睡眠とは程遠い俺の日常
晴天の日差しが、顔にあたり俺を照らす。 それは、丁度いい催眠音にまどろんでいた俺の意識を、戻すには十分効果があった様だ。
俺は正面に掛けてある時計に視線を向ける⋯⋯ もうすぐで授業が終わるようだ。
「ーーであるからして、ではこの問題のを、そうだな⋯⋯橘、答えなさい」
不意に俺ーー橘誠也を呼ぶ声がした、全く聴いていなかった俺は、自らの失態の対処をどうするのか考えていた。 そのとき俺をことを横で呼ぶ声がした。
「アニキ~答え⋯⋯⋯っすよ」
「答えは⋯⋯です」
「正解だ。 なんだ聞いてなかったと思っていたんだがな、どうやら勘違いだったようだ」
この先生⋯⋯わかっていてわざと当てやがったな。 俺は心のなかで文句を言った。
「もう、授業なんだからちゃんと聞かなきゃ駄目っすよアニキ」
「ああ、すまん。 助かったよ新島」
丁度その時チャイムが鳴った⋯⋯まったく鳴るなら早くして貰いたいものだ。 さてお待ちかねの昼休憩だ。
「一緒にお昼食べましょ、アニキ」
「いや、俺は昼は食わない主義だって、お前も知ってるだろ⋯⋯じゃそういうことだから、おやすみ」
「そういうと思って、ジャジャン! アニキの分も作って来ましたよ~」
「スー⋯⋯」
「え? 寝るの早! 起きてくださいよ~一緒に食べましょよ⋯⋯次からは助けてあげませんよ」
「いただきます! ああ美味しいな、最高だな~」
「アニキの変わり身の早い所好きです」
「はあ? いきなり告白かよ。 まったく⋯⋯相変わらず、飽きない奴だなお前は」
「僕は諦めませんからね、アニキと付き合うまで言い続けますよ」
俺にとって新島は子分みたいなものだからな、とてもそんな目で見れないな。 こいつといると落ち着くし別にわるくはないんだがな⋯⋯と考えていたその時、ドタドタと外から音がしたと思ったら、俺たちの前に座り出した。 来やがったよ。 今日も始まるか?
「よ!飯食おうぜ。 それにしてもはぁ、急いで購買行ってきたからよ、疲れたぜ」
「別に急いで来る必要ないじゃないすか、僕とアニキは二人で楽しく食べるんで」
「へっ、食べさせてるの間違いじゃねぇの、どれどれ、しょがないから俺様が代わりに食べてやんよ。 モグモグ、うまいうまい」
「渡邉!よくもアニキと僕の愛妻弁当を! 今日こそ許さないっす、覚悟」
「は、新島~お前の攻撃なんて、俺様には痛くも痒くもねぇな」
「お前らうるさい⋯⋯俺は寝てるから、どこか別の所で喧嘩してくれないか」
「アニキ⋯⋯またすぐに寝て、しょうがない場所を移っすよ」
そう言って新島は教室から出ていった⋯⋯おい渡邉、お前も出て行け。 俺は心の中でそう思った。 すると奴は小声で俺に呟いてきた。
「橘、やっと邪魔が居なくなったな、さてこの前の俺様からの告白の答え聞かせて貰おうか」
なんだよ、なんで新島といい渡邉も俺に告白してくるんだ。 俺はお前らをそんな目でみてないぞ。 今日はやけに日差しが眩しく感じる、なかなか眠れそうにない。
「クク、まあいいがな、ゆっくりとわからせてやりゃいいことだ⋯⋯だがその前に」
「こら!渡邉!貴様、騙したっすね。 なにアニキとイチャイチャ、してるんすか」
「ちょっと待ってろよ橘、コイツを黙らせて来るからな⋯⋯その後で答え、聞かせてもらうぜ」
「何言ってるんすか? アニキと付き合うのは僕なんだけど、俺様キャラは去るっすよ」
「お前こそ僕っ子キャラのくせに、ちょっと料理が上手いだけで勝ったと思うなよ」
二人は言い合いをしながら出て行く⋯⋯ふぅやっと静かになった、これで安心して眠れる。
「橘奴、羨ましいぜ、あんな猛烈に女子二人に告白されてるんだからさ」
「そうか、僕は勘弁だな、あんなバチバチしてたらさ、おっかないじゃん」
「まあ、それもそうだな、俺たちは大人しくしておくか」
あぁ眠れない、顔がすごく熱い、これはきっと太陽が熱いせいだ、きっとそうだ。