善悪
「エンラスゥゥウゥーーーーーーーーーーーー!!!!」
俺は、自分達を襲ってきたエンラスに向かって突っ込んでいった。
足で空気を切りどんどん前に進むその姿はまさに獲物を見つけた獣だ。
「てんめえええええええええええええええええええええ!!」
おれは目一杯右の掌を広げエンラスの首もとを掴んだ。
「お前ら・・・・・んでこんなことすんだよ!!!」
エンラスは全く動じず、口を開いた
「冥土の土産にきかせてやろう。俺の名前はフェウスだ。以上」
と言ってフェウスは体を扇風機のように回転させた
俺の手からは大量の血が出てきた、俺はそれに気を取られていた。
その隙にフェウスは俺の腹を強く蹴り、アスファルトへ落とした。
落ちる俺をフェウスは追って来た。
俺は足を曲げて、無事着地したが、フェウスが俺の頭へ踵を落とした。
「カッ!!!」
フェウスは倒れ込む俺を見て言った
「お前、もしかして俺のこと悪者って思ってるのか?」
「・・・ったりめぇだろ」
フェウスはすこし困った顔をした
「はぁ・・・お前ら人間はやっぱり嫌いだ」
「仮にこの行為を悪と認めたとしても、お前等の望み通りの悪だぞ」
俺はあまりの痛みに声が出ないままフェウスの話を聞いていた。
「おまえらは「死ね」ということばをつかう。死ねといわれたら、死ねと言い返す
そして他の人が死ねといったらまたそいつに死ねという
これこそ「死ね」の連鎖だろ
お前等は命なんかどうでも良いと思ってるんだろ?だから『死ね』と言う言葉を使う、違うか?
お前等も悪なんじゃないか?『死ね』と人に言える時点で善じゃないだろ?
それとも何だ?口で言うのは悪じゃないけど実際に行動したら悪なのか?
そんな筈はないだろ。それは屁理屈って言うんじゃないか?
だから、その屁理屈を言っているお前等の為に
俺はその『死ね』を実現化させてやったんだ
今、始まっているのは『死ね』の連鎖じゃない。
これは」
『殺戮連鎖だ』
フェウスはそう言い俺の体を強く蹴り続けた・・・
「ガ・・・ハハハハハハ!!!!!」
「フ・・・ヘヘヘヘヘ・・・・」
校舎の屋上でずっと笑っている男が居た。
「エンラス・・・これで少しは減るかな」
校舎の屋上、そこで立っていた男は、山田太郎だった。
「くあっ!!!!」
俺は痛みを加え続けられ、まさに絶望に満ちていた。
俺はその時、無意識に口が開いた
「おい・・・フェウスって言ったな」
「あ?」
フェウスは蹴りを止めた
「一つだけ・・・質問させてくれよ」
「お前等は・・・どうして人を殺すとき、首を飛ばすんだ?」
わかっていた、こんな状況で聞く事じゃないと、しかし、命乞いが効くわけもない、だから、さっきから疑問に思っていた事をぶちまけたんだ。
しかしその答えがこんなにも単純だとは思わなかった。
「首を飛ばす理由?」
「理由か・・・理由なんてもんは無いと思うけど・・・強いて言えば。首を飛ばすのが一番気持ちいいからだと思うよ」
「お前が強者になって、殺すようになったらこの快感を味わうことができるだろうよ。」
答えが。
簡単すぎる。
単純過ぎる。
浅すぎた。
俺は自分が聞いた事の無意味さを、知った。
俺は、あまりの絶望、憎悪、悲哀、苦痛、憤怒に言葉が出なかった。
悪魔のような姿をした自分から、涙がでるとは思わなかった。
涙が頬をつたって、アスファルトを潤した。
「う・・・うぅ・・・」
俺の中の悲哀が強くなってきた。
「・・・なんでだよ・・・」
「くそっ・・・!」
その瞬間俺の体から放射的に青白い光が広がっていった。
その光に押されてフェウスは飛ばされていった。
「なんだよ・・・これ・・・・」
バサッ!!!
「よぅ!龍貴君・・・だよね」
そこに山田太郎が居た。
青白い光の中から山田が歩いてきた。
「大丈夫だよ。今の君なら奴らを止められるよ。奴らのボスのフェウスさえ倒してしまえば。奴らはもう動けない」
「安心して暴れな。この地区の人はみんな俺が避難させておいた。」
「問題ない!」
そういい山田は煙草に火をつけた。
「行ってこい!!!人渡!」
そのネーミングセンスの悪さをすこし痛々しく思いながらも俺は立ち上がり、全力でフェウスの所へ飛んでいった
ズオッ!
山田太郎がフェウスの横へ一瞬にして飛んだ。
そしてフェウスの体を固定した。
「やれ!!!龍貴!!!!!」
俺は腕に精神のすべてを集中させた。
そして一気にフェウスを貫こうとした。
フェウスは山田を振り払い、山田の方を振り向き叫ぼうとした
「ボ・・・!!!!!!!!」
フェウスが言い終わる前に俺の右手がフェウスの心臓を貫いた。
俺の右手から出た衝撃波は町全体を飲み込んだ。周りの高層ビルが次々に倒れていった。
そして、砂埃が舞った。
一瞬にして、俺は命を奪った。
俺は、すこし快感を得てしまった。
人が死んだというのに、快感を得てしまった。
達成感から快感を得てしまった。
自分がしていることが彼らのしていることを同じように思えてしまった。
「俺・・・悪だ・・・」
山田太郎が空中で浮かびながら言った
「悪?」
「この何が善で何が悪かわからない世界で、そんな区別なんかねーよ、この世に善悪の区別なんぞねーよ」
俺は山田が飛べていることに疑問を抱く余裕がなかった
「他の奴らも止めてこい。いや、殺してこい。お前ならできる。」
俺は聞き終わったらすぐに、他の奴らの所へ、飛んでいってしまった。
俺はこの時点でもう、感情が無くなりそうだったのかもしれない。
see you next time.
やばい。このペースだと次回で最終回かも、多分、絶対、じゃあ、殺戮連鎖、最終回です。




