物質の根源と引力と斥力と重力の違い
ある日曜日の昼下がりに、普段からもやもやと考えていた妄想をポエムにしました・x・
物質の根源と引力と斥力と重力の違い
■脳内実験
ある晴れた日曜日に机の上で地球と同じ質量をもつ【ブラックホール】を2つ並べて観測してみる。
2つのブラックホールはその後にどのようになるのだろうか?
1.お互いに近づく
2.同じ距離を保つ
3.お互いに離れる
距離だけを考えれば選択肢はこの3つだけになるが、配置した2つのブラックホールの距離によって答えはどの選択肢もあり得てしまう。
それ以前にブラックホールを机の上に浮かべたりなんかしたら、観測者であるあなたが大変なことになる。
そこで、答えが1つに絞られるように、また、観測者であるあなた自身の身の安全を保障するように、いくつか条件を設ける。
まず大前提として観測者であるあなたは、ブラックホールによる影響を受けないものとする。【市販のバ○エンススーツ】でも着用されてはいかがだろうか。さらにブラックホールは地上における【慣性系の影響下にある】ものとする。この2つの前提によって、観測者であるあなたの身の安全を保障する。ご存じの通りブラックホールは強大な【引力】を発生させるため、近くにある観測者であるあなたや机や部屋そのものをたちまちのうちに飲み込んでしまう。それどころか日本、最終的には地球そのものが飲み込まれてしまう。観測どころの話ではなくなるので、そうならないように影響は一切ないものとする。また、【慣性系】とは地球などの自転や公転などの影響をいう。地球の自転によって観測者であるあなたはおよそ【時速1500キロメートル】で地上を移動しているが、地上に存在する限り、その運動を認識することは難しい。これは観測者であるあなたが地球の自転による慣性系の影響下にあるためである。なぜ影響下にあるのかというと、地球の質量に比べて観測者であるあなたの【質量が圧倒的に小さい】ためである。が、地球と同じ質量をもつブラックホールは地球【ごとき】の慣性系の影響下に入らない。ブラックホールは地球と同じ引力を持つが、局所的に見れば机の上にだけ影響を及ぼす地球の引力よりもブラックホールの引力のほうが圧倒的に大きい。よってブラックホールは地球の慣性系に乗らずに地球の自転を無視してしまうので、2つのブラックホールは観測を始めたらすぐに西の方向へ時速1500キロメートルで移動するように見える。実際にはブラックホールは静止したまま部屋全体が移動するのだが、観測者は慣性系に乗っているので、まるでブラックホールが動いているように見える。その速度は【秒速にして400メートル】なので一瞬で部屋の壁に穴をあけて遠くへ飛んで行ってしまう。そう激しく動かれては観測できないので、動かないように地球の慣性系の影響下に入ってもらって、机の上から動かないでいただくものとする。
次の大前提として、2つのブラックホールは【回転しない】ものとする。ご存じの通りブラックホールは強大な引力を持っているが、それだけではなく回転もしている。地球と同じようにブラックホールも物質なので自転や公転により【安定】しようとする。が、【引力が回転】すると困ったことに【電磁気力】が生まれてややこしい話になるから、回転は控えていただく。電磁気力は発生しない。観測者であるあなたは感電しない。完全に静止していただく。静止することで【時空】が安定するので初めて距離について定義することができる。2つのブラックホールの距離は【1メートル】とする。地球と同じ質量をもつので【ブラックホールの大きさは2センチメートル】である。この大きさを観測できるいい感じの距離として1メートルぐらい離せば十分だろう。それを1メートル下がった位置であなたが観測するものとする。距離によって答えが変わると先述したが、この程度の距離感であれば多少の違いは答えに影響しない。
さてその答えだが、まず1.はあり得ない。近づくことなんて考えられない。
感覚的に近づくと考える人は、引力と重力を同じものと認識しているのではなかろうか。【引力と重力は全く異なる力である】。
2つの【物質が近づくには重力の発生が必要】である。重力とは【慣性系に乗ること】である。先述した通り慣性系に乗るためには圧倒的に質量が小さい必要がある。が、2つのブラックホールの質量は同じであるため、お互いに重力は発生しない。よって近づくことは考えられない。実は、近づくにはもう1つ方法がある。それは距離が十分に離れていることである。十分とは【斥力】の範囲を超えて遠ざかる必要がある。斥力の影響を受けないのであれば【時空に引力が発生】して2つのブラックホールは近づくだろう。が、数式に基づいた推測ではないのだが1メートル程度では斥力を超える距離としては不十分であるため近づくことはないと想像する。
次に、2.はあり得ない。静止することなんて考えられない。
物質は根源的に非常に不安定なので、自転や公転により安定しようとする。あるいは、同様の力が4点集まって拮抗している状態になれば安定する。もしくはお互いが自転しつつかつ公転しあえば2点でも安定する。が、それらの可能性は前提によって封じた。
そもそも、【物質の根源】は【運動エネルギー】であるため、静止はイレギュラーである。
万が一、いや億が一、いやいや無量大数が一において、静止する丁度いい感じの距離があるかもしれない。そこでは引力と斥力が拮抗しているだろう。が、まずその観測点を静止できないだろう。
よってこの脳内実験の答えは3.の「お互いに離れる」が正解と言いたい。
2つの【物質が離れるには斥力の発生が必要】である。斥力とは【引力が欠乏した状態】である。斥力が発生するには2つの物質が十分に近くお互いの引力が影響しあっている距離感が必要である。2つのブラックホールは1メートルと十分に近く引力がお互いに影響しあっていると考えられるため、斥力は発生するだろう。ブラックホールが発生させる引力は強力であるため、斥力もまた強力である。その力は2つのブラックホールを引き離すに十分であろう。
■斥力
先述した通り斥力とは引力が欠乏した状態である。
脳内実験において2つのブラックホールは強力な引力を発生させている。引力とは【時空を取り込もうとする力】である。
ところが、隣接する2つのブラックホールの間ではお互いに時空を取り込みすぎて【時空が欠乏した状態】が発生する。
十分な時空を取り込むことができないと【ブラックホールは蒸発する】。蒸発しないように、取り込めなかった時空を他の領域から取り込もうとする。他の領域とは2つのブラックホールが向き合っている方向以外のすべての方向である。向き合っている方向では引力が上手く働かず、その分だけ周囲の引力が強力に働く。これにより、まるで単細胞生物がエサにつられて移動するように、ブラックホールもまた時空が欠乏していない方向へと移動する。観測者からみてブラックホールが引力に逆らって移動しているように見える現象を引き起こす力を【斥力】と呼ぶ。
■引力
歴史の中で物質同士が引き合う力が引力と定義されたことから誤解が多いが、引力と説明されている事象はおおよそ【重力】の説明である。また、重力については遠心力であると説明されることが多いのでさらに困る。重力とは質量が異なる2つの物質が十分に接近することで【大きな引力が小さな引力を丸ごと飲み込む現象】である。重力は2つの物質が存在しないと発生しないが、引力は単独の物質でも発生する。引力と重力は全く異なる力である。重力は重要ではない。引力が重要である。
先述した通り引力とは時空を取り込もうとする力である。
脳内実験において2つのブラックホールは地球と同じ質量をもっている。質量とは【物質の根源】であり、時空を材料としている。
時空は常に流れうつろいでいるが、物質を構成する時空もまた流れうつろいでいる。つまり時間が経てば消えてなくなるので、物質もやがて消えてなくなる。物質は消えてなくならないように周囲から時空を補充しようと時空を引き込む力を発生させる。これが【引力】である。物質の中で消えてなくなる時空よりも引力により補充する時空が多い場合、物質の質量は増大する。逆に少ない場合、物質は蒸発する。普通の物質は引力で十分な量の時空を取り込んでいるので蒸発はしないが、ブラックホールとなると話が変わってくる。脳内実験で扱ったブラックホールの質量は地球と同じである。地球はスケールが大きいので、広範囲に発生させている引力によって十分な時空を補充できている。よって地球は蒸発しない。しかしブラックホールは直径がたったの2センチメートルしかなく、スケールが小さいので、如何に強力な引力を発生させても取り込む時空は限られてしまう。脳内実験で扱ったような栄養となる時空を十分に補充できない小さなブラックホールは、机上だけでなく宇宙空間においても、すぐに蒸発して中性子星に変わるだろう。
■物質の根源
引力は物質が発生させる時空を取り込もうとする力だが、時空そのものが引力を発生させることがある。ある点において時空が不足すると、周囲の時空が集まってその穴を埋めようとする。この時、時空の不足した空間が引力を発生させているように見える。脳内実験の1.の例外として説明したことだが、この動きが、時空から物質が生まれる根源でもある。
時空は均一ではなくある程度の濃度の差がある。この時、時空の濃いところから薄いところへ時空の流れが生じて均一になろうとする。時空の流れは厳密ではなく、たいていは行き過ぎる。そうすると今度は時空の薄かったところが濃くなるので、そこから周囲へと時空が流れ戻される。まるで水の波紋が水面を立たせたりへこませたりしながら広がるように、時空も濃い薄いを繰り返して波紋のように広がる。この波紋を【紐】または【弦】と呼ぶ。
ある時、なんの前触れもなく、奇跡が起きる。
波紋のようにたゆたっていた紐が循環して安定する。時空の流れが安定すると、引力も安定する。
残念ながらこの安定は長くはもたない。すぐに紐は波紋のように広がって消えてしまう。
ところがさらに、奇跡が起きる。
紐が波紋のように広がることさえも循環により安定する。時空の流れがさらに安定することでさらに引力が強くなる。
残念ながらこの安定も長くはもたない。波紋ような広がりはいつかどこかでほつれて分解して広がって消えてしまう。
しかしながら三度奇跡が起きる。でも同様に消える。
奇跡が起きて消える。
この奇跡が10回繰り返されたとき、さすがに、時空と引力が安定して不変となる。
紐が究極に安定した引力を持って蒸発しなくなった時空を【物質】と呼ぶ。
物質は時空であった時の名残で、絶え間なく引力を発生させている。自分自身が消えてなくなってしまわないように。
あゆしゃは物理学者でもなんでもありませんので、あくまでもポエムとなります・x・
この作品はフィクションです。登場したブラックホールは実在しません・x・