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2 マイペース王子、闘志を燃やす





僕はこの国の第一王子エリウスだ。

まず僕の子供の頃の話からしようと思う。

僕が幼い頃、お父様は多忙だったのか、

会いきにてくれた記憶や遊んだ記憶がほとんどない。

お母様も同じだ。お母様は、僕を産んでまたすぐに弟を授かったそうだが

心臓が弱かった弟は生まれて約半年で死んでしまい、

そのショックで寝込んでしまっていたそうだ。

僕の幼少期はそんなこんなでとても孤独だった。

宮殿の人間はみんな、僕を大事に大事に扱ってくれたが、

気さくに話しかけたり、親しい話し相手にはなってくれず、

宮殿の僕はずっとひとりぼっちだった。




そんなとき、婚約者だと紹介されたのが

ライナだった。

僕は4歳だった当時、

婚約者というものはわからなかったが、

大人たちは毎週のようにライナを連れてきて、2人で遊ぶ時間を作ってくれた。

(後から婚約者としてこのまま発表して大丈夫か確認するためだとわかったが)



初めて会った時のことは、

10年以上経った今もよく覚えている。

「ねえ、あっちで一緒に遊ぼ?」

そういってにこにこ笑いながら僕の手を引っ張り、

庭園で2人で泥団子をつくったり、

砂のお城を作ったり、

花で冠をつくったりして遊んだ。

僕の人生で初めて、僕と一緒に、僕と同じ目線で、遊んでくれたのがライナだった。



それからはライナがくる日を、

心待ちにして過ごす日々だった。

ライナが楽しんでくれるように、

メイドに頼んで人形を買ってもらったり、

ライナが好きそうなお菓子を用意させたり、

ドレスを用意させたり、

砂の大きなお城を作ってライナをびっくりさせたり、

温室の庭のお花を庭師から教わって花束にしたり、

ライナの好きなリンゴ厨房からもらって自分で用意したり、いろんな工夫をした。

ちょっと大げさかもしれないけど、

今思うとそれが僕の生きがいとなっていた。



しかしライナがきて2年経ち、お父様に夕食で

「メルテヒ公爵家の令嬢ライナと

仲良くしているそうだな。

あの者とずっと一緒にいられると思うか?」

と聞かれ

「もちろんです。私はライナ嬢しか考えられません」

と答えたその日から、

ライナはぱったりと宮殿に来なくなってしまった。



そして僕はなぜかその日から

タキシードを新調されたり、

ものすごく堅苦しい長い文言を覚えさせられたり、

礼儀作法やダンスのレッスンが多くなった。

そして迎えた日が、今から6年前の婚約発表式だった。

(その日ドレスアップしたライナがどれだけ可愛かったかはそのうち一冊の本にしたい)



その婚約発表式の日以来、

今度はほぼ毎日ライナは宮殿に来るようになった。

しかし僕と遊ぶためではなく、僕と同じように、宮殿直属の教師から教育を受けるためで、

僕と会って、一緒に話したり

遊んだりすることはなかった。

どうしてもライナと会いたかった僕は、

お父様に直談判し、

昼食のみライナといることを許可してもらったが、

それもかならずお付きのものがいて、

会話はお父様やライナの父親に筒抜けだった。

ライナは昔のように、

なんでも気さくに話すことはなくなり、

当たり障りない話題を礼儀正しく

話すことしかなくなった。



僕は何度かお父様に抗議に行ったが、

結局2人きりの時間を作ってもらうことはできなかった。

しかしめげずに何度も何度もかけあった結果、

結婚の日取りが一年以内になったその日以降ならば

ライナと内殿でなら2人きりで会っても良いと許可をもらうことができた。

(今考えると2人にして結婚前に妊娠といったことがないようにということだったのだとおもうが、

その頃の僕にはそんなこと全く分からず、

機会があればお父様にライナと二人きりになれるようにかけあっていた)

僕はその日のためにここ数年を耐えに耐えて乗り越えたのだ。

またライナと昔みたいに話せる日を夢見て。



そしてやっと、やっと、念願の日が訪れた。

朝から待ちきれず、ライナに会いに行った。

そして昼休みにやっと僕はライナを連れ出したのだ。



しかしライナは逃げ出してしまった。

それもそうだろう。

ここ数年、僕はライナになにもしてあげられてないのだから。

(ドレスやジュエリーはたくさん送りつけていたけど⭐︎)

いままでの時間を挽回しなければ!!!



僕は逃げるライナの後ろ姿をみながら、

後一年で絶対にライナの理想の婚約者(夫)になるのだ

と(ライナにとってははた迷惑な?)闘志を燃やしていた。




地の文が多くてすみません。

次章からは会話多いです☆

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