表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無人島から脱出するまで。  作者: 霧雨羽賀峯
1/3

一日目

真夏の燃えるような暑さの中、俺は家でネットサーフィンをしていた。

海に近い家だから、ほんとにサーフィンするのも悪くないが、あいにく道具がない。

汗を流しながらぼーっと携帯を見ていると、突然電話がかかってきて、俺は携帯を顔面に落とした。

 

 「っ......もしもし。」


 「よ、暑いし暇だからさ、海釣りいかね?」


 かけてきたのは友達だった。

そいつとはは中学からの仲だが、俺の中では親友と呼ぶほどでもない。

そしてこの暑さの中で動きたくないが、次のそいつの一言で動こうと思った。


 「金は俺が出すからさ、頼むよ~拓弥たくや


 挨拶が遅れたが俺の名前は伊佐美いさみ 拓弥たくやだ。

そして電話をかけてきた友達は田中 夏、いかにも真夏を生きるような男だ。

一言、了承の言葉を発した後、俺は電話を切って海釣りに行く準備を始めた。


 家から出て家の中と気温が変わらないことにうんざりしながら、俺は夏との待ち合わせ場所である船着き場に向かって歩き始めた。

俺の住んでるところは歩いてすぐのところが海なので、泳ごうと思えばすぐに泳ぐことができる。

が、しかし......この暑さで動くことにためらっていた。


 歩き始めて十分ほどで、船着き場に到着したが、まだ夏の姿は見えない。


 「自分で呼んだくせに、なんだよ......」


 呼び出した俺よりも遅い夏にイライラしながら、俺は再び携帯をいじり始める。

様々なSNSを行ったり来たりして時間をつぶしてさらに十分たったころ、ようやく夏が船着き場に到着した。


 「ごめん!準備してたら遅れた!」

 「準備しとけよ、暑いわ。」


 いかにも走ってきたように息を切らし、肩に大きなバッグを背負ってきた夏は、肌が茶色に焼けていた。


――俺よりも重装備じゃねぇか。


 海釣りに必要な最低限の荷物しか持ってきてない俺と比べたら、やる気ががぜん違った。


 「まぁいいや、早速行こうぜ。」


 俺たちは手続きを済ませ、海釣りを始めた。


 「いや~海は涼しいな~!」


 お互い釣り糸を垂らしてしばらくたったころ、夏が話しかけてきた。

確かに家にいた時よりも涼しいが、直射日光がまぶしかった。


 「まぁ、眩しいけど。」

 「今日は大物が釣れたりしてな、ごちそうだぜ~!」


 期待大で挑んでいるのはいいことだが、まだお互いの釣り糸に変化はない。

 

 眠くなってうとうとしてきたころ、ようやく俺の釣り糸が引っ張られた。


「来た!強い!」


 思っていたよりも強い引きに驚いたが、うまく魚を釣り上げることができた。

釣れた魚は......


 「カンパチじゃねえか!いいなぁ。」


 なかなか大きいカンパチだった。

俺は持ってきた折り畳みナイフでカンパチをさばき始める。


 「おいおい、せっかちだな。」

 「今日は朝から何も食ってないんだよ。」


 慣れた手つきで刺身にして、俺はそのまま口に運んだ。

釣れたての新鮮な味が口に広がり、今日海釣りに来てよかったと思わせてくれた。


 そしてまた釣り糸を垂らそうとしたとき、夏の釣り糸が揺れた――

いや、船が揺れた。


 「なんだ!?」


 近くの柱につかまろうとするも、俺はつかむことができず、床に頭を強く打ち付けて気を失ってしまった。


「拓弥!」


 意識が切れる直前、夏の声が聞こえたが、反応はできなかった。





 「ん......ここは......?」


 目を覚ました時、俺は砂浜の上でうつぶせになっていた。

辺りは真っ暗になっていて、よく見えない。


 「そうだ、夏......でも、こんなくらいと見つからないか。」


 夏を探すこと、ここがどこか確認するのは明日にして、俺は砂浜に身を預けた。

コメント、評価、ブックマークお願いします

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ