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男子は根性 〜 根性があればなんでもできてしまう男の恋物語 〜  作者: しいな ここみ
根性の男! の巻

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3/20

親友は心配(神崎梓視点)

 まるで猿に無理やり引っ張られるようにして、それでも仲良さそうに遊んでいる猫みたいな親友を、私は少し離れた休憩スペースから眺めていた。


「クリームソーダとたこ焼きって、合うよね!」


 目の前ではそんな共感できないことを言いながら、チャラ男が笑っている。


「心配だわ……」

 そいつに言ったわけではなく、独り言が口をついて出た。

「あの子……初めてのカレシだから……男の子に慣れてないからとても心配」


「あのさ……」

 チャラ男が真面目な表情になって、言った。

「コンジョーはいいやつだよ。オレが保証する」


 チャラ男の保証なんて信用できない。

 これでもこの神崎梓、学年1のモテ女子をやっている。男を見る目には自信のあるつもりだ。


 でも、あの段田紺青とかいうやつは、わからない。


 すごく純真無垢ないい子にも見えれば、下心満々の動物にも見える。


 あんなのに大事な親友のえみを任せてもいいものか──


 そう思っていると、向かいの席に座るチャラ男がたこ焼きを食べる手を止め、唐突に言いだした。


「根性があればなんでも出来る! 出来ないのは根性が足りないからだ!」


「……は?」

 頬杖をついたまま、そいつの顔を、バカを見る目で見てやった。

「あんた昭和のオヤジ? そんなわけないでしょ?」


「うん。ふつうならそうだよね。出来るわけがないことは、いくら根性があっても出来ない」

 チャラ男の顔が、優しくなった。

「でもね、あいつは──コンジョーは、本当にそうなんだ。根性を出せば、なんでも出来てしまうんだ」


「なんでも?」

 思わず笑ってしまった。

「たとえばビルの最上階から飛び降りても、根性で死なないとか?」


「うん、そうなんだ」

 チャラ男が真顔でうなずいた。

「なんでも出来てしまうんだ。ただ、根性が発動するのには条件があってね──」


 超人かよと心の中でツッコみながらも、黙って聞いてあげた。


「自分の欲望のためには発動しないんだ。誰かを助けるためなら、そしてその誰かがあいつにとって大事なひとであればあるほど、あいつはでっかい根性を発動できるんだ」


 鼻で笑ってツッコんであげた。


えみに告白する時、『根性ー!』って叫んでたけど、あれ自分の欲望のためだったじゃん?」


「あぁ……」

 チャラ男がくすっと笑った。

「柏木さん……キミも親友なら気づいてるだろ? 朝日奈あさひなえみさん──彼女もすごい能力もちだよね?」


 そう言われて、うなずいた。


えみは誰もを笑顔にする。特に愛に恵まれないひとを見ると、心から興味をもって優しくする。誰でもを笑顔に出来る。……それで危ない感じの陰キャたちから大人気。『天使猫』とか呼ばれてる」


「そう。そんな朝日奈さんを、コンジョーは尊敬して、前から好意以上の想いを寄せていたんだ。それで、自分が付き合えば、朝日奈さんの力になれる、彼女を幸せに出来るって言って──」


「何それ」

 興味がなさすぎて、私はそっぽを向いた。


 その時だった──


「事故だーーー!」


 誰かが叫ぶのが聞こえた。


 見ると、ジェットコースターが逆さまになった状態で止まっている。

 乗客はみんな髪を逆立てて、苦しそうだ。落ちてしまいそうなひともいる。


 その中に、並んで座っているえみと段田くんの姿も見えた。


えみ!」

 思わず立ち上がった私の手を、チャラ男が掴んだ。


「大丈夫、コンジョーがついてる!」




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― 新着の感想 ―
 親友ポジどうしの会話って、いいものですよね。  お互い、じぶんの親友をだいじに想うものだから、そこにやさしさとかけひきがある。
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