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6 生真面目な公爵令嬢、町娘になる



次の日、私は王宮に着くと、

王宮での私付きの執事が

「今日は午前中、午前中までに終わらないまでも、

なるべくはやく妃教育を終わらせたいの。

休み時間なしにして、

ペースも倍にしてと先生たちに伝えておいて。

と伝えた。

すると執事は

「その旨、常に承知しております。

昨日エリウス様より言伝を承っておりましたので。

ライナ様は薬草学と作法が特に優秀だそうで、

予定の履修時間よりも大幅に

時間を短縮して全範囲を終了できるとのことです。

それにより今日の

薬草学はなしということになりました。

貴族学と帝王学のみとなります。

故に休み時間を減らす必要なく

午前中で終わる予定になってとおります。」

と淡々と伝えられた。

嬉しい。嬉しすぎる。

妃教育が予定より早く終わるなんて

うれしすぎる!!!!

というか、予定より早く

終わりそうならもっとはやくいってほしい。

一刻も早くこちらは終わらせたいのに!!

まあ国王様や王妃様の手前、

万が一私に何か不出来な面が露見した時

責任を取らされるのが嫌なのだろう。

王族に関わるときの

めんどくさい気持ちが痛いほどわかるので

その辺はまあ仕方ないかあと私は納得した。

それにしても今更なんで?

もしかしてエリウス様が口添えしたとか?

まああり得なくもないか。

もしそうなら……

ちょっとくらい優しくしてもいいか⭐︎

めずらしく朗らかな妃教育の始まりを

私は穏やかな気持ちで迎えた。





妃教育は昼前には終了した。

こんな日はここ数年で初めてで、

私の気持ちは開放的になっていた。

すると見覚えのないメイドがやってきて、

「こちらへどうぞ。」と言われ、ついていく。

メイドは普段のメイドであれば入れない内殿の奥までぐんぐんと進んでいく。

私は今まで案内されたことのない部屋へと連れて行かれた。

重厚で綺麗な彫刻が施された扉を開けられる。

すると目の前には

そこにはきらびやかなドレス

細かな細工が施されたジュエリー

綺麗に縫製された帽子

一級の皮で作られたバッグ

宝石で装飾された靴

それがすべてずらっと綺麗に

並べられた圧巻の景色が飛び込んできた。

まるで体が小さくなって宝石箱の中に飛び込んだようだ。

そこから繋がる部屋には

とても大きく素敵な掘り細工がされたメイク台と色とりどりのメイク道具が置いてあった。

私が驚いているとメイドが

「こちら、エリウス様がいつライナ様が嫁いできてもいいようにと

用意されているものにございます。」

と言った。

私は唖然とした。

「これ……全部、わたしのために?」

というとメイドは

「そううかがっております。」

と答えた。

公爵邸にたくさんのドレスやジュエリーを

送ってくるのみならず

王宮の中にまでこんな準備をしていたなんて。

エリウスは私との結婚に

もう全く興味がないのだろう、と

ここ数年思っていた勝手に

自分を少し恥ずかしくなった。





「では、準備を始めさせていただきます。」

ドレスやジュエリーに驚いていると、

いつのまにかメイドが4人に増えていた。

「え??」

私は驚いてる間に

真っ裸にされ、恥ずかしがってる間もなく

お風呂に入れられた。

王宮のお風呂には初めて入ったが

このような衣装用の部屋についてるものでも、

流石にかなりの広さだった。

私の抵抗は無力で

メイドたちには躊躇なく本当に躊躇なく

あられももない姿にされ

全ての部分をツルツルに磨かれ、

入念に王都で1番高級といわれる

クリームやオイルで保湿された。





お風呂から上がると丁寧に髪を乾かされ

サラサラにブラッシング、

そしてつやつやに髪を仕上げてくれたあと

長い髪を編み込みにして、

長さとボリュームを抑えてくれた。

髪を腰以上長くしているのは

貴族しかいないのでこれから

街歩きで目立たないためということだろう。

そのあとメイク、下町にいてもおかしくない

シンプルなワンピースドレスを着せてくれた。

顔はいつもの3倍くらい

綺麗に仕上げてくれてあり

お肌もピカピカ

髪もつやつやでアレンジも可愛くて

鏡を見ると自分が別人かのように思えた。

公爵家ならこんなに頑張ってもらえるのは

舞踏会やデビュタントの時くらいだし、

こんな短時間ではなく、半日かかる。

(もちろんサティの腕はピカイチだけど⭐︎

さすがに雇えるメイドの数が違うのよね⭐︎)

「流石王宮の内殿のメイドさんたち…

プロすぎるわ。」

感心して鏡を見ていると

ここまで連れてきてくれたメイドが

「裏庭ですでにエリウス様がお待ちです。

向かってもよろしいでしょうか?」

と聞いてきた。

いつもと違う姿でエリウスに

会うのはちょっと緊張する。

私はそんなことを考えながら

メイドの後につき、

エリウスの待つ裏庭にむかった。





裏庭に向かうと、

いつも上等な布に完璧な縫製された

金の金具や装飾がなされている

かっちりとした服を着ている

ラニウスからは想像ができない、

ゆったりとしたシンプルな

服装をしたラニウスがいた。

薄手のシンプルなベージュのブラウスに、

茶色のスラックス、革靴という、

街で見かける裕福なおぼっちゃま風だ。

綺麗で男性にしては少し長めな髪は後ろで結んで、

王族特有の綺麗な金髪が目立たないように

帽子をかぶっていた。

新鮮なラニウスの姿に少しドキッとした

自分がいたが、見慣れない姿をみて

びっくりしただけだと自分を言い聞かせた。




目立たないようにいつもの王族の乗る豪勢な馬車ではなく、普通のよくある黒い馬車が停められていた。なるほど、裏口からこの馬車ででるために裏庭集合だったか。私は合点がいった。





ラニウスは私を見ると、

目を見開き、一瞬顔が固まっていた。

私の顔を一心に見つめている。

何も言葉を発さないので、

「なによ、私を誰かわからないとか?」

と私に気づいていないのかと声をかけると

顔を少し赤くし、口元に手をあて、顔を上にちょっと逸らしながら

「そ…そんなことあるわけないよ…。どんな姿でも君に気づく自信がある…。」

ともごもご言った。

「そう。それならいいけど。」

私はラニウスの挙動不審さは無視して、馬車に乗り込んだ。

「僕の手を取って乗ってほしかったのに〜」

といつもの調子ですぐさまつづいて乗り込んできた。

「こんな動きやすいワンピースなら自分で乗れるわよ。」

というと、ラニウスはふふふっと笑った。

馬車の中で、ラニウスは私をじっとみたり、

私から目をそらしたり、なんだかずっとそわそわしていた。

「なに?直視できないほど似合わない?」

私は不安になって聞く。

そんなに似合ってないだろうか?

ラニウスの顔は先ほどよりさらに真っ赤になり

少し沈黙したあと、

「いや…逆…」

「可愛すぎて…直視できない…」

と言ってきた。

私はまた胸がドキッとした気がしたが

可愛いと言われれば誰にでもドキドキするか、

と思い、正直に感想を言った。

「ありがとう。ラニウスも素敵だわ。」

と返した。

ラニウスはさらに赤くなって、また黙った。

私はこの会話のあとなぜか

久々の王都の中心街へのお出かけがさらに

楽しみになった気がした。

窓の外をみると、

賑やかな人通りと綺麗な街並みが見える。

もう少しで王都の中心だ。

私の心は自分でも思った以上に

期待に跳ね上がっていた。







更新遅くなりすみません!


こちらは現在3日に1度は更新するペースです。

ちゃんと完結させますので、何卒よろしくお願いいたします⭐︎


ブックマークと評価が増えていました!

本当にありがとうございます( ;∀;)


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