88話 私だけスク水?!
ルカの厨二病患者発覚と、クルアの162歳のサバ読みが発覚して数日か経ちました。
もう夏真っ盛りで太陽が真上に登る時なんて外に出ちゃ行けない期間だと思う!
なのに蓮くんは毎日毎日いそいそと出かけてはコロッケやピィナと汚れて帰ってくる、本当に高校生? 小学生な気がしてきたなぁ。
私は相変わらずきゅうちゃんに風を送ってもらい、暑さでなーーーんにもする気が起きず伸びてる毎日。
「おーーーい、華憐! 外行くぞーー!!」
あ、小学生がやってきた。
本当に元気だなぁー
「いーーーやーーーよーーー!!」
「いいや! 今日という今日は来てもらうぞ!」
「ふん! 私はここから一歩も動きましぇーーん!」
私は確固たる意志を持って椅子にしがみつく。
「レン様ー! 準備できました!」
「レン、カレンは説得できた?」
「さぁ、紅蓮の煉獄にあるオアシスに降臨しようじゃないか!」
みんながきた、この前はクルアのせいで無理やり行かされたけど、今回はそうもいかないよ!
この前、ルカに『念動力』の克服の方法を教わったんだからね! さすが、幼馴染様々だよ!
「ふっ! バカレンよ、我が同じ手を二度と使うわけがないだろう!!」
なっ、私の考えてることを読んだ?! ていうか、バカレンって蓮くんもバカみたいじゃん。
それに、ルカが元気になってきてから蓮くんに厨二病移った気がするなぁー。
「全員しゅーーーごーーーー!!」
な、なにっ?!
蓮くんが叫んだ途端、窓や他の扉、ベットの下や天井からもコロッケたちちみっ子がわらわらと出てきた。
一体いつの間にっ?!
「さぁ! 胴上げだぁーー!!」
「「「「「おーーーー!!!!」」」」」
「わっ! え?! ちょ、ちょっと!! おろしてーーー!!」
「「「「「わーっしょい!! わーっしょい!! わーっしょい!! わーっしょい!!」」」」」
「きゃーーーーー!!!」
私は捕まってた椅子ごと持ち上げられて、胴上げで無理やり連れてかれた。
………………………………………………………………
「「「「「わーっしょい!! わーっしょい!! わーっしょい!! わーっしょい!!」」」」」
「ストーーーーップ!!!」
私が胴上げで連れてこられたのは前に作りかけていたプールだった。
「さぁ、まだ抵抗する気はあるかい? 華憐さんや」
「か、体は好きにできても心までは好きにできるとは思うなよっ!!」
私はキッ!!って睨みつけて、最後の抵抗をする。
胴上げ、他の人の目が恥ずかしかったんだらね!!
「そうかい、なら仕方ない……ちみっ子たち、やってやりなさい!」
「「「「「おーーー!! いーーーち!! にーーーの!! 」」」」」
「え? ちょちょちょ、ちょっとまってー!!」
「「「「「さーーーーーん!!!」」」」」
「きゃあぁぁぁぁーーーーー!!!」
バッシャーーーン!!!
私はプールサイドから、プールに投げられた。
お、泳げない……溺れる……オボボボボ……
「ねぇ、レン、カレン溺れてない?」
「んな、大袈裟な……あ、ほんとだ……あそこ足つくはずなんだけど……」
「レン様、そんな呑気に言ってないで助けませんと!! ………えいっ!」
「カレンは大海原を翔けることはできないのか……はっ!」
私はミーナとルカに助けて貰って溺れずに済んだ。
蓮くんめ、私が泳げないの知ってるくせに……薄情者ぉー……
私が蓮くんを恨みの籠った目を向ける。
「悪かったってー、はい! これ華憐とみんなの水着ね、お鶴さんに作ってもらったから」
そう言って、スポーツバックを渡してくる蓮くん。
「あそこに更衣室あるから、みんなに水着の着方を教えてあげて、男どもぉーー!! 僕達はこっちだぁぁーー!!」
「「「「「おおーーー!!! 」」」」」
蓮くんはコロッケたち男の子を連れて男子更衣室に向かった。
やっぱ小学生になったのかな?
「はぁ、しょうがないか……みんな、こっちきて」
私は渋々女子更衣室にみんなを連れて向かう。
更衣室でビッチョビチョになった服を脱いでスポーツバッグを開けて水着を取り出す。
「人数分あるけど、どれが私の?」
「あ、名前書いてありますよ、これレン様が選んでくれたんでしょうか?」
「我の華麗なる水着は………これだ!!」
「私のはお姉ちゃんとお揃いだ!」
みんな各々の水着を取っていく。
「じゃあ、ビキニの着方はね……」
私はクルアをモデルにビニキの着方をレクチャーしていく。
それを見て、各々水着を着ていく。
みんなの水着の色とか柄はミーナはシンプルな水色の花柄ビキニ、クルアは黒色にレースがついてるビキニ、ルカとマールちゃんはお揃いで白色のレースのビキニでなかなかいいチョイス!
「ルカ……あなた、また胸大きくなったかしら?」
「そう? まぁ、確かに浴衣という服を着た時はキツかった」
「ルカさんのお胸はすごいですね……レン様は大きいのと小さいのどっちか好きなのでしょう?」
確かに、ルカのおっぱいは大きい。
この中では一番じゃないかな?
ていうか、蓮くんどうやってサイズとかを知ったの……?
「お姉ちゃんの胸も大きいですけど、カレンさんもなかなか大きくないですか?」
マールちゃんの言葉にみんなの顔がこっちを向いて、目線はちょっとした私の胸にロックオンされてる。
「な、なに?」
私は胸を腕で隠す。
「確かに……」
「あの、隠すと見せかけて押し上げて大きさを強調するあたり……けしからんですね」
「私とどっちが大きいかしら?」
みんなの目がちょっと怖い……
「きょ、強調なんてしてないよ! ほらみんな早く着て! 蓮くんが待ってるよ!」
私はみんなの視線から逃げるように、ちょっと大きめの声を出して、自分の水着を取り出す。
私の水着はどんなのかなーー…………え?
「れ、蓮くん……これは一体どういう……」
スポーツバッグの中の残り一着の私の水着はみんなと同じビキニではなくて、真ん中に黒いペンで『かれん』ってひらがなで書かれたスクール水着だった。
な、な、なんで私だけ?! 蓮くん! 今日の私に対する扱いがひどいよ!!!
ハルちゃんとかピィナでさえスカート水着なのに!!
「カレン様ー、先に行ってますねー!」
「あ、うん、いってらっしゃい」
ど、どうしよう……もう水着ないよね?
さっき着てた服はびちょ濡れだし……ていうか、私着替えないじゃん!!
「うぅ……そんなに、私ダラダラしてた……?」
はぁ……しょうがない、恥ずかしいけど我慢して着よう……
私は覚悟を決めて、スクール水着を着る。
ピッタリと張り付いて、体の凹凸がくっきりでて恥ずかしい……
私は腕で体を隠すようにして、ちょっとモジモジしながら更衣室を出た。
外では、お鶴さん特製、水を弾く特殊繊維ボールや浮き輪を蓮くんが膨らましていて、ミーナとルカとマールちゃんは日焼け止めを塗りあってて、ちみっ子たちはプールで遊んで、クルアは日傘をさしてその光景を眺めてた。
「れ、蓮くん! なんで私だけスクール水着なの!!」
私は蓮くんに文句のひとつでも言ってやろうと声をかける。
「おー、華憐、いいじゃんスクール水着、似合ってるよ!!」
「そうじゃなくて!! 私もビキニがよかった!!」
「えーー、今日は我慢してよー、ていうか、泳ぎを教えるんだからスクール水着に決まってるじゃん!」
え? 私に泳ぎを教えてくれる……? だからスクール水着か、わからなくもないけど……
「でも、高校生にもなってひらがなで『かれん』はいくらなんでも恥ずかしいよ!!」
そう! これだけは納得できません!!
「はいはい、つべこべ言わない! 日焼け止め塗っときな、準備運動したらまずは顔を水につけるところからやろっか」
むぅぅぅぅ!! この屈辱いつか晴らしてやるんだから!! ていうか!!
「水に顔を付けるくらいできるもんっ!!!」
私はぷいっと蓮くんから顔を逸らして、日焼け止めを塗りに行った。




