談じょし!
これは平凡な高校に通う女子高生が適当に話題を振り、淡々と雑談をするものです。
また、この録音は修正、カット、効果音を入れている場合があります。雑談の全てを流しているわけではありません。
出来るだけ会話の辻褄や合わせるようにしておりますが、全てこの限りではありませんのでご了承ください。
ゆずゆ「ねえねえ、テストどうだった?」
あずさ「それは誰に言っているんだ?」
ゆずゆ「いや、普通に考えてあずさに決まってんじゃん。つれないな~。いちいち名前であずにゃんって呼ばなきゃ駄目なの?」
あずさ「一度もあずにゃんなんて呼んだことないだろ。それにブリッジを見せつけながら言われても私は反応できないぞ」
ゆずゆ「え~~~。なんか魂的な意味で伝わらない? こう、心で通じ合っている的な!」
あずさ「それが出来ればこの世に言語なんてないだろうさ」
ゆずゆ「それで? テストはどうだった?」
あずさ「まあ、普通……かな」
ゆずゆ「出たよ!! 普通! HU・TU・U! そういう奴限って良い得点取るんだよなぁ」
あずさ「いやいや、必ずしもそうとは限らないだろう」
みなと「あずさちゃん、ゆずゆちゃんおはよー!」
ゆずゆ「みなと、おっはー。でも、もう昼過ぎだよ」
あずさ「お早う、みなと。もう昼過ぎだけど」
みなと「そんな二人して真顔で返されても……。それよりもさっきのテストについて話しているの?」
ゆずゆ「そうそう。みなとちゃんはテストできた?」
みなと「ううん。思ったよりできなかった」
ゆずゆ「出たよ!! 思ったよりできなかった! DE・KI・NA・I! そういう奴に限って良い得点取るんだよ」
みなと「ど、どうしたの? いきなり大声出して」
ゆずゆ「全くどいつもこいつもテストどうだった?って聞くと何で普通とかできなかったとか言うんだろうね! 全くおこだよ。激おこぷんぷん丸だよ」
みなと「あのー、ゆずゆちゃん?」
あずさ「言うな、みなと。こいつはアホだから何を言っても無駄だ」
ゆずゆ「ふっ。嫉妬するなよあずさ。いくら私が天才だからといって嫉妬は良くな―――関節はそっちに曲がらないいいぃぃぃぃぃ!!!」
あずさ「許せ。ゆずゆの言葉になぜか腕を540°曲げたくなる衝動に駆られた」
ゆずゆ「ううう。ぐすん。手に力が入らないよぉ……」
みなと「大丈夫? 絆創膏あげよっか?」
ゆずゆ「絆創膏の使い方わかってる? 絆創膏じゃ関節は治らないよ!? って、上腕にペタペタと絆創膏張るな! しかも痛いのそこじゃないし!!」
あずさ「それで? 結局、ゆずゆは何を言いたいんだ」
ゆずゆ「なぜみんなテストの出来が良いと言わず普通とか言うのか議論したいよ」
あずさ「それは議論する意味はあるのか。しかもテストの出来の良い前提かよ」
みなと「んー。そもそも必ずしも全員が全員点数が取れている訳じゃないと思うけどなー」
ゆずゆ「と、言いますと?」
みなと「やっぱり点数って低いと恥ずかしいって思う人もいるし、逆に頭が良いって知られたくない人もいると思うの」
ゆずゆ「? なんで別にいいじゃん」
みなと「ゆずゆちゃんはそれで良いかもしれないけど、でも皆が皆ゆずゆちゃんじゃないから。点数に関してからかわれると傷つく子もいるんだよ。いわゆる、自分を守るための回避手段と言ったところかしらね」
あずさ「そうだな。頑張って努力しても必ず点数になるとは限らないからな。周りからガリ勉認定されて案外点数が取れてないとかで陰から笑われるのも腹立つし」
ゆずゆ「うーむ。良く分からん」
あずさ「まあ、ゆずゆはそういうのは分からなくていいよ。お前はそのままで良い」
ゆずゆ「あずにゃん……。……ポッ」
あずさ「……なぜ頬を赤らめる。こら、何でいきなり抱きつくんだ。ちょっと、変なとこ触るな!」
ゆずゆ「だってあずにゃんがイケメンみたいな事言うから」
あずさ「そろそろ、あずにゃん言うのやめろ。ガチで寒気がする」
ゆずゆ「あ・ず・にゃ・ん♪ ―――こ、こめかみが潰れますあずささん。すみませんでした。ごめんなさい。お願いですから私のこめかみを手で押しつぶすのは勘弁してください」
あずさ「調子に乗るな」
みなと「ふふふ」
ゆずゆ「ううう、痛いよー。それじゃあ、あずさはどうなの。なんでテストで普通とか言う人がいると思う?」
あずさ「そうだな。テストに自信がないからじゃないか」
ゆずゆ「テストに自信がないから普通って言うの?」
あずさ「ほら、普通って言っても人によって違うだろ。50点を良い点と感じる人もいれば、悪い点と感じる人もいる。とりあえず、『自分の中では』普通の出来だったと言っとけば無難だろ。何より、テストの出来の感触が良くても実際良くない時もあるしな。適当に話を合わせるために普通って答えるんじゃないかな」
ゆずゆ「……」
みなと「どうしたの? ゆずゆちゃん」
ゆずゆ「みなとちゃんもあずさちゃんも何言ってるか全然分かんないや」
みなと&あずさ「……」
ゆずゆ「なんだかそんなの悲しいよ。誰かに合わせるとかバレないように回避するとか。だって、そういうの話してるの友達だよ? 友達に対してなんでそんな風に考えなくちゃいけないの?」
みなと「ゆずゆちゃん……」
あずさ「ゆずゆ……」
みなと「ねえ、ゆずゆちゃん。じゃあ、あなたの意見聞かせてもらってもいい?」
ゆずゆ「私の意見?」
みなと「そう。あなたの意見。想像で良いから考えてみて。なんでテストの出来をはっきりと答える人がいないと思う?」
ゆずゆ「私は……わかんない。だから皆に聞いているし」
みなと「想像で良いから。ね?」
ゆずゆ「そんなこと言われてもよくわかんないよ。こう感覚的に今のみなとの意見とかあずさの意見とか否定したくなっちゃうの。私はそれを信じたくない。それだけ」
あずさ「はぁ……。お前なぁ」
ゆずゆ「あずさ? どうしたの? 私の頭の上に手なんか置いて」
あずさ「ゆずゆ、お前はいつだってそうだよ。発言が曖昧で不明瞭で言語化できていなくて、それなのにもかかわらず人の意見をどうこう言うし、馬鹿でアホで子供っぽくてさ」
ゆずゆ「私、そんなに馬鹿じゃないもん」
あずさ「だけどさ、そんなお前が何を伝えたいのか分かる私が居てさ。そんな発言を理解できてしまう私が居てさ。何て言うかその……ごめん。私もゆずゆと一緒だ。気持ちは分かってはいるけど、言葉として出てこないや」
みなと「少なくとも、私達はゆずゆちゃんに対して自然体で接してる。だからそれだけは安心して」
ゆずゆ「うん。わかった」
みなと「ふふ。じゃあ、この話はこれでお終い。それにそろそろ授業も始まるし、私は自分の教室に戻るわね」
ゆずゆ「うん。バイバーイ」
あずさ「また後でな」
数日後。
あずさ「……」
ゆずゆ「魂抜けてるよあずさ。テストそんなにヤバかったの?」
あずさ「39点だった。親に何て言えばいいんだ……」
ゆずゆ「わあー。私と同じだね!」
あずさ「マ、マジかよ。事もあろうにゆずゆと同じ点数だなんて、鬱だ」
ゆずゆ「何か私、かなり失礼な事言われてる!?」
みなと「何をそんなに落ち込んでるの二人とも」
ゆずゆ「あっ、みなと。みなとは今日返ってきたテスト何点だった?」
みなと「私? 96点よ」
ゆずゆ&あずさ「」
みなと「何で今二人とも私と距離を空けたの!? 何でそんな二人とも目が怖いの!?」
あずさ「なあ、ゆずゆ」
ゆずゆ「何? あずさ」
あずさ「お前が言いたかった事、すげえ良く分かった。とりあえず今は」
ゆずゆ「裏切者を粛正する」
ゆずゆ&あずさ「ふふふ……ふふふふふふふふふふ」
みなと「ふ、二人とも落ち着いて。ねえ、話し合いましょ。ちょっ、待っ、きゃああああああああああぁぁぁ!!!!」
その日のみなとの行方は誰も知らない。