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92話 お酒

 


 マールちゃんが帰って、ガルさんが来て、『エリュシオン』って名乗ることを決めた次の日、華憐が考えたからなにかおかしなことが起きないか心配だったけど巨木な我が家が機動要塞になったり巨神兵になったりはせず無事に朝を迎えられた。


 よかったよかった!


 今日の朝からせっかくガルさんたちに剣を貰ったのに使わないのは勿体ないから使えるようになるために訓練することにした。


 リーアさんとかレーアさんとかザリュさんとかに稽古を付けてもらう。


 稽古は暗黒界に行った時に連れていかなかった時から強くなるために特訓してるミーナも一緒に受けている。


 ミーナは以外と剣を構える姿が様になってた。


 けど、<才能>の力がある僕にはもちろん剣の才能もあるからミーナレベルはあっという間に到達、自慢気だったミーナは拗ねた。


 でもまぁ、その分野特化の人にはやっぱり剣だけだと才能があっても技術がないから勝てない、ザリュさんとかね! 魔法使えば勝てるかもだけど、それは無粋だしね。


 これからも稽古は続けていこうと思う。


 昨日ガルさんに貰った剣、昨日はずっと腰に刺してたけどロングソードだから正直移動に邪魔だった。


 だから、ダガーナイフは腰に刺しておいてロングソードはクルアに教えて貰った『宝物庫(チェスト)』に入れておくことにした。


 すると、ある現象が起きた。


 そう、何も無い空中から剣を抜くというなんだかとっても夢があることが出来た。


 いや、なかなかかっこいい! これは厨二病じゃなくてもかっこいいと感じるはず!! 華憐にも好評だったしね!!


 ダガーナイフのほうは扱ってる人がいなかったから自己流で技術を磨いていくことにした。


 さて、今日の稽古は一応もう終わって、これからダシンさんのところに向かう。


 お酒作りの進捗状況を視察するためにね!


 作物とか必要な建物とかを渡して放置しっぱなしだったから少し申し訳ない。


「レン様! お酒楽しみですね!」


「ミーナはお酒好きなのー?」


「はい! エルフの国にいた頃、嫌なことがあった時とかはよく飲んでましたし、それに私こう見えてお酒強いんですよ?」


 ミーナ……僕達より1つ歳下なのにヤケ酒って、本当に苦労してきたんだなぁ……もしかして、ミーナもクルアと一緒で年齢誤魔化してたりしてないよね?


「お酒なんて久しく飲んでないわね」


「クルアとは古の時代、よく聖杯を酌み交わしたな!」


「あなた、そこまでお酒強くないでしょう、お酒ができたら飲みすぎないようにしなさいよ」


 クルアとルカも着いてきてる。


 二人は僕と同じくらいの見た目だけど実年齢は見た目の年齢の十倍だから何も思うまい!


 でも、日本で飲んでたらお巡りさんに捕まりそうだなー。


 華憐は一応声はかけたけど部屋で伸びてたから置いてきた。


 もう、無理矢理起こすのもめんどくさい。


 もうすぐ日本では夏休みも終わるというのにあそこからどうやって学校に行くのか……


「レン様ー! お待ちしておりましたわい!」


 そうこうしているうちにダシンさんたちドワーフが一日中入り浸ってる酒蔵に到着、ダシンが出迎えてくれる。


「ダシンさん、放置しっぱなしですみません」


「いやいや、問題ないですぞ! それより、やはりここの果物は酒造りにはピッタリですな! いい酒が出来そうですわい!」


 ダシンさんに案内されて酒蔵に入る。


 酒蔵の中は僕が知らない道具とかがわんさかあった、お酒作りなんてやったことも考えたこともなかったから何に使うものなのかさっぱりだ。


 樽も沢山あって中身は僕達が育てて収穫してるくだものが入ってる。


「見つけたスラ! こんなところでサボって何してるスラ!!」


 あれ? 奥の部屋からルンの声が聞こえる。


「ルンの持ち場はちゃんと掃除したスラ! サボってないスラ!」


「自分の持ち場が終わったら2号のところを手伝うように言ったはずスラ!!」


 ルンの声が二人分聞こえる。


 僕達が奥の部屋を覗くと、お掃除隊長衣装のルンと3号と書かれたTシャツを着てるルン3号がいた。


 正直、顔とか髪とか瓜二つだから衣装でどっちがどっちなのか判断してます。


「何してるの? こんなところで」


「レンか、3号がここでサボってるから連れ戻しにきたスラ」


「ルンはサボってないスラ!」


 お掃除隊長のルンは真面目だからなー、3号はサボり癖でもあるのかな? ていうか、同じ個体のはずなんだけど……


 そういえば、3号はドワーフたちが持ってきたスライムだったな。


 その時の記憶でもあるのだろうか?


「ルン、3号の仕事が終わってるんなら自由でもいいんじゃない?」


「違うスラ、終わったら2号を手伝うように言ったし、そもそも3号はここにドワーフからお酒をもらいに来てることのほうが多いスラ」


 スライム、お酒飲むのね……もしかしてドワーフ達が持ってきたスライムでできた3号は3号になる前にお酒の味を覚えたのかな?


「ルンは頑張ったスラ! だからお酒貰ってもバチは当たらないスラ!」


「べつに、お酒は飲んでも構わないスラ、けどサボるのは許さないスラ!」


「サボってないスラ!!!」


 ううーん、スラスラ言いすぎてスラになりそうだよ。


「まぁ、とりあえず今日のところは自分のところが終わったなら3号はやすみでいいんじゃないスラ?」


「「レンが語尾にスラをつけると気持ち悪いスラ」」


 このスライム共、食ってやろうかな!


 結局ルン3号はルンに吸収されて連れていかれた。


 吸収できるなら最初からそうすれば良かったのでは?


 まぁ、ルンお掃除隊長は吸収する前にしっかり話し合いで解決しようとするあたり厳しくも優しくあるんだろう。


「同じスライムのはずなのに、違う自我を持ってるなんて不思議ね、こんどスライムについて研究しようかしら」


「ルン、いつも私の部屋に来た時、『混沌と真髄とか闇とかよく分からないことが書いてある紙がたくさん散らかってたから全部吸収しといたスラ』って、言って私のセリフ集を全部持っていくの!」


 ルカ、いつもそんなこと考えてるの? アホだなー。


 華憐、ミーナに次ぐアホだよ、全く。


「レン様、試飲しますか?」


 試飲かー、ここ異世界だしお酒飲んでもいいよね? 豪に入れば郷に従えの精神で飲んじゃおうかな。


「じゃあ、少しください! 三人にも飲ませてあげて」


「わかりやした!」


 僕はダシンさんからお酒が少し入った杯を貰う。


 お酒なんてお正月の甘酒をお酒に入れるのならそれくらいしか飲んだことないしなー、正直良し悪しなんてわからん。


 とりあえず、匂いを嗅いでみる。


 うん、葡萄の匂いがするからワインだね!


「あら、すごく芳醇でいい香りね」


「むむ、これはなかなか……」


「なるほど……これがダークマターか……」


 さて、ではさっそく飲んでみようかな……飲酒解禁!!


 ゴクリ……


「な………お、おいしい」


 一口のんでみて僕は絶句した……正直お酒をなめていた。


 僕はワインなんてぶどうジュースがちょっと背伸びしたようなものだろうと思っていたが全くもって違った!


 大人はこんなに美味しいものを飲んでいたのか……許せまい!!


「うん、口当たりも良くて飲みやすくておいしいわ」


「………アタックは強い……酸味はさわやか……渋みはシルクのようでミディアムボディ……フレーバーはまるで私のレン様に向ける想いのようで……」


「なるほど……これがダークマターか……」


 みんなも一口のんでそれぞれのコメントを残す、ミーナはちょっと、何言ってるのかわからないし、ルカに関しては絶対に何も分かってないな、あれのセリフ厨二病語でわからねぇって意味だし、クルアの感想が一番僕にはわかりやすい。


「ここの作物は本当によく出来ていて、凄くいい酒が作れるのでな、本当にここに来て良かったわい!」


「ダシンさん、とっても美味しいです! これ量産できますか?」


「お酒作りには時間が沢山必要でな、すぐには無理だが果物さえ頂ければいくらでも作りますぞ! それと今ある樽分ならもう出来てるからいつでも飲めるわい!」


 なら、果物の畑の分量を増やして、ぶどうとかを量産するか……


「ダシンさん、お酒はとりあえず量産の目処が経つまでは毎日飲むのは控えて一週間に一回とか、パーティとかワイワイする時だけにしましょう」


「たしかに、こんないい酒を毎日飲んでたら止まらなくなってすぐ無くなってしまうからの、わかったわい!」


 ダシンさんとお酒の製造量を増やす計画をして、ついでにみんなでお酒の作り方を教えて貰った。


 お酒を作るのはなかなか大変そうだ。


 華憐は惜しいことしたなー、一緒に来てれば美味しいお酒が飲めたのに、帰ったらどれだけ美味しくて華憐がどれだけ惜しいことしたのかチクチクと語ってやろ。


 いやー、ほんとに美味しかったなぁー、未知の世界が開けた気分だ! 明日からミーナみたいにワインソムリエでも目指そうかな。

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