新天地 その2
生体兵器アペックス。アメリカ軍はマシン転送できるユニット システムを開発した。ユニットは長距離用、接近戦用、重装備系など様々だった。未だ弱点の見つからないアペックス。その対応に世界は追われていた。
日本コロニー。アペックス開発部。暗い倉庫にアペックスは待機していた。[コウ・シュレン様。次のターゲットは?][いつでも支配出来る。世界の動向を見たい。増えてるんだろ?同士が][エエ。手を降すまでもない。そうですか?][こいつがいる限りな。新型の開発は?][感染型のウイルスですから。いずれ我々の手に負えない日も来ますかね][それまでに世界征服を。完全征服でなくて構わない。ゲームが楽しめないからな]
中国政府の装甲車に乗り移動するコウ。彼は日本コロニーを制圧した後、2階級昇進し軍事兵器を任されていた。
田辺 裕紀と葛城 美紀は共にユニット システムのサンプルを試していた。明日は新連合軍の合同訓練の日だった。
次の日、ハーレーダビットソンで集合する田辺。
[オオ。ミスター田辺!早いな][お久しぶりです。クーネル長官。研究試料です。個体差はあるみたいですね。マシンの重量とユニットの重量は比例する。色々、試してますから][フーム…………で、君はどうするんだ?][無念を晴らしに来ました。その為に迎え入れてくれたんですよね。アメリカに][生き方はフリーダムだ。そんな国なんだぞ。ここは。貴方の慕った総理大臣も音信不通なんだ。新たな生き方を探したんだろう?][………それはそうですが。………そちらにも連絡は………][無いな。まあ良い。紅茶でもどうだ?コーヒー派か?][紅茶で]
広い格納庫を見渡す田辺。
白髪の男が立っていた。
[紹介しよう。ここ軍事部の整備員。レイ・ブラッドさんだ。マシンの整備の総括だ。君の上司か][初めまして。田辺 裕紀です。お世話になります][ウム。クーネル長官。続々と集まっておるな。忙しくなるわい][長官。レイさんと話があります。外して下さい][アア。定刻にはホールに集まれよ][わかりました]時計をチラッと見る田辺。
[何だね?話しとは][…………総理。お久しぶりです。改名していたのですね][雰囲気は消せないか。田辺君。来てくれると信じていたよ。今はレイ・ブラッド。あの日見たのさ。血の雨を。それから名付けた。気に入ってるがね][生きていてくれて幸いです。また共に居れますね][アメリカ軍の粋な計らいか。メカニックも彼等に教わった。最初は機械油の匂いにむせたくらいさ。慣れれば天国だがな][サポートお願い致します。そろそろ行かないと。美紀もユニット開発をしてますよ][元気なら何よりだな。お互いに]
クーネル長官がステージに立つ。
[キーン…………本日お集まりの皆さん。国籍、所属は問わない。連合軍の敗退から5年。遂にこの日を迎えた。我々は立ち上がらなくてはならない。中国政府の、アペックスの脅威から。そして理想世界をこの手に掴むのだ!争いも派閥も無いフラットなせかいを!平和と希望に満ちた未来を!君らの検討を祈る]怒号の声が挙がる。
[レイさん。凄い数ですね。どの位、いるんですか?][ざっと10000か。これから適性検査でふるいに掛けるらしい。中国政府がいる可能性もあるからな][だから極秘任務だったんですね]
[フーム…………見つからないなー。ダーリン。何処よ!こんな事なら一緒に行けば良かった]名簿を見る美紀。[田辺、田辺。タタタタッ………いた!オーイ!ダーリーン!愛してるよー!]
[ウルサイ!受付は済ませたのか?][嫌だなー。私たちはフリーパスよ。研究報告したじゃない?][そうか。フリーパスか][コッチコッチ!その人は?][総理だよ!総理!今は整備員らしい。レイ・ブラッドさんだ][ジーッ………似てる?私、よく知らないからなー][失礼だぞ!まあ一緒に行動する。信頼出来る人だからな][ウン!私はダーリンと一緒にいたいだけ。元、総理大臣君。邪魔はしないように。良いね][ハッハッハッハッ………宜しくな。相変わらずで安心したよ]
続く