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男子は根性 〜 根性があればなんでもできてしまう男の恋物語 〜  作者: しいな ここみ
男は根性! 女は◯◯! の巻

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35/36

女は◯◯!

「女は優しさだっ!」

 まずはコンジョーくんが答えた。

「そして……かわいさ! 包容力! 愛嬌! 謙虚さ! それから……」


 へこんだ。

 ぜんぶあたしにはないものだ。

 そうか──。

 コンジョーくんはきっと、あたしにそういったものを求めてるんだ。なんとか頑張って、彼の期待に応えないと……うぅ……でも、難しいよ……


「それから……猫っぽさかな。あと背の低さ!」


 最後にコンジョーくんがフォローするように、そう言ってくれた。うん。それならあたし、持ってる。


「ははは。最初から最後まですべてそれ、朝日奈ちゃんのことだな」

 柏木くんもあたしを気遣って言ってくれた。


 みんな優しいな。


 あたし、コンジョーくんが言うような女の子になれるよう、根性で頑張らなくちゃ!


「朝日奈副部長は?」


 今生梨くんが質問をあたしに振った。


 男は根性、女は◯◯──。

 あたしは答えた。◯◯に入るのは、もちろん──


「女は……カオ!」


 梓ちゃんのことを立ててそう言ったつもりだった。


 でもあたしがそう答えた途端、みんなが「はあっ!?」って言った。


 梓ちゃんが呆れた顔で言った。

「まさかえみがナルシストだとは思わんかったー。確かにあんた、顔はかわいいけどね、でもそれだけじゃないから」


 コンジョーくんが励ますように言った。

「いや! 朝日奈笑、おまえは顔だけの女ではないぞっ! むしろ中身のほうが──」


 柏木くんが首を横に振った。

「女だけ? 男の顔は重要じゃないの?」


 なんかみんなに誤解されてしまったみたいだ。自分のことなわけないじゃん……。梓ちゃんのことなのに。

 へこんだ。

 やっぱりあたし、ずれてるのかな。早くコンジョーくんが言うようなひとにならないと……


「では、柏木先輩はどう答えます?」

 床に手をついてうなだれるあたしの頭上で、今生梨くんがアンケートを続けた。


 柏木くんがあっさり答えるのが聞こえた。

「女も根性だよ」


「あら」

 梓ちゃんの声が聞こえた。

「奇遇ね。あたしもそう言おうと思ってた」


「ふふ……。気が合うね」

「あんたに気が合うなんて言われたくないわ、この糞イケメン」


「そうだ!」

 あたしは勢いよく立ち上がった。好奇心があたしを立ち上がらせたのだ。

「今生梨くんはどう思うの? 男は根性、女は……何?」


 きっと彼が好きな女の子は、彼がこれから答えるようなひとなんだ。

 どんなひとなんだろう? 今生梨くんは何て答えるんだろう? わくわくした。思わず瞳孔が開いてしまった。


「女は……」

 照れくさそうに、今生梨くんが答えた。

「しっとり感です」


 しっとり感……


 うん。確かに潤い大事だよね、とあたしが思ってると、今生梨くんが言い直した。


「ごめんなさい。今のなしで」


「うん」

「わかった」

「で、本当は?」


 あたしたちが急かすと、今生梨くんが自分の世界に入り込んだ。空を見るように天井を見上げて、うっとりと口にした。


「男は根性、女は太陽です。男は太陽に憧れ、手を伸ばし、いつか届くと信じながら、根性で背伸びして、飛べる日を夢見るんです」


「ポエムだ……」

「ポエムだ」

「ポエムね」


「つまり……」

 あたしは身を乗り出した。

「今生梨くんが好きなのは太陽みたいな女の子なのね? 写真とかある?」


「そんなの……眩しすぎて撮れません」


「よし!」

 コンジョーくんが拳を握りしめた。

「今生梨! おまえは根性でその太陽に向かって飛ぶんだ!」


「どうすれば根性が身につきますか!?」

 泣きそうな顔で今生梨くんがコンジョーくんにすがりつく。

「段田先輩は朝日奈先輩に、どんな根性で告白をしたんですか!?」


「ヤケクソだ」


「ヤケクソ……」


「何も難しいことは考えず、ただ前へ向かって突っ込んだだけだ」


「そ……、それを朝日奈先輩は、なぜ受け入れたんですか!?」


 今生梨くんに質問を振られて、あたしはうーんと考え込むまでもなく、即答した。


「必死なその目がかわいかったから」


「そうだ、必死になるのだ今生梨はじめよ!」

 コンジョーくんが両手の拳を握る力をさらに強くした。

「根性があれば何でもできると信じるんだ! ただし無理はするな! 天使猫が心配するからな!」


「根性があれば……」

 自分に言い聞かせるように今生梨くんが復唱する。

「何でも……できる……」


「よし! 今から行くぞっ! 告白しに行くんだっ!」


「ちょ……ちょっと待ってよ、コンジョーくん」

 なぜかあたしがオロオロしてしまった。

「もう放課後になってしばらく経つよ? その子、もう帰っちゃってるんじゃ……」


「彼女はテニス部です」

 今生梨くんが覚悟を決めたような顔で言った。

「まだたぶん、練習中です。テニスコートにいます」


「よし! 行くぞ!」


「はい!」


 コンジョーくんに乗せられて、今生梨くんの目が燃えてる。

 梓ちゃんも柏木くんも笑顔で応援してる。

 あたし一人がオロオロしてた。

 こんな……コンジョーくんの言いなりになって、大切な告白なんかしちゃっていいの!?

 もし玉砕しちゃったら、今生梨くんから恨まれることになっちゃわない!?

 そう思いながら、あたしは自分の好奇心も止めることができなかった。








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― 新着の感想 ―
今回の会話好きです。 微妙にズレてて、笑えて、可愛い♡ ズレ方の表現、結構難しいんじゃないでしょうか。 今生梨くんの「とれません…………眩しすぎて」 大好きな一文です(๑>▽<๑) 楽しいぃー! 読ま…
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