよ。まぁ、僕と神薙さんは合格してるから問題ないけど、晴秋はバックれちゃってるからな〜。多分生徒指導室に呼ばれてからの補習になると思うから頑張ってね!」
マジか⁉︎
あ!そう言えば先週担任の先生がそんな事言ってた様な気がする。
「まーぁ、しゃーないわな。んで、補習っていつな訳?」
俺は神薙と宗人に訪ねる。
「採点もある事だし、多分来週の月曜日位にはテストが返却されるから、火・水・木と補習を受けて金曜日再テストってところじゃないかしら?」
お!今週じゃないならよかった。
「なぁ、お二人さん。今日の放課後って空いてたりする?」
宗人は多分オッケーだと思うんだけど、神薙の予定がわからない。帰ったら掃除やら夕飯の準備なんかもあるだろうから、取り敢えず予定を聞いておきたい。
「僕は家に帰るだけだし、特に予定なんてないから空いてるよ。」
宗人は大丈夫と。
「私も特に予定なんて無いから大丈夫よ。掃除も夕飯の準備も正直なところ、毎日ボーッと過ごすのが嫌だったからやってるだけだし、基本的には父に連絡さえすれば代わってくれるから全然大丈夫よ。なに?ひょっとして新たなラーメン屋さん発見したとか⁉︎私、全然行けるわよ?」
おぉ!神薙ノリがいいね!
「オッケーオッケー!んじゃ、2人共放課後空けといて。実はさ、2人に紹介したいヤツらがいてさ。まぁ、言うなれば俺の悪い方の友達。でも、怖いヤツらじゃないし、ただ不器用で友達の作り方がわからないってだけの気さくな連中だから安心してくれ。」
この2人になら安心して紹介出来るし、ビビらず受け入れてくれるって信じてる。
「僕は全然大丈夫だよ。晴秋の友達の話なら前から時々聞いてるし、僕も友達が増える事は単純に嬉しい。それに晴秋が自信持って紹介してくれる知り合いなら極悪人って事はないだろうしさ。」
宗人は俺といる事でヤンキーに免疫出来てるから大丈夫だな。
あとは神薙だけだが…
「私も別に平気よ?晴秋の友達なんでしょ?だったら平気よ。それに私も友達が増える事は嬉しいし…ねぇ晴秋、その中には女の子の友達っている?」
やっぱ2人共いいヤツらだ。
「女子ならウチの倶楽部の正式メンバーじゃないけど1人いるぜ?ギャルっぽいけど喧嘩強くて若干男まさりだけど招集掛けとくわ!オッケー!んじゃ帰りラーメン行こうぜ!」
昨日の出来事がまるで嘘の様に心晴れてる。
そんな事を考えながら、俺達は学校へと続く坂道を登って行った。




