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第3話 猫田二八子

こんにちは。

これから3話くらい説明回ですので、長いです。

読み飛ばしても大丈夫です。

「猫田二八子様~。こちらへどうぞ~。」


え?何ここ?

市役所の窓口みたいな…


「猫田二八子様~。2番の窓口へどうぞ~。」


あ、これ私呼ばれてる?

うん。完全に目が合ってるもんね。行くべきかな?

やばい、呼んでる人の笑顔怖っ!


「は、はいっ!すみません。猫田二八子です。只今参ります!」


急いで向かった2番の札が掲げられたカウンターには、中肉中背の男の人がいた。


「はい。こんにちは。私は、人間の魂の転生を担当している者です。管理人と呼んでください。」


「は、はあ。こんにちは。」


えっと、何だこれ?

夢かな。それか頭打って記憶喪失?


「はい。えっと猫田二八子さんで間違いないですね。」


「はい。」


何だろう、この余計なことを言ってはいけないような、お役所的な雰囲気は。


「はい。あなたは○月×日の午前7時35分頃、乗用車にはねられ亡くなりましたね。」


「はい。って、いや、え?待って下さい!私、死んでるんですか?」


「はい。通勤途中、登校する子供たちの列の後ろを歩いていたあなたは、前方から大きくふらつく車を見つけ子供たちを端に避難させた後、逃げ遅れた一人の子供を庇って亡くなりました。」


管理人さんは、表情を変えずに淡々と説明するが、

こっちは全くついていけない。


「え。え?全く記憶にありませんが。」


「はい。稀に、亡なった時のショックで直前の記憶を失くしている方もいらしゃいますから。」


「えっと。私、死んじゃったんですか?」


「はい。そうです。そして、子供を助けて亡くなったので、こちらの書類にサインをしていただければ、次の転生に限り1つだけ願いを叶えて差し上げることが出来ます。ご確認ください。」


すっと書類を差し出され、思わずそれに目を通しサインする。

っていやちょっと待って?


「私が死んだんだとして、子供は助かったんですか?」


私が本当にそうやって亡くなったんだとしたら、子供たちがどうなったか気になる。


「はい。子供は全員無事です。あの事故で亡くなった方はあなた一人です。」

子供たちが無事だったと聞いてひとまずほっとする。


「でも、事故で死んだのが私だけなら、車の運転手さんはどうなったんですか?」


「はい。車を運転していた方は、事故を起こす前に心臓発作で亡くなっていましたので、別の階の窓口で手続きをなさっておられるのではないでしょうか。」


へえ、亡くなった人って皆こんな感じで手続きするんですか?とかは聞けない!

だって、手に持ったままの書類を渡せって笑顔で無言の圧力をかけてきているもの!

早く終わらせたい感じ満載だもの!


「あ、すみません。どうぞ。」


すすすっと書類を机の上に置く。


「はい。サインを確認しました。では、転生時の願い事はお決まりですか?」


い、いきなりだもんなあ。そんなに突然願い事とか言われてもなあ。

…なんてな。あるよ!社会人になってから、ずっと胸に秘めてたやつが!


「私、来世はお金持ちの家の猫になりたいです!」





ありがとうございました。

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