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93話 カレール

 


「おっ酒♪ おっ酒♪ おっさっけー♪」


「「おっ酒♪ おっ酒♪ おっさっけー♪」」


 昨日、ダシンさんの所に行ってお酒を飲んだ僕は、僕の心を撃ち抜いたワインを大量生産することを決めた。


 それで、どうせなら新しく作ろうと思って、お酒専用のぶどう畑などのお酒専用の畑を作ることにして、今はその予定地にミーナと一緒にスキップしながらお酒音頭を歌って向かっている。


 クルアがアホの子を見るような目で見てくるけど気にしない!!


「「おっ酒♪ おっ酒♪ おっさっけー♪」」


「さぁ、レン様! 一緒にお酒道を歩もうではないですか!!」


「おぉーー!! どこまでもついて行きます!! ミーナお酒隊長!!」


「ちょっとまったぁーー!」


 さぁ、もう一度お酒音頭を歌おう! って思ったとき、トモ〇レの告白割り込みシーンのように誰かが割り込んできた。


「そのお酒道、ワシらも混ぜてもらおうか!」


 割り込んできたのはダシンさんたちドワーフ……僕らの師匠だ。


 僕はダシンと無言で固い握手を交し、肩を組んだ。


「さぁ! 共にゆこう! お酒の極地へ!!」


「「「「「おぉぉぉーー!!!」」」」」


 ダシンさんたちが仲間に加わって再びスキップを再会。


「「「「「「おっ酒♪ おっ酒♪ おっさっけー♪ おっ酒♪ おっ酒♪ おっさっけー♪」」」」」」


 クルアがさらにアホの子が増えたっ! って言いたそうな目をしてるけど無視無視!!


「レンはいつも楽しそうだね」


「アホなだけよ、ルカは落ち着いてなさい」


 む、クルアよ、失礼なのは目だけにしときなさい!


 そんなこんなで畑予定地に到着! 久しぶりの農業で結構やる気がある、お酒の畑っていうのもモチベ向上に貢献してるかもだけど。


 ダシンさんが鍬を掲げて鼓舞する。


「いいかぁーー! お前らぁーー! いい酒を作るにはいい果物を作ることからだ!!」


「「「「「おぉぉぉーー!!!」」」」」


「行くぞぉぉーー!! 同士たちよぉぉーー!!」


「「「「「おぉぉぉーー!!!」」」」」


 僕達は士気最大で畑を耕し始めた。


 クルアはやっぱりアホの子を見る目で僕達を見ていた。




 ………………………………………………………………





 畑を耕し始めて数時間、それはもう沢山耕した。


 途中耕す平地が無くなっちゃって、木を切って新しく開墾するくらいには頑張った。


 そして種を植える。


「久しぶりに使うなー、柿ピー」


「あれ? レン、それカレンに没収されてなかったかしら? 使う許可もらったの?」


「ん? いやー、ミーナに抜き足差し足忍び足で取ってきてもらった」


 そう、僕はお酒に関して自重することを辞めた! どうせなら最高のものを作りたいから柿ピーを使うことにした!


 まぁ、華憐に許可なんて貰ってないから独断なんだけどね! たぶん言ったら反対させられるし、バレなければ全て合法なんだよ!


「バレても知らないわよ、こんな大きな畑まで作って……」


「大丈夫大丈夫! あんな寝っ転がってばっかなやつ、何かを言ってきても全て論破してやる!」


 そうだ! 僕はオタクなんかに負けないぞ!!


「大丈夫です、レン様! もしカレン様になにか言われても私がお話をつけてきますから!」


「ワシらもしっかりと擁護するわい!」


 それに、僕にはこんなに頼もしい同士たちがいる! 安心だね!!


「ありがとー! よし、植えるか!!」


「レン様、どうせならお酒が出る木も作ってみませんか?」


 なんかミーナが悪い顔して僕に提案してきた。


「やっちゃう?」


「やっちゃいましょう!」


「やっちゃうかー……」


 僕と華憐は悪い顔しながらお酒が作れる作物とワイン専用のぶどう、そして酒の木が育ちますようにって願って柿ピーを植えた。


「にひひひひ、お主も悪よのぉ……」


「なんのなんの、レン様程ではありませんよ」


 今から楽しみだなー!


「まったく、本当にカレンに何言われても知らないからね!」


 クルアは硬いなー。


「レン様、あそこに誰かいませんか?」


 柿ピーを植え終わって、一息ついてるとミーナがカレーのルーの木の方を指さしてた。


「ん? んーー、いるね………誰だ?」


 ルーの木の方を見てみると確かに誰かがいる、シルエット的には女の人かな? あれ……前もこんなことあったような……シロ様の時だ!


 え?! まさかのシロ様再来?!


「誰かの知り合い??」


「私じゃないわね」


「我も違うのだ」


「ワシらも違うぞ?」


 んー、とりあえず話しかけてみるか。


 僕達はルーの木の所にいる女性に話しかけることにした。


「あのー……どなたでしょうか?」


 女性は褐色肌で赤い長い髪で露出の多いインド風の服を着ていて、胸が大きいからなんとも扇情的な人だ。


「ん? お前はこの木の持ち主か?」


 質問を質問で返すのはどうかと思うんですがー。


「そうだけど、あなたは?」


「私か? 私はカレールだ、それにしてもこのカレーはいいな辛さやあと味とかが完璧だ」


 そう言って樹液のように出でるカレーを舐めるカレール。


 カレールってまんま、カレーのルーだな……


 というか、女性でよかった、もしシロ様みたいにハ〇様みたいな感じでキン〇マンのカレ〇ックとかだったらどうしようかと思ったよ……


「そりゃ、このカレーの木は事故で育ったとはいえ柿ピーで作った、つまり神が作ったようなものだからね」


「なるほどな、私にこのカレーのルーでカレーを作らせてくれないか? 今までにない最高のカレーを作れる気がするんだ」

 

 お? これはシロ様パターンだな、どうせカレー作りの天才なんだろう? カレーなんてルーから作ったら誰が作ったって同じだろうに。


 まぁ、夏の終わりに夏カレーっていうのもありかな!


「いいよ、家に案内するよ」


「そうか、私の作るカレーは絶品だぞ、楽しみにしててくれ」


 僕達はカレーのルーの木で会った女性、カレールを連れて家のキッチンに向かった。


 今日の夕食はカレーだな!




 ………………………………………………………………





「ほら、沢山作ったから好きなだけ食べていいぞ」


 夕食は予想どうりカレーになった。


 家に戻ってきて、まずは華憐にシロ様みたいにカレールが現れてカレーを作りたいという事の顛末を話した。


 そのあと、カレールがキッチンに入って夜までひたすらカレーを作り続けていた。


 今、僕達の前には何種類もの大量のカレーの鍋が置かれている。


「おおーー! 今日はカレーか! しかも沢山あるぞ!!」


 ちみっこ達はコロッケを先頭にどんどんカレーをよそっていく。


 なんでこんなにカレーの鍋があるのかというと、カレールが辛さや味別で沢山作ったから。


 華憐がカレールを鑑定したら、シロ様と同じでスキルを持っていたらしい。


 カレールのスキルは『辛味調節』というスキルで名前の通り辛さを自在に変えられるらしい。


 さらにシロ様が土鍋専用の錬金術師みたいにカレールはカレー粉専用の調合師らしく、野菜を粉状にして混ぜてグリーンカレーを作ったり季節外れのリンゴとかも粉状にして果物カレーを作ったりたくさんの種類を作っていた。


 それで、甘辛、中辛、激辛、超激辛の四段階の辛さがあって鍋の量が凄いことになっているという訳だ。


「やばっ! 蓮くん、このカレーやばいよ! すごく美味しい! 本場の味だ……カレーの神が見える……」


「レン様! マヨネーズもピッタリです! とくにこのグリーンカレーの激辛が!」


「レンの作るカレーより美味しいんじゃないかしら?」


「ふっ、我にふさわしきはより高みにあるカレーのみ………かりゃいかりゃいっ!!」


 みんなもカレールのカレーは気に入ったみたい、華憐なんて悟りを開いたみたいだし。


ミーナは相変わらずマヨラー。


超激辛カレーなんて誰が食えるんだよって思ったけど厨二病の方が食べてた、あとはリザードマンたちには好評だった。


 やっぱり、<才能>はもってても、その分野の天才には勝てないなぁ……


「私の目に狂いはなかったな、やはりここのカレーのルーは今までで一番の美味しさだ、そしてこの白飯がまたいい」


 まぁー、白ご飯はシロ様がいつも炊くからね、ある意味このカレー、世界一のご飯マスターと世界一のカレーマスターが作った世界一のカレーじゃない?


 このあとジダンさんがお酒をひと樽持ってきて、カレーパーティーになった。


 やっぱりお酒はうまい……


 華憐はまだ抵抗があるみたいでお酒には手をつけてなかった、真面目っ子だなー。


 そして、今日1番カレーを食べたカレーMVPはシロ様だった。


「何だこのカレーは?! ニギハヤミと相性抜群だぞ!!」


 とかなんとか言ってバクバクと全種類、全辛さのカレーを食べまくってた。


 このあと、カレールはあのカレーの木に惚れたからここに住みたいと言い出して、カレールは正式に『エリュシオン』に住むことになった。


 くそう……カレー作りでもまけた……。

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