95話 プリンパーティー
「よし、ピィナー、ゆっくり下ろしてー! ゆっくりだぞ!!」
「はーーーい!!」
今、プリンを釜から出すためにお鶴さんたちに作ってもらった大きな布で蓋をしてひっくり返そうとしてるところ。
プリン入りの釜は重くてピィナの超巨大化状態じゃないと運べないというなんとも心臓に悪いことになった。
ピィナにプリン任せるのは本当に心臓に悪いなぁ……
まぁ、それでもピィナしか出来ないんだし信じて任せるしかない。
「おーーらーーい! おーーらーーい! そのままゆっくり下ろしてーー! そうそうそう! おっけーー!」
釜を反対にして設置完了、あとはトントンして釜を取るだけ!
釜を取るのはみんなにも手伝ってもらう、ガルさんたちも手伝ってくれる。
「みんな準備はいいですかー?」
「「「「「はーーーい!!」」」」」
「それじゃあ、いーーーち!! にーーーの!! さーーーん!! で、いきますからねーー!」
「蓮くん! そういう意地悪なのやめて!」
あ、華憐は引っかかったな! 他にも何人か引っかかってそう。
「ごめんごめん! じゃあ、次はちゃんとやるよー! みんな準備はいいかーー?!」
「「「「「おーーー!!!」」」」」
「いーーーーち!!」
「「「「「にーーーの!!」」」」」
「「「「「さーーーーん!!」」」」」
みんなで蓋となってる釜を持ち上げて空飛べる人達にそのまま持って外してもらうと……
「「「「「おぉぉぉーー!!!!」」」」」
プルんとプルプル、超おばけプリンが出来てた!!
「蓮くん!! すごいね!! 富士山プリンだ!!」
「うわぁーーー! これ全部食べれるんですか?!」
「あのカチカチ卵が、こんなに柔らかそうになるなんて……」
「其の時、深淵の釜に囚われし柔の力が解き放たれた………プルプルしてて美味しそう……」
「レン兄ちゃん! 俺あの茶色いとこ食べたい!!」
「レンーー!! 早く食べていぃぃー!?」
「レンお兄ちゃん! ピィナの分は?!」
みんな超おばけプリンに心を奪われてるみたい、ちみっこ達は早く食べたくてしょうがない! って感じだね。
お鶴さんやザリュさんとかもそれぞれの言葉で感動を表してる。
「ちょっと待てちょっと待て! そんながっついたらプリン崩れちゃうだろ! 上からゆっくり取ってくんだ、ピィナの分はどうせ、これだけじゃ足りないだろうからもう一個作ったやつ全部がピィナのだ、食ってこい!!」
みんな横からプリン取ってくから傾いて崩れそうになってるよ!
今日はちょっと働きすぎでごめんだけど、また飛べる天使族や悪魔族たちに頼んで上からプリンをみんなの分よそってもらう。
実はもう一つ作ってたのはピィナの分だ。
絶対足りないと思ったからピィナ用のを作った。
「カラメルが欲しい人はこっちに来てください!」
オリアたち鬼人族はカラメルを沢山作ってくれて、配ってくれている。
「レン様! これはパーティだろ? ならこれがいるんじゃないかい?」
「さっすがダシンさん! 僕も飲みたいと思ってた!!」
ダシンたちドワーフが酒ダルを担いで持ってきてくれた、ついでにぶどうジュースも持ってきてくれた、子供用だね!
ダシンさんたちはお酒をついでみんなに配ってくれる。
みんなやっぱりお酒は大好きみたいで、本当によく飲む。
お酒の木植えたのはやっぱり正解だったかもしれない、華憐にバレないためにまだ『開花』させてないけど早いうちにさせておこうかな?
まぁ、バレてないのは華憐が家から出てこないからだけど。
「ミーナ、そんな一気に飲んで大丈夫なの?」
「なんのなんの! こんなのまだ序の口ですよ!」
「カレンも飲んでみなさいよ、飲んでみたら意外とイケるかもしれないわよ?」
「カレン! 我と開闢の聖杯を交わそうではないか!」
「ルカ、あなたはお酒そんなに強くないんだからあんまり飲んじゃダメよ!」
「クルアのいけずっ……!!!」
向こうでは華憐たちがガールズトークに花を咲かせてる。
みんなが華憐にお酒を勧めてるからついに華憐もお酒デビューかな? 一緒にワインソムリエめざす?
僕は席に座って、自分用にと別に作っておいた普通サイズのプリンをデコレーションしようと思う。
そのために倉庫から色々持ってきた!
ブルーベリーとかベリー系やさくらんぼとか余った牛乳で作ったホイップクリームとかでプリンを着飾っていく。
「よしよし、イチゴジャムでつぶらな瞳を作って、さくらんぼを乗せてあげて……」
なんだかプリン・ア・ラ・モードみたいになってきたな!
「レン様? 何作ってるんです?」
僕のプリンが芸術的に可愛くしているとき、後ろからガルさんがやってきて話しかけてきた。
「ちょっとプリンを可愛くしてみたくて……」
「なるほど、確かにレン様のプリンは可愛くなっていらっしゃる、レン様たちは毎日こんなふうにパーティをしてるのですか?」
「いやー、さすがに毎日はしてないですよ、この前のはカレールが来たからだし今日のプリンパーティーはピィナが卵産んだからだし、突発的ですよー」
「そうですか、レン様はいつも楽しそうですね」
そりゃあね、楽しい方が全然いいしね!
まぁでも、ゆいりがいればもっと楽しいんだろうなとか思っちゃう僕は心の底からは楽しんでいないのかもしれないけど。
「ま、ガルさんたちもここにいる間は十分楽しんでいってくださいな」
「ええ、そうしますね、でもそろそろ一度、明後日くらいには戻ろうと思います、セッテたちのこともありますし」
あー、そっかー、セッテたち帰るのか。
そりゃ、家族もいるだろうしね、少し寂しくなるなー、帰る前にモフモフさせてもらお。
「わかりました、じゃあまた作物とか果物を沢山見繕っておきますね」
「ありがとうございます! またレン様の野菜が食べられると思うとヨダレが出てきそうですよ!」
そう言って、ジュルルって涎を吸うガルさん。
ガルさんって狼の獣人だよね? ベジタリアンウルフなのかな?
あ、そーだ、聞きたいことあったんだった。
「ガルさん、この剣の名前ってなんですか?」
そう言って『宝物庫』で剣を取り出しす。
この剣、なんて名前なんだろうなーってずっと思ってたんだよね。
「剣の名前ですか? んーー、クッテのやつ何も言ってなかったからなぁ……レン様が決めていいんじゃないですか?」
クッテって言うのはセッテの父親かな?
僕が決めていいのかー、なんて名前にしようかな。
「れぇ〜んくぅん! にゃにしてるのぉ〜?」
「うわぁ! って、なんだ華憐か」
剣の名前を考えてると後ろから誰かに抱きつかれて振り向いたら華憐だった。
てか、お酒の匂いする、酔ってるな……呂律回ってないし。
「ミーナたちはなにやってるんだ?」
まったく、こんな泥酔やろうを作ってなにしてんだよって思って、ミーナたちのいる方を向いてみると、僕の視線に気づいたみんながこっちに向かって綺麗なサムズアップをしてきた。
うわ、めんどくさい酒絡みを押し付けられた奴か……
「さっき剣のなまえぇ〜とか言ってたよねぇ? これぇに付けるのぉ〜?」
華憐なぜ、こんなになるまで飲んでるんだよ……後ろから抱きつかれてるから胸とか当たって柔らかいんだけど……
「そうなんだけど、どんな名前にしようかなーって」
「ん〜〜、じゃあここと同じ『エリュシオン』がいいと思うなぁ〜」
「おー、確かに! よく国の宝剣とかその国の名前だったりするしね! 酔っ払ってるにしてはまともなこと……今『命名』した……?」
あまりにすらっと言ったから、スルーしちゃったけど『命名』したよね?!
やっちゃった……油断してたよ……
「わあぁぁぁー!! 蓮くん何これぇ! かわいぃ〜!!」
酔っぱらいは次の標的を見つけたみたい。
てかまずい! このままだとまた『命名』される!
「華憐ストーーップ!! それは僕が今から食べるんだ!!」
「えぇ〜〜? 食べるなんて可愛そうだよォ!! 蓮くんの薄情者ぉーー!!」
僕が華憐を止めようとすると、華憐はプリンをもって逃げ出しやがった!
ちょっと待って! 僕のプリン!!
「待て華憐!! 僕のプリンを返せー!!」
「おいでぇ〜きゅうちゃん! 蓮くんからこの『ポム』ちゃんを守るよ!」
「ひひぃーん!!」
僕が華憐を追いかけると、華憐は精霊馬のきゅうを召喚して、僕から逃げ出した。
くっそ! こうなったら!
「神気かい……」
「こなすちゃぁーん! 『遅動』!!」
「なっ……おっそ?! なんで進まないんだ?!」
僕が苦渋の決断で神気解放を使おうとしたらそれより先に華憐がこなすを出してスキルを使ってきた。
僕は走っても走っても前に進まないという謎現象にかかって、華憐を捕まえることはできなかった。
ぼ、僕の特製プリンがぁーー!!
そのあと、クルアになんで華憐があんなに酔っ払うまで飲ませたのか問い詰めたら、
「華憐は一口しか飲んでないわよ?」
「カレン様、ものすっっっごくお酒弱かったです」
「れぇん〜! 我が魔眼の真髄にあるわ、汝の心を奪うものにゃり〜、あ! れぇん今私の魔眼みたぁ〜! れぇんのこころげっとぉ〜」
「まじか……華憐、そんなお酒弱いとは……ちょい、ルカ重い」
「ルカ、だからお酒飲み過ぎないようにって言ったのに」
そう言えば、ルカもあんまりお酒強くないって言ってたな、道理でこんなに酔っ払ってるのか……
僕はこの日、華憐とルカにはお酒を飲ませないようにしようと心に決めた。
後日、差別だ差別だと、華憐とルカにデモを起こされた。
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天空庭園で蓮たちがパーティーしているとき、そこから漏れでる歓声や灯りを見ている者がいた。
「呑気なもんっすね、明日にはここら一体が焼け野原になるって言うのに」
「そうだなぁ、まっ、今のうちに最後の晩餐を楽しませてやってもいいだろぉよ」
「よく幻獣種なんて駒にできたっすねー」
「幻獣種って言っても元は魔獣、そんな大層なもんじゃねぇんだよ、それより決行は明日の夕方だからな」
「わかってるっすよ、そのまま忌み子を連れて夜の闇に紛れて行くんすよね?」
「そういうことだ、あの神気使いも幻獣種との戦闘となれば周りに気を配ることもできねぇよ」
「やつが闘ってるうちに、忌み子をかっ攫う、完璧っすね」
「ふん、それじゃあ、明日の時間になるまで俺たちも寝るとするか」
そう言ってかつてミーナを攫ったハイエルフと子分のエルフは夜の闇に紛れて行った。




