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2「異世界の序盤は情報収集」

 私は女子高等学校に通う普通の女子高生。

 青春と引き替えに人生の半分を読書と二次元しか愛せない体にされてしまった女の子

 ……だった。


 私の青春はこれからだー!

 ――というときに車に跳ねられ死んでしまった。

 ドンマイ私。


 死んだ私は転生して生まれ変わった。

 超絶美少女に。


 ***


「わつぁしかわいすぎだろ!」

 と鏡をみて自画自賛。

 思わず、興奮して舌を噛んでしまった。


 確かに、人間がいいとは思ったけど、ここまでの美少女とは頼んでいない。

 まあ、嬉しくないと言えば嘘になるけど。

 しかし、何度見ても美しい。

 前世の面影など微塵も感じない。


 暗がりの中で、銀の髪と白い肌だけが浮かび上がる。

 その白さは、病的なほどで儚げだ。


 どこの国の何人なのだろうか。

 やっぱり、ヨーロッパ系なのだろうか。白人というよりもアルビノ感が強いが。

 まぁ、それは些細なことだ。


 そんなことより、ここはどこだ?


 今は現状知らなければならない。

 自分は何者なのか、此処はどこなのか。

 この部屋といい、見た目といい、どこかの貴族か王族のようだが。


 とりあえず、第一村人でも探そうか。


 ***


 気がつけば、家の中を数十分近く彷徨っている。

 それなのに、人っ子ひとり見当たらない。


 至る所のドアというドアを開けて回ったが、気配さえない。

 主人の目覚めに誰もいなとは、怪しからん。

 何処に出掛けているのだろうか。


 外はまだ日が昇りきらず、屋敷の中も妙に薄暗い。

 掃除もされていないのか、そこら中が埃だらけで蜘蛛の巣まで張っている。

 足音だけがやけによく響く。


「広すぎだろ、ここ」

 それにしても無駄に広い。

 前世の運動不足のツケか、体がじわじわ堪えてくる。

 これでは、トイレに行くだけでも一苦労だ。

 と、考えていると。


「迷った」

 けして方向音痴じゃない……そう思いたくない。

 だが、認めるしかない。

 迷子だと。


 某RPGゲームでは迷子防止の為かミニマップがあったが。

 当然ながら、現実には存在しない。

 現実とは常に非情だ。


 だが、悪い事ばかりではない。

 正当な道ばかりだと、レベリングはろくにできない。

 それに――RPGの醍醐味は探索。


 そう、私は見つけてしまった。

 宝物庫を。


 ……いや、正確には「書庫」という名の。


 *****


「目がぁ……目がぁあ゛あ゛あ゛……!」

 扉を開けた瞬間、白い光が目に刺さり、視界が真白に染まった。

 急に明るいとこに来たせいか、目がチカチカする。

 今までの部屋は明かりの一つもなかったが、此処だけには灯っていた。


 すげぇ、本の数。

 さすが裕福な家だけあって、本の数も多い。

 中学時代の部室を思い出す。

 いや、あそこまで乱雑に放置されてはいない。

 前世みたいな私好みの本は置いてなさそうだが、種類は多彩だ。


 これなら、情報収集するには十分な量だ。


 この体は幼いせいか、すぐに疲れてしまう。

 だから、ここで少し休憩。


 人を探すのはひとまず諦め、本からこの世界の情報を集めることにした。


 ***


 何故か文字は読めた。

 脳裏に刻みこまれているみたいだ。

 今考えるとこの世界の幼少期の記憶がないのだが。

 多分、おそらく、その時に学んだのだろう。

 それとも転生特典というやつなのだろうか。

 あまり深くは考えないことにした。


 一番大きい本を手に取る。


『世界の記録:神十(かみと)戦争』

 どうやら、この世界の人間たちは戦争好きらしい。

 本には『昔から争いが絶えない』と書かれていた。


 太古の昔、悪神と善神が衝突し、

 その際、人族は善神側に、魔族は悪神側につき、10年以上も続く大戦争になったという。

 なんやかんやあって。

 結局、勝利したのは善神陣営。


 正義は最後に勝つ。

 いかにも、ありがちな話。


 バトルものは嫌いじゃない。むしろ好きな部類だ。

 けれど、この物語は特に捻りがなく、まあ、なんか普通。


 

 他の本を読み漁っていくうちに、この世界についてもある程度わかってきた。

 文明レベルは中世ヨーロッパあたり。

 技術や制度はまだ発展途上で、蒸気機関や火薬といった記述はない。

 武器は剣と槍が主流で、社会は領主と農民の関係を基盤にしているようだ。


 ――ただ、一つだけ、前世と決定的に違う点がある。


 魔術。

 いわゆる魔法だ。


『魔術工学』、『魔術理論』、『魔術教本』……。

 ここには多くの魔術や魔法に関する本が並んでいた。


 治癒から農耕に至るまで、生活のあらゆる場面で魔法が使われている。

 火薬や蒸気の代わりに、この世界では魔法が人々の暮らしを支えているらしい。


『魔術教本。これであなたも一人前の魔術師』

 本に副題があるとは。

 なんかラノベ感。

 誰でも手に取りやすいためか、内容が、あらすじが分かるように書いているのか。

 この世界でもこの技法が用いられているとはなんか現実に戻された気分だ。


 それより、『魔法』と聞いて胸が躍らないわけがない。

 ア〇二ャ、魔法。ワクワク。

 ページをめくると、呪文らしき詠唱が書かれている。


「なるほど、唱えればいいのか」

 ふむふむ。へーそうなんだ。

 取り敢えず、詠唱してみる。


「流れよ、剛き刃と化せ!――水刃!」

 ――沈黙。


 何も起こらない。

 二回目、三回目……やっぱり駄目だった。

 期待は一瞬にして裏切られた。


「パチモンか、これ」

 すると、下の赤い文字に目が行く。

『※重要※ 魔法には適性があります』

 そう、さらっと書かれていた。


 ガッデム!?


 ……適性?

 やはり私は、この世界でも社会不適合者なのか。

 と落ち込んでいると、興味深い本を見つけた。


『魔術が使えない貴方に。 魔力の無限の可能性』

 ふむふむ。へーそうなんだ(本日二回目)。


 とても興味深い内容だった。

 どうやら魔術は、もともと魔族専用の技術らしい。

 それを人族が解析して、ある程度使えるようになったとか。

 ただし前提条件が厄介で――自然や宇宙の理を理解するだの、概念を創造するだの。

 神を信じるだの。

 総じて言うと「生まれつきの適性が必要」。

 魔法少女的なのを期待していたが、少し残念。


 それとは別に魔法が使えなくても、魔力は誰にでも何処にでもあるらしい。

 蟲、動物、植物。空気中にも。


 他の本には

魔力装填(エンチャント)(魔装)』、『身体強化(ブースト)』『魔力感知』、『魔力視』、『魔力治癒』

 魔力は万能で肉体や武器を強化することもでき、

 聴覚や視力を強化すれば、索敵などの用途にも。

 などの応用が書かれていた。


 だが、魔術に比べ、魔力技術に関する本の数が少ない。

『魔力治癒』に関しては一冊しかなかった。

 内容も薄いく、絵本ほどしかない。

 あまり研究が進んでいないようだ。

 それよりも……。


 魔法に比べれば地味だが、未知の力は凄く興味を惹かれる。

 異世界に来て何もしない訳にはいかない。

 前世と同じような人生を辿らないため。

 魔力について少しずつでも勉強しよう。そうしよう。


 ***


 まぁ、これらを習得するにはそれ相応の努力が必要だとか。

 特に基礎である魔力制御。

 魔力量は生まれつき決まっているらしいが、魔力制御は努力次第で鍛えることができる。

 魔力量が多くても、魔力制御が出来なければ、

 魔力が枯渇するだけでなく技の精度も落ちる。

 と、書かれている。


 とりあえず魔力の基礎について勉強することにした。


「まずは……。魔力の流れを意識?」

 第一、魔力の流れをイメージする。


 魔力は体内に宿る生命エネルギーであり、血流や呼吸に似て循環している……らしい。

 魔力は魔法を使う度に消費し、使い切ると『魔力切れ』で魔法は使えない。

 一部の書物では『外界にも漂う力』とされ、術者はそれを取り込んで使うとも記されている。


 第一段階をクリアすれば《身体強化(ブースト)》が使えるそうだ。

 取敢えずやってみる。


 血液の流れ、意識。

 私は目を瞑って感覚を研ぎ澄ませた。

 10分間粘った。

 すると、体中に熱が回る感覚が広がる。


「これが……」

 と気付いたときには、体中は冷めていた。

 一瞬だった。

 集中を切らすと駄目なのかも。


 もう一度本を読み返す。

『修行すれば、無意識のうちに魔力を循環させることができる』と書かれていた。

 ローマは一日にして成らず。

 どうやら道は険しいようだ。


 ゲームにはない、リアルな修行。

 胸の高鳴りが抑えられない。

 よし。

 まずは、第一を焦点に置き訓練しよう。

 おー!


 いつの間にか、人探しとか、情報収集とかを忘れ。

 その日は一日中、書庫に籠もっていた。






流れで書いてるから、自分でも何をしたいか分からない。

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