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96話 剣精霊とプリンスライム

 


「………んん〜、ハル??」


 プリンパーティーをした次の日。


 僕は身体のうえになにか乗ってる感触がして目を覚ました。


 最近はあんまり無くなったが前はよく僕が寝てるとハルが僕の上で寝てることが多かったからハルがいるんだと思った。


「…………レン、おはよう」


「………………誰?」


 もう、僕は慌てふためいたりなんてしないぞ!


 異世界では知らない女の子が寝ている間に自分の上にいるのは常識なんだ! これから異世界転生する人がいたら覚えておいてね!


 僕の上にいたのはハルじゃなくて、薄く赤みがかった金髪で赤い眼の中学生くらいの少女がいた。


 あ、この色合い最近見たな……というか、神気解放中の僕に似てる。


「エリュシオン??」


 たぶん合ってるだろうなーって思って、名前を口にしたら少女は無言でこくりと頷いた。


 昨日、酔っ払った華憐が僕の剣に勝手に『命名』していたのを思い出した。


 つまり、この子は剣の擬人化? 的な存在なんだろう、後で華憐に『鑑定』してもらおう。


「とりあえず、起きるからそこをどいてー」


「………あっ、待って!」


 僕は起き上がろうとして、かけていたタオルケットがはらりと地面に落ちた。


 すると、顔だけ見えていたエリュシオンの糸一本纏わぬ艶やかな肌があらわになった。


「………レンのえっち」


 エリュシオンが自分の身体を腕で抱いて、僕に抗議の目を向けてくる。


 というか、勝手に僕の上で寝ていたのはエリュシオンでは? あと中学生の身体には興奮しないぞ!


「………服、返して!」


 エリュシオンが片手で身体を隠しながらもう一方の手を僕に向けてくる。


 エリュシオンの服なんて持ってたか? って考えてると、扉がコンコンと音がして……


「ご主人様、おはようございます、濡れタオルをお持ち…………お取り込み中でしたか、失礼しました」


 オリアがいつもの朝の支度をしに部屋にやってきて、僕を見て、エリュシオンを見て、もう一度僕を見て、静かな声でお辞儀をしてから部屋を出ていった。


 あ……これあとで怒られるやつや……くそぅ、僕は何もしてないのに……冤罪だ!


 恨めしい気持ちを目に乗せて、エリュシオンに抗議の視線を送ろうと目を向けると


「………こっち見ないでっ! 『神気解放』!」


「えっ?! ぐぁっ! 目がぁ!! 目がぁ!!」


 エリュシオンが赤金色のオーラを纏ったと思ったら小さな神気の塊を弾丸みたいに僕の目に飛ばしてきた。


 なんて器用なっ!!


 ていうか、エリュシオンなんで僕の神気使えるの?!


 色々と疑問があるけど、とりあえず華憐に『鑑定』してもらえば全部わかるだろうと思って華憐の部屋に行くことにした。


 その前に、エリュシオンの服だな……


 僕はエリュシオンの方を極力見ないようにしながらタンスから昔懐かしレンって前に堂々と書かれた痛シャツを出し、エリュシオンに貸して部屋を出た。


「………レン、ぶかぶか……エリュの服は?」


「少し我慢してて、というか僕、君の服なんて持ってないよ?」


 さっきからこの子はなんで僕が服を持ってると思ってるんだろう? ていうか、自分のことエリュって呼ぶのか、僕もそっちで呼ぼうかな?


 とか思いながら、華憐の部屋に急いだ。




 ………………………………………………………………





 蓮が起きた同時刻、華憐の部屋にて。


「ぐっちょ……ぐっちょ……」


「……うぅ、もう飲めましぇん……」


「ぐっちょ……ぐっちょ……」


「……………ふあ〜〜……なんの音……?」


 私はなんかベチョベチョしてそうな音がして起きた。


「うっ……」


 身体を起こそうとして、頭痛がしてもう一度倒れ込む、背中に硬い感触がした。


「あれ? なんで私、床で寝てるんだろ? ていうか、気持ち悪……」


 私はなんで床で寝てるか昨日の寝る前のことを思い出そうとしたけど、思い出せなかった。


 昨日は確か、プリンパーティーをして……あれ? 記憶が無い……まぁ、いっか。


 とりあえず、身体を起こそうと思って力を入れると、


「え、なにこれーー?!」


 私の体はベチョベチョでなんか甘い香りを漂わせていた。


 そう言えば、ベチョベチョって音がしたような……


「…………え?」


 またコロッケのイタズラかな? って思って犯人を探そうと部屋に視線を向けると、床でグチョグチョと跳ねるプリンがいた。


「…………はい?」


「ぐっちょ……ぐっちょ……」


 なにこれ? なんでプリンが跳ねてるの? って疑問に思ってるとプリンは跳ねながら移動して部屋の外に出ていった。


 とりあえず頭の整理をして、これは夢か! って思い、もう一度寝ようと横になった時


「わーー!! なんだお前はスラ!! そこはさっき掃除したスラ!! 汚すなスラァァァ!!」


 って、外からルンちゃんの声が聞こえたから、「あ、これ夢じゃないやん!!」って思いいたり、さっきのプリンを捕まえに行った。


 部屋の外では、プリンを撒き散らしてグチョグチョ跳ねているプリンと、それをスラスラ言いながら追いかけてるルンちゃんがいた。


「カレン! そのプリンを捕まえるスラ!!」


「うん! 任せて!!」


 私はルンちゃんが追いかけられてこっちにくるプリンに向かって、


「くらえ! 華憐タックル!!」


 腕を広げてプリンに掴みかかる。


 プリンはそのまま私に突っ込んできて、


「うわぁっ!!」


 ぶわっ! と、広がったと思ったら私が頭からプリンを被ることになった。


 プリンはそのまますり抜けて、後方に逃げていく。


「あれは、カレンの部屋から出てきたスラ、あとで責任追及するスラ! とりあえずあれを捕まえるスラ!!」


「う、うん、わかったよ!」


 こうして、私とルンちゃんと跳ねるプリンの鬼ごっこが始まった。


 プリンは跳ねてるだけなのにかなり高速に動くからなかなか捕まえることが出来ない。


 それに、跳ねたところにプリンが飛び散るせいで時々転けそうになる。


「2号! 3号! 反対側に回り込むスラ!!」


 途中からルンちゃん2号とルンちゃん3号も参加して4対1で追いかけるも、やっぱり追いつくことは出来ない。


 もぅー、私プリンまみれでグチャグチャだよぉ!!


 きゅうちゃんを出して、勝負をつけようと思った時、視界に蓮くんと、蓮くんの痛シャツを着た少女を捉えた。


「蓮くん!!」


「あ、華憐! 『鑑定』して欲しいことが……なになに?! プリンっ?!」


「レン!! そいつを捕まえるスラ!!」


「え?! わ、わかった!!」


 蓮くんが跳ねてくるプリンを捕まえようと構える。


 あ、あれはタックルの構え!! 私と同じことになるじゃん!!


「蓮くん! タックルはダメだよ!!」


「えっ?!」


 私は注意したけど時すでに遅し、プリンは思いっきり蓮くんに突っ込もうとしている。


「ご主人様ーー!!」


「うぉっ!」


「え?」


「レン! よくやったスラ!」


 蓮くんに飛びついてグチャグチャにすると思ったプリンは空中で回転して人型になって蓮くんに突っ込んだ。


 蓮くんは見事キャッチ! ルンちゃんが賞賛してる。


「ご主人様! ポムを作ってくれてありがとうプリ!」


 プリンの少女に抱きつかれて蓮くんは、全てを察したような顔をしていた。


「あーー、とりあえず、話をまとめるために小ホールに行こう」


 蓮くんの号令で小ホールに向かうことになった。





 ………………………………………………………………





 華憐の部屋に向かう途中で、なんかぐちゃぐちゃな華憐とルンがプリンを追いかけているところに遭遇。


 そのプリンが擬人化したことによって、全てを察した僕は小ホールに移動してエリュシオンとプリン少女の正体をみんなに話した。


「つ、つまり私のせいってこと?」


「そういうこと! 華憐が酔った勢いで『命名』したから、この二人が生まれたの! 華憐が戦犯だよ!」


「な、なんだってーー!」


 うーーん、華憐はセリフは驚いてるけどよくわかっていないような顔してるから絶対わかってないな!


 とりあえず、エリュシオンはわかってるからプリンの少女のほうだな。


「君は名前は?」


「ポムはポムって名前プリ! カレン様が名付けてくれたプリ!」


「ほら、華憐のせいじゃん」


 僕は華憐に非難の目を向ける。


「き、記憶にございません!」


 華憐はぷいっと視線をそらした。


 酔っぱらってたから記憶が無いんだな。


 プリン少女、ポムは中学生くらいの背格好で頭頂部が焦げ茶で毛先の方は黄色い髪の毛でさくらんぼのヘヤピンと生クリーム型の小さな帽子をかぶってて果物の刺繍がされたフリフリのスカートを着てるから、アイドルみたいで可愛い少女だ。


 華憐の『鑑定』によると、種族はプリンスライムっていう新種のスライムらしい。


 今はルンに廊下を汚したことをガミガミと説教されてる。


 エリュシオンの方は、剣精霊という精霊になっていて、契約者は僕になってた。


 僕の神気が使えるのは僕が神気を流しまくってたからみたい。


「レン!! 裸の女の子とベットにいたってどういうことよ!」


 エリュシオンのこともわかったし、とりあえずこの二人をみんなに紹介でもするかーって思ってたら、クルアがやってきた。


 たぶん、オリアに報告されたんだろうなぁ……


「レン、そこに正座しなさい!」


「はい、わかりました」


 僕は抵抗は最初から諦めて正座する、するとエリュシオンは僕の膝の上にちょこんと座ってきた。


「む、なんであなたはレンの上に座るのよ!」


「………エリュはレンの剣、いつも一緒にいる」


「どういうことかしら?」


 クルアが僕に冷たい視線を向けてきた。


 僕はクルアにエリュシオンとポムのことを話した。


「つまり、カレンが酔っ払ったせいってわけね」


 その華憐は少し離れたところでポムと正座をしてルンに怒られてる。


「………レン、いつになったら服返してくれるの?」


 エリュシオンが僕の顔を見て、今日何度目かの服返してを言ってきた。


「だから、エリュシオンの服なんて……あ、もしかしてこれのこと?」


 僕はエリュシオンは精霊だけど剣だったなと思って、剣の服といったら鞘じゃないか? って思って鞘を出してみた。


「………そう」


 エリュシオンはぴょんっと僕の上からたつと鞘を手にした。


 すると、鞘がキラキラ光って、その光がエリュシオンにまとわりつき純白のドレスになった。


「………どう?」


「うん! 可愛いよ!」


「………ありがとう」


 ドレスを着たエリュシオンは清楚でとっても可愛らしかった。


「やっぱりレンはこういうのがいいのかしら?」


 そう言って、クルアがエリュシオンと同じくらいの背格好になる。


 いや、僕はロリコンじゃないんだけど……


 クルアに僕はロリコンじゃないことを懇切丁寧に教えてあげて、ミーナたちも来てエリュシオンとポムに驚いて、なんだか今日も1日賑やかになるなぁって思いながらみんなを見て僕は自然と笑顔になった。

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