第4話 破壊の業火
ハンクの使用したグレネード弾は対人白燐弾で、燃焼効果の高い殺傷武器でもある。着弾と同時に中に充填された白燐が対象物を焼き尽くす。塹壕を攻撃するのによく用いられる。
しかし非人道的な武器だと言われているがハンクにとっては最高のサブ・ウェポンになる。ハンクは再び薬莢を排出して次弾を装填した。酒場は肉が焼ける臭いが充満していた。男達は悲鳴を上げ、次々と倒れていった。
「嘘だろ…?腕の立つ猛者を集めたんだぞ?」
豚は物陰に隠れながら言った。その後ろには縮こまった商人が震えていた。
「やはり無茶ですよ!旦那あっしは逃げます!」
「おい!てめえ逃げるのかよ!」
豚が怒鳴っていると一人の魔導士が近くに吹き飛んで来た。よく見ると顔中火傷だらけだった。
「た、たすけて…。」
男は豚に助けを求めてきたがそれは叶わなかった。その後ろから歩いて来たハンクに男は頭を片足で踏みつけられて潰された。それを見ていた豚は恐怖に震えていた。
「なあ、ここは穏便にしよう?な?なんなら金を好きなだけ出すから、みの…。」
見逃してくれと言いかけたが豚だったがハンクは豚の腹に大振りの鉈を突き刺した。豚は口から血を吐き出した。
「ハッ、てめえ自分で喧嘩を仕掛けたのに今さら何言ってんだ?見逃す?ふざけんじゃねぇ…。」
鉈を突き刺された豚はおびただしい血液を腹部から流れていた。
「うぅ…頼む。」
「地獄に落ちなゲス野郎。」
そういい放つとハンクは豚に刺した鉈を右に回した。回すたびに豚は悲鳴を上げた。そのまま豚の腹部を切り裂いた。血が飛び散りハンクの体に着いた。
ハンクは鉈を振り、鉈に着いた血を落とし、背中の鞘に戻した。ハンクは周りを見渡し、もう一人の商人を探したが逃げたらしくすでに居なくなっていた。ハンクは背中に背負ったバックを降ろし、中を開けた。中には大量の粘土爆弾が入っていた。爆弾の起爆スイッチを起動させるとタイマーがカウントされていく。それを確認したハンクは豚のバックを取り血の臭いが充満した酒場から出ていく。
酒場から20mくらい離れるとバトルコートから葉巻を取り出し、吸い口を牙で噛み切った。マッチで火を点けると一服する。その時爆弾のタイマーがゼロになった途端酒場は大爆発した。
空から酒場の残骸が辺りに落下していく。周辺に住む人々は何が起こったかわからずただ呆然としていた。その中をハンクは何事もなかったように葉巻を吸いながら人混みの中に消えていった。
「不味い事になりました。」
一方リザードマンの商人は携帯魔石電話でどこかに連絡をしていた。電話の向こうの人物が商人に問い掛けた。
『そうだね。その国で商売は無理みたいだね。』
「ハンク・ギードルが出てきた以上この国では活動は不可能です。ですが、金は無事に回収しました問題は有りません。」
『そうか。でもそれはもう必要ないよ。』
「え?」
商人は疑問に思った。
『君は奴に取引場所を知られてしまったからもう用済みだよ。』
「ちょ、お待ちください!金は無事に回収したんですよ?待ってください!!」
『じゃあねぇ~バイビー!』
電話の人物が電話を切った。すると商人は頭を抱えて悶え苦しんだ。激痛が商人を襲い、そのまま商人の頭が破裂してしまった。その光景を一人の小柄な男が見ていた。男は独り言を呟いた。
「第1段階終了~。クク、計画通り。さてあの方に報告しなくちゃ♪」
男はそう言うと闇に消えるように居なくなった。