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コロスキ!  作者: ユキノ
七章 最狂と最弱
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4 次々にうめき声や絶叫、怒号があがり、一時その場は混乱し騒然となった


 前門の虎後門の狼。挟み込まれてしまった、というのが一番適切だろう。

 そうしているうちにも、ぞくぞくと群がり集まってくる。

 ついには数十人の危なっかしい連中の集団に、おれとツキミは周囲を取り囲まれてしまった。


 そのうちのひとりが鉄パイプを振り上げて向かってきた。

 ツキミは刀を振って斬り倒した。 が、すぐに次の奴が襲いかかってくる。角材を振り回し、殴りつけてきた。

 おれは身を屈めた。

 ツキミは接近して、男の懐に一撃を加えてたおす。するとまた次の奴が向かってくる。またもツキミがはね返し、倒した。

 今度はふたり同時に来た。振り下ろされたバットをおれは後ろに飛び退き避けた。

 ツキミが一振り、二振り。

 二人の男はバタ、バタと倒れた。

 これだけ倒しても、周りは人の山だ。ツキミがいくら倒したところで、すぐに次のやつが現れて襲いかかってくる。

 キリがなかった。そしてまた、ひとりが様子を伺って攻撃して来ようとしている。


 ツキミは肩で息をしていた

 。いくらツキミでも数が多すぎるみたいだ。


 おれたちを取り囲む黒い人の壁は、ガンガン圧迫感を与え続けてくる。いつまでこの状態に耐えられるか、打開する方法はあるのだろうか、と考え始めたとき、


「ぐわぁっ!」


 という、うめき声が、取り囲む輪の外側から聞こえてきた。


「どうした?」

「ぎょぇっ!」

「ぎぅんっ!」


 と、次々にうめき声や絶叫、怒号があがり、一時その場は混乱し騒然となった。

 人の壁がだんだんと形を変えて、崩れていった。

 連中の悲鳴や絶叫は止まない。ますます混乱は激しくなる。次第に連中で塞がれていたおれたちの前に、一筋の道ができた。

 その先にいたのは、如意棒と改造銃をそれぞれ構えて奴らに立ち向かう、鹿毛井と平矢間さんだった。


「待たせたな」


 と、鹿毛井は二本指を顔の近くに立てて、

「よっ」

 という風に言った。


 なに格好つけてんだよ、本当に格好いいじゃねえか!


 おれはツキミの手をつかんで、その場から抜け出した。

 敵の陣形はバラバラになり、いったんはピンチを抜け出すことができた。


「囃子、早く行けよ」


 鹿毛井は殴りかかってくる敵を相手にしながら言った。


「桐咲さんを止めに行くんだろう」


 如意棒で激しく打ち付けて、相手をねじ伏せた。


「どうだ!」

と、勝利のポーズを決めて雄たけび。


「どうして鹿毛井たちがここにいるんだよ」


「まえに言っただろ。おれも桐咲さんの暴走を止めるのを手伝うって」


 そうか、そうだったな。確かそんなこと言ってたっけ。すっかり忘れてたぜ。


「だが、あの時とはかなり状況が変わっちまったぞ。それでもいいのか?」


「いまさら遅いだろ」


「ああ。助かる」


「わかったなら早く行け、ここはおれたちが食い止める」


 と、うしろからおれに襲いかかってきたやつを、鹿毛井が棒で突いて倒した。また助けてもらった。

 平矢間さんは銃声を轟かせて威嚇している。


「囃子くん、大丈夫?」


 と、平矢間さんが言った。


「ああ、鹿毛井と平矢間さんのおかげで助かったよ」


「そう。よかった」


 平矢間さんは笑みをみせた。


「ここはわたしと鹿毛井くんが引き受けるから、早くツキミちゃんとかおりちゃんの所へ行って、かおりちゃんを止めてあげて」


「ああ、そうさせてもらうよ」


「本当はね……わたし、一度かおりちゃんのことを応援しようと思ったこともあったんだ。でもね、やっぱりそれはいけないことだってわかってたから、すぐにやめたの。ごめんね。一度でもそういうふうに思っちゃって……」


 哀しそうに笑う彼女の表情を、襲いかかってくる男が変貌させる。

 キッと力強い目つきになった平矢間さんの改造銃が火をふいた。


「だから、今はちゃんと、囃子くんのことを応援してるからね」


「理、行こう」


 と、ツキミが呼んだ。


「ツキミちゃんが呼んでるよ。早く行ってあげて」

「わかった」


 と、おれは言って、


「それじゃあ行ってくる。頼んだぞ、ふたりとも!」


 平矢間さんが銃をぶっ放し、相手が怯んだところに、鹿毛井がすかさず如意棒を振り回して数人を一気になぎ倒した。道が開いた。


 おれとツキミは、また桐咲を目指して、走り出した。


 西校舎を出た。

 あたりから怒号や悲鳴が聞こえてくる。


 追って来るやつはまだいない。

 鹿毛井たちががんばって塞き止めてくれているのだ。


 それにしてもあの不良ども、おれたちを狙うだけでなく、学校を破壊することをも楽しんでいる。


 校舎脇を走り抜け、東校舎の前にるいた。疲れたから少し歩こう。

 あたりりの様子を慎重にうかがいながら、歩みをすすめる。


「ねえ、理。桐咲さんどこにいるの?」


「わからねえ」


 だけど、大多数のやつらが東校舎から入り込んできやがったから、後方にいた桐咲はたぶん入口付近にまだいるはずだ。

 会って、おれがあいつを全力で止めてやる、必ずな!


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