とある歯科医の一日
私の平日ルーティンをご紹介する。
なおこれは意識低い系の女性歯科医の日常であり、あなたの身近にいる素晴らしい歯科医とは異なりますのでご注意願いたい。
歯科医の朝は遅い。
8時頃に連続でセットしたアラームを何度も消しつつ、ベッドの中で今日のアポイント内容を薄目で確認する。(ネットで予約が確認できる便利なシステムだ)
この時急患が多かったり処置の大変な患者が入っているのが分かるとテンションが下がる。
音楽をかけてテンションを無理やり上げ、ベッドから起き上がる。ノリノリで洗顔、歯磨き(重要)着替えをし、私より断然朝の早いしっかり者の夫が作ってくれたお弁当と水筒をリュックに詰めこむ。
朝ごはんは食べない主義だ。朝ごはんは食べないとダメ派に影響され買ったフルグラは封を開けられることなく仕舞われている。習慣は変えられそうにない。
出掛ける前に洗濯物を全自動洗濯機に入れ夫の帰宅時間に合わせてセットしたり、ロボット掃除機を動かしたりする。便利な世の中に感謝である。
9時、職場に向けて自転車で出発。大学に入って免許はとったもののずっとペーパー。いつかは車でカッコ良く出勤したいものだと、雨の日はずぶ濡れになりながら強く思う。
爽快なサイクリングを経て職場に到着。
仕事着に着替えてから出勤カードを切る。仕事で使うスコープをつけ、職場の皆に挨拶などしつつ今日の患者の口腔内レントゲンを確認する。
10時になったら、仕事開始。
働いてから分かったが歯科医はとにかく話す仕事だ。喉が渇く。先生と呼ばれることにも慣れそうにない。
14時、休憩に入る。夫特製の弁当を5分ほどで片付け惰眠をとるか、スマホゲームをするか、小説家になろうを読むか、医局の先生と雑談などに興じる。つかの間のオアシス。
1時間ほど休み、後半の診療へ。多くの歯科医は治療と定期検診のチェックを並行して行っていると思うが、私の医院は診療が2階に別れているのであっちに行ったりこっちに行ったりとにかく走り回る。ヘトヘトだ。治療中、歯科医がどこかに行っても探さないで欲しい。
治療してはカルテを書き、また次の患者へ。さながらベルトコンベアである。少しでも開始時間が遅れると怒る患者もいるため、こうして歯科医は大抵せっかちになる。
キャンセルがあり時間が空くと上の先生の手技を覗いたりもする。
19時、やっと一日が終わり、医局に戻り再度雑談する。
この時担当患者について先輩に相談をしたりもする。
月に何度か勉強会や症例検討会が開かれ、ほとんどの場合若手がボコボコにされる。
20時、帰宅。私より帰宅の早い夫が料理を振舞ってくれることが多い。いつも本当にありがとう。
以前歯の話をして気持ち悪いという顔をされてから、家では仕事の話は控えている。一般の感覚では歯は汚いものらしい。あんなにかわいいのに…残念であるが、とっておきのネタは同業者に取っておくことにしよう。
一休みしたら入浴。疲れを取るためになるべく毎日浴槽につかってる。最近は浴槽につかりながら、なろうに上げる文章を打っているためつい長風呂してしまう。
お風呂を出たら、最高の時間が始まる。
お菓子と炭酸ジュース片手にNetflixやYouTubeにつかる。
あなたの身近にいる歯科医はこの時間、歯科の本を読み自己研鑽に励んでいるので心配はいらない。
ほどほどに目が疲れたら歯磨き(重要)、フロス(重要)をする。
24時、暖かなベッドの中でこれを読んでくれた貴方の歯の健康を願いつつそっと目を閉じる。
予約時間の10分ほど前には歯科医院に到着し、キャンセルの時は事前にお電話を。全国の歯科医の共通の願いを込めて。では、おやすみなさい。
私の一日はこんな感じで過ぎ去っています。
みなさん歯科医にどうぞ優しく。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。