二日目
目を覚ました。
砂浜で寝たからか砂が触れていた部分がかなり熱く、ヒリヒリする......
「夏、どこに行ったんだ......」
俺は砂浜から離れ、無人島の散策を始めた。
真夏の日差しが俺の目に入り、眩しかった......
砂浜を後にして、今俺がいる場所は森林だ。
自然に触れる機会がなかった俺からしたら新鮮な気持ちになるが、夏が見つからないことに焦りを感じ始めていた。
「まったく、どこに行ったんだ......」
しかしよく考えてみれば、この島がどれだけ大きく、どんな生物が生息しているかもわからない。
携帯を確認してみたが、もちろん圏外だ。
こんな状況で夏を探すことは、かなり難しいかもしれない。
一度夏を探すことはあきらめ、俺は起きてからずっと摂っていない水分と栄養を探すことにした。
今のバッグに入っている手持ちは釣り竿にナイフだ。
奇跡的にリュックが肩から外れないまま漂流したので、荷物は無事だったようだ。
「海に出るか、川を探すか。」
無人島という立地は、非常に多くの水分に恵まれているように見える。
しかし実際は、ほとんどが海水、つまり塩水にあふれた飲めない水ばかりだ。
俺のような人間が飲める水といえば、島の中に流れる川の水や湖の水に限られる。
考えた結果、俺は先に川を見つけ、水分補給をすることにした。
夏と近いうちに約束していたキャンプのために蓄えた知識が、俺を助けてくれている。
歩きなれない地面を歩き続けていると、俺は危機に直面した。
「くそっ......こいつは......」
目の前には蛇がいて、すでに俺を見つけて臨戦態勢に入っている。
俺の戦える道具はナイフのみ......どう捌くか考えているうちに、蛇が俺の首めがけて高く飛んできた。
俺は間一髪でその噛みつきを避け、蛇が着地したタイミングで蛇の体を踏みつける。
踏みつけられたたことで身動きが取れなくなった蛇は身をくねらせ、俺に噛みつこうとしている。
俺は蛇を踏みつけたまま、近くの角ばった黒い岩を持ち上げ、蛇の頭めがけて思いっきり落とした。
身をくねらせていた蛇は動きを止め、俺に抵抗することをやめたのを見て、俺はそいつが絶命したことを確認した。
「ごちそうとして、もらうか。」
いざという時の非常食になりえるかもしれない。
そんなことを思いついた俺は、蛇の前で手を合わせて、頭を切り落とした後、自分の首に巻き付けた。
そしてまた、川探しを再開した。
さらに歩いて三十分、ついに俺は水の流れる音をこの耳で聞いた。
間違いなくこの近くだ。
俺は神経をとがらせ、流れている方向を探す。
「見つけた!」
あたりを見回し、ついに見つけた。
俺の探していた、淡水が......
川と言ってもかなり小さい川だが、水を飲むには十分足りる量だった。
俺は両手で器の形を作り、流れる水の中に手を入れる。
しばらく水の冷たさを味わい、手を上げて口に運ぶ。
一日ぶりに飲む水が、俺の体に染みわたり、俺は思わず体を震わせた。
俺は何度か水を飲み、満足したところで砂浜に戻るために来た道を戻った。
幸いにもこの小川を見つけるまでの道はほぼ一直線だったため、道は覚えている。
また蛇に襲われないように、少し急いで俺はその場を後にした。
俺が砂浜に戻るころには、日が沈みかけていた。
俺は首にかけていた蛇を地面に落とし、森林にあった木の葉を何枚かちぎって、簡易的な床を作った。
蛇の場所を砂から葉っぱの上に移動させ、明日することを考え始めた。
「火を起こして少し生活を便利にするか、あとは夏も探さないと......」
今回歩いて分かったことは、本当に危険であふれた島ということだ。
靴があったから足は無事だが、道中で戦った蛇、暗くなるとみえなくなる視界など、危険はそこら中に広がっている。
安全に生活するための第一歩として、明日は火を起こすことにした。
夏を探すときにも、火を使うのがいいだろう、なんて考えていると、頭に電流が走った気がした。
「そうだ、狼煙!!」
最終目標としてはこの島の脱出だが、夏がいた場合の目印として狼煙を高いところに上げるというアイデアがあった。
そんなことをずっと考えていると、ついに日が沈み切り、夜が訪れた。
いつもの町で見る夜とは違う、本当の暗闇だった。
ふと、空を見上げてみると、多くの星がてんでばらばらに広がっていて、俺はそれを見るために寝転がった。
「砂浜で寝るより、葉っぱの上だな......」
目を閉じてみると、すぐに俺の意識は遠くに行ってしまった。
――明日は、火を起こそう。――
そんなことを、考えながら.....