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Triangle Relation  作者: 東京 澪音
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晴秋side-4

「ちょっと救急箱持ってくるから、適当に寛いでて。」


そう言うと、神薙はふすまを閉めて部屋を出て行く。


なんか久々に神薙んちにお邪魔した気がする。

良く考えたらここって女の子の家なんだよな⁉︎


神社に来てるって感覚が強いから、あんまり女の子の家にお邪魔してる感がないんだわ。


なんか複雑だわ〜。

他の男子からすれば羨ましいシュチュエーションなんだろうけど、今の俺にはそんな感情が湧いてこない。


神聖な場所だからとか関係あるのかな?


宗人みたいにスピリチュアルオタクじゃないから俺にはよくわからないけど、非モテ男子からすれば羨ましくみえちゃうかもな。


そんな事を考えてると、救急箱を持って神薙が戻ってきた。


「ほら!手当てするからジッとしててよ。まぁ、多少滲みるかもしれないけど、晴秋は男の子なんだから我慢しててよね。」


なんかちょっと馬鹿にされた様な気もするが、気にしないでおく。


マキュロンを含ませた脱脂綿で、目の端や口の端をチョンチョンといったペースで消毒していく。


「っつつ、滲みるな〜。」


タイマンじゃなかったから何発か貰った。

明日腫れなきゃいいけど…腫れるわな。


「あ、ゴメン!痛かった?もう少しだから我慢してね?」


なんだかんだ言っても神薙は優しい。

結局は心配してくれたりなんかする。


「…晴秋、本当ゴメンね。私なんかの為にこんな怪我させちゃって。私はね、自分が傷つけられたりする事には馴れてるつもり。けど、私の為に誰かが、友人が傷つくのは耐えられない。今日初めてそれに気づいた。おかしな話、これって真面な友人なんていなかったから知らなかった感情だよね?助けてもらってこんな事言うのもどうかと思うけど、もうこんな無茶はしないでね!私、次こんな事があったら耐えられる自信…ない。」


さっきの事、思い出しちまったんだろうな。

神薙は溢れ出す悲しみを必死に堪えながらそう言った。


「なぁ神薙、私なんかとか、あんまり悲しい事言うなよな。俺は不良だから、殴られたり殴ったりは慣れっこだ。そりゃあどっちも痛いよ?けどな、こんな俺でもさ、目の前で友人が傷つけられたり傷ついたりしてたらさ、凄くムカつくし、凄く悲しい。今日みたいな事がもしまたあったとしても、俺は同じ様にするし、どんな事からだって守ってみせる。お前と同じ様に、俺もそれに耐えられる自信ないからさ。」


何を言おうとしていたかなんて、途中からわからなくなっちまったが、多分頭のいい神薙には通じたと思う。


少し大きめな絆創膏を貼り終えると、大きなため息を一つ漏らす。


「お互い馬鹿で不器用よね。さて、私は掃き掃除と夕飯の準備しなくちゃ!晴秋はそこでゆっくりしてて。ご飯出来たら呼ぶからね。」


ゆっくりしててって言われても間がもたねーよ。

しかも人ん家だし。


「神薙、掃除って竹箒で穿けばいいのか?なら俺がそれやっておくから、神薙はご飯の支度しちゃえよ?俺も退屈って苦手だしさ、俺が掃除したら多少はお前も楽だろ?手当ての礼だと思ってくれて構わんよ。それに腹減っちゃったから早めに頼むわ。」


本当、不器用だよな。

こんな時、宗人ならうまく言うんだろうけど、俺にはこれが精一杯。


「じゃあ、早めにご飯にするね!使ってゴメン。掃除お願いするわ。あ、社務所にお父さんいるから、竹箒の場所聞いて。」


神薙は少し恥ずかしそうに笑った。


「おう!」


その顔があまりにも可愛くみえて、そう答えるのが精一杯だった。


「晴秋、マブダチっていいね。私を見つけて話掛けてくれて、気にかけてくれてありがとう。」


多分きっと神薙は泣いていたんだと思う。

けど、ソイツに気づかない振りしてやるのも、いい男ってやつなのかもしれない。


俺は神薙の頭をまたクシャクシャってして、神薙の親父さんがいる社務所に向かった。


声を掛けると親父さんはいつもの調子で明るく話てくれる。


凄く気さくで人懐っこい笑顔は、神社の神主に相応しいと言えるだろう。


「お!晴秋君いらっしゃい!今日はどうした?」


本当の事なんて話せやしないから、適当に答えてはぐらかした。


「そう言えば竹箒てどこですか?今日神薙にご飯ご馳走になるお礼に掃除の一つでも手伝おうかと思って来たんです。」


そう話すと、親父さんは笑って竹箒を用意してくれた。


「晴秋君、君は不器用だね。娘と同じ位に。多分君は真実を話さないだろうから問いただしたりはしないよ。でもこれだけは言っておきたい。娘の為にありがとう。」


そう言うと、俺みたいなクソガキに躊躇いもなく頭を下げる。


この人には敵わない。

結局は全てお見通しなんだと思う。


「俺、頭悪いっすからこんな事しか出来ないんです。でもアイツは、神薙はこんな俺の事を躊躇なく友達だって言ってくれます。友達なんて殆どいなかった俺ですが、それがスゲェー嬉しいんです。だからどうか俺なんかの為に頭を下げないで下さい。」


それ以上は流石に恥ずかしかったから、竹箒を手にすると俺はそそくさと神社の掃除に取りかかった。



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