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91話 ガルさん再会と地名

 


 僕と華憐は獣人族のガルさんを待たせている応接室にやってきた。


 中からは楽しそうな声が聞こえるから、セッテたちはもう会ったんだろう。


 僕はノックしてから中に入る。


「ガルさん、久しぶりですねー」


「おお! レン様、元気そうでなによりです! あの時頂いた食料、本当にありがとうございます。それに、セッテたちのことも聞きました」


 どうやらガルさんたちは既にセッテから事情をしっかりと聞いたみたいだ。


 セッテたち獣人族はルカを助ける時にデミゴルゴンに捕らわれていたところを見つけ一緒に救出してきた。


 ガルさんによると、セッテたちが行方不明になってから、セッテたちの家族を中心に獣人族の里周辺からかなりの範囲を探したが見つからず既に生存は断念していたという。


「本当になんとお礼を申し上げていいか……本当に感謝します」


 ガルさんは頭を地面に埋め込む勢いで下げてくる。


 あげてあげて! ぶつかったら痛いから!!


「そんな気にしないでください、ほんとにただの成り行きだったので」


「レン様、私たちのこと助けていただいて本当にありがとうありがとうございますっ! この御恩は絶対にいつか返しますね!」


 セッテは犬しっぽをフリフリ言ってくる。


「セッテも、そんなにかしこまらなくていいよー」


 僕は頭をなでなでしてあげるとしっぽがブンブン振られて可愛い。


「あ、そうだ、レン様、鐘は如何致しますか? どこかに設置するのであればそこまで運びますけど」


「外に置いておいてください、あとでうちの自慢のニワトリが運ぶんで」


「はい? ニワトリですか?」


 あー、そっかガルさんはまだピィナを見てないからなー、ビックリするだろうなー、あのお化けニワトリを見たら。


 僕は曖昧に笑っておいた、教えたらびっくり度が減っちゃうからね!


 鐘は一応、天空庭園に置くことにしている。


 まだ、仮だけど今はあそこが一番だろうってことになった。


「あ、それともう一つ渡したい物がありまして……」


 そう言って、ガルさんは近くにあった箱を取り出して開けた。


 そこには、一振のロングソードと二本のダガーナイフがあった。


「レン様たちの食料を食べた里のみんながぜひ里総出でお礼がしたいと、里自慢の鍛冶師がレン様とカレン様にと打った剣です」


「あれ? ガルさん! もしかしてお父さんの剣?!」


「ああ、そうだぞ! お前の父親の腕は確かだからな!」


「レン様! 父の打つ剣はすごいんですよ! 使う人によって刃の色が変わるんです!」


 セッテの父親は獣人族の里一番の鍛治職人らしく、里で唯一、玉鋼とミスリルなどの魔力順応が高い鉱石を混ぜて剣を作る技術を持っているらしい。


 ガルさんに進められて、華憐はダガーナイフを、僕はロングソードを持ってみる。


 ずっしりとした重さが腕に伝わる。


「剣は扱ったことないから素人目だけど、こんな綺麗な剣、貰ってしまっていいんですか?」


「なんのなんの、レン様のために作ったんです、ぜひ使ってください!」


「じゃあ、ありがたく!」


「レン様! 魔力を流してみてください!」


 セッテに言われて魔力を流そうとして、ふと思った。


 神気でもいいよね!


 そう思った僕は魔力じゃなくて神気を流してみる。


「おぉぉーー!!」


「き、金色なんて初めて見ました」


「綺麗……」


 神気を流したロングソードはみるみる色が変わって僕の神気のオーラと同じ赤金色の刃になった。


 ガルさんとセッテが目を丸くしてる。


 すっごい派手な剣になったなー、宝剣と間違えられそう。


「華憐はダガーナイフ持ってみないの?」


「うーーん、私は戦闘とか苦手だしなぁ……あんまりこういうのも得意じゃないし」


 確かに、包丁握らせたら指切りそうだったしなぁ……


「まぁ、一応護身用みたいに持っておいたら?」


「じゃあ、一本だけ持っておこうかな、もう一本は蓮くんが使って!」


 そう言って華憐は一本のダガーナイフを持って神気を流し始めた。


 華憐のダガーナイフはオーラの色と同じで青金色になってた。


 綺麗だけど、ダガーナイフって感じじゃないなぁ……目立つ、ダガーナイフってなんだか暗器な感じがするのに。


「カレン様も綺麗ですね! 」


「うむ、渡した甲斐があったってものです! 」


「ガルさん、ありがとうございます!」


「いえいえ、それでもう一本の方は?」


「私はたぶん二本も使えないので蓮くんに譲ります」


「そうですか、ではレン様、こちらもどうぞ」


 僕はガルさんから華憐が譲ってくれたもう一本のダガーナイフを手に持つ。


 うーーん、神気をながすと目立つ色になっちゃうから今度は普通の魔力を流すかー


「うーーん、これでもまだ目立つ気がするけど神気よりマシかな」


 魔力を流したダガーナイフは濃い赤色になった。


 赤色は僕の魔力光だ。


「レン様、カレン様、こちらが鞘になります、鞘に入れた状態で魔力を流すと、刃こぼれや欠けたのが治って研がれた状態になるので覚えておいてください」


 すご! なにその自己修復機能! セッテの父親凄いな!!


「そうだ、ガルさん! これから正式に貿易をして頂けないですか? 鉄とか金属が欲しくて輸入したいんです」


 僕が最近ものづくりをしていないのは作りたいものに鉄が必要だから、ここでガルさんたち獣人族の里から鉄などの金属を作物とかと交換出来れば色々なものが作れる!


「本当ですか?! ぜひ!! 本当はこちらから頼もうと思っていたんです! もうレン様たちの野菜じゃないとあまり食べた気がしなくて……」


 あはは、そりゃあ種から神様が作ったようなものだからね、うちの野菜って。


 それから定期的に獣人族の里と貿易をすることになった、僕達からは作物などの食料を獣人族の里からは鉄製品などの金属を輸出入する。


 運搬はガルさんたちがやってくれると言ってくれて任せることにした、そのうち僕達からも運搬できるようにならないとね。


 そのあと、外に出て鐘を拝見。


 鐘は日本の神社とかにある除夜の鐘みたいに大きな鐘でよくこんなのを数日で作ったなーと感心した。


 そしてその鐘を巨大ニワトリと化したピィナに天空庭園に運んでもらった。


 ピィナが巨大化した時はガルさんたち遠征隊の面々は腰を抜かして尻もちを着いていて面白かった!


 まぁ、最初は誰でもそうなるよね、でもそれだけじゃないんだよ、あのニワトリ飛んで喋って擬人化するんだ。


 記念すべき第一回目の鐘の音はピィナに譲ってあげた。


 ピィナの朝の鳴き声といい勝負の音だ。


 つまり、かなりうっさい、設置し終わったあとピィナがカンカンカンカン鳴らすからさすがに怒った。


 ガルさんたちはまた数日間は泊まってもらおうと思ってたのでルンには部屋を用意してもらって、そこに案内した。


 そして、ガルさんに最重要事項なことを言われたので第二回種族代表会議が開かれることになった。


「さて、今回集まったのは重要なことを決めなければならなくなったからだ!」


 現在、種族代表たちには今回の会議の会場の小ホールに集まってもらってる。


 第一回目と違うのは種族代表が増えたことと、人数が増えたので一種族から一人出席になったこと。


 ミーナ、お鶴さん、ザリュさん、クルア、ルン、シロ様の第一回出席者に加え今回から


 ドワーフ代表、ダシンさん。


 天使族代表、ルカ。


 人間族代表、ミライア。


 悪魔族代表(仮)、アラティ。


 が、出席することになった。


 僕はこれみよがしにゲンド〇ポーズをとってみんなに話しかける。


 会議とかこういう場ではやっぱりこれが一番なんだよ!


「今回決めるのは、ガルさんから貿易する上でここの名前を決めて欲しいということだ、なにか意見はない?」


 そう、貿易を正式に始めるために書類を書こうと思ったのだがここの名前がハッキリしていなくて困った、だから決めようと思う。


「はい!」


「はい、ルカ!」


「『運命の(ディスティニー)聖域(サンクチュアリ)』がいいと思います!」


 なんだよディスティニーサンクチュアリって長いよ……


「厨二病は却下だ! あとあと恥ずかしくなる! 他!」


「はい!」


「はい、アラティ!」


「『家出保安所』はどうです?」


 いやいやいやいや、何その役所みたいなの! 家出っ子を保護するのかな?


「却下だ! うちはそもそも家出を推奨してない! はやくおうちに帰りなさい!」


「はい!」


「はい、ミーナ!」


「『レン様の愛の巣』か『マヨネーズ王国』を提案します!」


 まってまって! 1つ目のはなんか僕専用のラブホみたいだからやめて!! それにマヨネーズ王国はミーナの頭の中だから!!


「両方とも却下だ、まだ何かあるか? ないな? じゃあ僕が考えたのを聞いてくれ!」


 そう、一応この会議の企画者だからひとつ案を考えてきた。


「『レンレン村』はどう?」


「「「「「却下!! 」」」」」


 ええー、そんな……


「蓮くん、初めてあった時もそんなこと言ってたよね」


 あら? 華憐あの時のことを覚えてた? 僕が滑ったことを。


「それよりレン、ここってまず村なのかしら?」


「ん? んーー、言われてみれば村でもないような……」


 だって、家らしい家はこの巨木な我が家一本だしね、人は100人近くいるけど果たして村と呼べるのか……


 クルアの質問をしきりにみんなでうんうんうねり出す。


「あの、レン様はここをどんな所にしたいでありんすか?」


 お鶴さんに質問された。


 どんな所にかぁ……


「毎日、みんなが笑って過ごせる楽しい場所にしたいなー、華憐は?」


「私? んー、今みたいにどんな種族も人種も分け隔てなく過ごせる、平和な場所にしたい」


「それはまた、なんとも理想郷のような所でありんすね」


 たしかにそんな場所があったら理想郷を思い浮かべるなー、僕が言ったことも華憐が言ったこともそう簡単なことじゃないからね。


「理想郷……エリュシオン……蓮くん! 『エリュシオン』どう?!」


 命名大好き華憐からの提案が来た。


 エリュシオンねー、意外とカッコイイかも


「エリュシオン……いいんじゃないかしら?」


「さすがカレン様ですね!」


「かっこいい! かっこいいよカレン!!」


 みんなも賛成的みたい。


 ていうか、ルカと同レベルのこと考えてた……なんかショック、厨二病はもう卒業したはずなのに……


 まぁ、とにかく!


「じゃあ、今日から僕達の住むここは『エリュシオン』! 反対意見がある人ー?」


 もちろん、誰も反対意見などなく華憐の意見が通った。


 今日からここは僕達の理想郷をめざし『エリュシオン』と命名された。


 大丈夫だよね? 華憐が考えたから、そのなんか変なこと起きたりしないよね?


 明日の朝がすごく心配だ………。



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