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Triangle Relation  作者: 東京 澪音
19/23

晴秋side-2

ジグザグ走行をするアメリカンチャリの後ろに乗って駅前のバーガーショップまでやってきた。


「セッキーさ、なにもジグザグ走行しなくてもよくねぇ?疲れるだろによ〜。」


俺の質問に対して、何故か親指を立てて笑顔になるセッキー。


全然褒めてねーから。


アメリカンを駐車スペースに止めると、セッキーと二人でバーガーショップに入る。


「ここまでアメリカンの後ろに乗せて貰ったからさ、奢るよ。俺はテリヤキセット。飲み物はアイスティー。セッキーは何にする?」


セッキーはメニューを見ながら注文をする。


「あ、なら俺はチーズバーガーのセット。飲み物はルートビアで。よろしく哀愁!」


時代錯誤な言い回しで注文を済ませると、俺はレジで支払いを済ます。


多少時間がかかるみたいなので、一番角のボックス席に座ると、俺は窓の外を見ていた。


時間は15時を過ぎたところだった。

そろそろ学校が終わる頃だが、神薙はその後大丈夫だっただろうか?


まぁ、宗人が一緒だから何かあっても平和的に対処してくれる筈だから問題ないとは思うが、その場に一緒にいないだけでこんなにも歯痒いものなのか?


出来ればアイツら二人には日々穏やかに過ごしてもらいたいと常々思ってるんだけどな〜…。


道行く同年代位の学生を眺めながらそんな事を考えていると、店員のお姉さんが注文した商品を持って席までやってきた。


ソレを受け取ると、空きっ腹にテリヤキバーガーをアイスティーで流し込む。


セッキーもお腹が空いていたみたいで、凄い勢いでチーズバーガーに食らいつく。


しかしルートビアってなんだ?

俺はセッキーにルートビアについて尋ねてみた。


「まぁ〜説明するより飲んで貰った方が分かりやすいだろ。ほれ、飲んでみ?」


ルートビアを差し出され、ソレを一口含んでみる。


⁉︎


「うっわ〜なんだコレ⁉︎湿布?ちょっとサロンパスみたいなんだけど!あ、目にしみる〜」


俺の反応が面白かったのか、セッキーは腹を抱えて笑いだす。


「サロンパス!そう、正にソレ!俺も初めて飲んだ時はベーヤンと同じ様な反応したよ。でもさ、そのうちソレが癖になるんだよね〜。」


慌ててアイスティーを流し込み口直しをして、セッキーにルートビアを返す。


「俺には理解出来ないよ。正に飲むサロンパス!ヤバイな。」


あーまだ口の中がサロンパスだ。

俺はポテトとアイスティーを流し込み、もう一度口直しする。


ポテトの脂っこさと塩味がサロンパス臭を緩和していく。その後でアイスティーを口に流し込むと、サロンパス臭は徐々に薄れていった。


セッキー曰く、アメリカではとてもポピュラーな飲み物なんだとか。

一瞬、本当か?とか思ったが、アメリカかぶれのセッキーが言うんなら本当なんだろうな。


しかし、こんなもんを注文するとか、セッキーはやっぱりちょっと変わっているんだな〜と思った。


それからセッキーの学校の事や、自分の学校の事などを話しながらバーガーショップでしばらく話し込んだ。


時計を見ると午後16時を過ぎたとこだった。


「あ、16時過ぎてんじゃんか⁉︎悪いベーヤン、俺妹迎えに行かなきゃいけねーんだわ。ここで解散でいいか?」


セッキーが申し訳なさそうに頭を下げるもんだから、俺は気にするなと一言告げてバーガーショップを出る。


「じゃ、またな!」

セッキーはそう言うと、アメリカンにまたがり駅の方に消えてった。


その背中をしばらく見送ると、俺はその反対方向へと歩き出す。


急に一人になるとさ、少し寂しくなるもんなんだな。周りを見渡してみたが、見知った顔は見当たらない。


学生服の内ポケットから禁煙パイポを取り出すと、それを咥えて歩き出す。


荻窪辺りに差し掛かると、見知った顔を見かけた。


昼間神薙に体当りしてきた女だ。


その少し先に男女6人が一人の女の子を取り囲む様に歩いている。


その女の子は俺がよく知ってる顔だ。

そう神薙だ。


それは明らかに楽しく下校と言う雰囲気ではない。そもそも神薙は電車通学だから方向が違う。宗人がいない事から、多分別れた所を狙われたんだと思う。


嫌な予感がした。

それと同時に抑えきれない怒りだ。


取り囲んでる連中の女子は皆神薙を面白く思ってない奴らで、野郎どもは多分そんな女どもの馬鹿な男友達って言ったところか。


気づかれない様に後を追うと、人気のない小さな公園に入っていく。


神薙は突然背後から勢いよく押されると、砂場に倒れこんだ。


「昔っからアンタの事が大っ嫌いだったのよ!ちょっと顔がいいからってチヤホヤされてさ。ちょっと頭がいいからっていい気になりやがって!二度と調子にのれない様にしてやるから覚悟しろよ!」


そう言うと、一人の女が倒れた神薙の背中を蹴る。

周りの連中はそれを見てケラケラと笑う。


一人の男は笑いながら砂を蹴り上げ神薙にかける。


男が3人に女が4人。

女は軽く脅せば何とかなるとして、3対1か。


普段の俺なら考えて喧嘩をするけど、目の前で大切なマブダチが酷い目にあっているのを見て、完全に頭に血がのぼったんだとおもう。


絶対許さない!


「おい!そこのヤツら。お前ら俺のマブダチに何やってんだよ!」


そう言って、睨みを効かせながら近づいて行く。


何人かの女はビビって、後退りする。

俺は神薙に砂をかけた男に取り敢えず一発ボディを食らわせ、腹を押さえて蹲ったところにトドメの一発。


神薙の背中を蹴った女の頰を引っ叩くと、わざとらしくその場に倒れこむ。


残りの男2人を相手に立ち回ると、何発かは顔面と腹や背にパンチやキックを食らったが、神薙を助ける事が出来た。


「お前らよ、もしも次にこんなくだらねー事したらどんな手を使ってでも徹底的に追い込んでやるからよ。おぃ!聞いてんのか?効いてるふりしてねーで立てよコラっ!」


そう言い放って、砂場に蹲る三人の内の1人の頭を軽く叩いて立ち上がらせる。


男3人対俺1人。負けるとは思ってなかったんだろう。ちょっとばかし脅かすと、野郎どもは完全にビビっていた。


「おぃ、ヤベぇーって!コイツってあの安倍だろ?どーすんだよ⁉︎」


小声で何か話している声が聞こえてきたが、どうでも良かった。


「それからそこのねえちゃんら。俺は自分の大切な仲間を守る為だったら、女だろうと容赦しねーからよ?わかったか?わかったんならサッサと去れよ!」


少しドスの効いた声で脅すと、神薙をいじめてた連中は逃げるように帰っていった。


「大丈夫かよ神薙?」

神薙の手を取り助け起こすと、制服に着いた砂を払って、内ポケットからハンカチを取り出し神薙の顔についた砂を落とす。


「取り敢えず綺麗な顔に傷がつかなくてよかったよ。そのかわり腕とかには黒ずみとか結構あるな。なんでよう、なんで今まで黙ってた?気づかなかった俺にも責任はあるけどよ、助けを求めなかったお前にも責任はあるぞ⁉︎」


神薙は黙ったまま俯いている。


「俺たちはさ、マブダチだろ?マブダチなんだからよ、困った時には遠慮なく相談しろよ。自分1人で対処出来ないなら俺を頼れ。そりゃ〜さ、俺は頭が悪い馬鹿だけどさ、どんな事があっても絶対にお前を裏切ったりしない!だからこれからは俺をもっと信じろ!わかったか?」


そう言って神薙の頭をわしゃわしゃと撫でると、神薙の瞳から一粒2粒と涙が流れ出した。


手に持っていたハンカチでその涙を拭ってあげる。


押し殺していた感情が溢れ出し、ついには俺の胸に顔を埋めて声をあげて泣いた。


出来る限り優しく背をさすり、落ちつくまでその場に立ち尽くす。


しばらくすると神薙が口を開く。


「ゴメン、迷惑かけたね。何発か殴られたりしてたけど大丈夫⁉︎あ、目尻から血が出てる!口も切れてて血が出てるよ!大丈夫⁉︎病院いく⁉︎」


神薙は白い綺麗なハンカチで血の出た場所を止血のために押さえる。


「これくらい大丈夫だって!日常茶飯事だから。それよりさ、一応アイツらには脅しを入れておいたから今後は大丈夫だと思うけど、なんかあったら今度こそすぐ知らせてくれよな。」


神薙は申し訳なさそうにうなづくと、さっきよりも随分と柔らかい顔になっていた。


「ところでね、晴秋。その傷をそのままには出来ないから、せめて私に手当てくらいさせて。私達マブダチなんでしょ?なら、私にだって晴秋の手当てくらいしたいわ。」


その顔がとても真剣で、またとても可愛くってさ。


気がつくと小田原駅から秦野に向かって神薙と2人で電車に乗り込んでいた。







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