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81話 慰めと帰還

 


「うぅ……ぐずっ……」


 蓮くんのすすり泣く声が地下室にこだましている。


 いまさっき何が起きたのかまだ理解が追いついてなかった。


 蓮くんの神気がいつもの赤金色のオーラから赤黒いオーラに変わって、髪の色も紫にかわってまるで別人のようだった。


 そらから、その蓮くんが魔法を使ったと思ったら、デモゴルゴンが消えていた。


「蓮くん……」


 たぶん、相当なにか大変なことがあったんだろう、上を向いてしくしくと泣いてる。


「ま、マールちゃん」


「は、はい」


「今、一瞬だけ魔王が生まれなかった?」


「え、えーーと、私達は何も見てなかったことに……れ、レンさんは命の恩人ですし……」


「そ、そうね……うん、そうだわ」


 クロウさんとマールちゃんがなんか、魔王とかなんとか言ってるけど、魔王なんて生まれてたのかな? そんな感じ全くしないんだけど……


 とりあえず蓮くんを何とかしなきゃ!


 私は蓮くんに近づいて笑顔を向けて、肩を叩く。


「蓮くん、お疲れ様。さぁ、家に帰ろう?」


 泣いている蓮くんの頭を撫でてから肩を組んで立ち上がらせる、反対側をクルアが支えてくれた。


「ぐずっ……だい、じょうぶ……自分で歩ける……」


 そう言って、とぼとぼ出口から反対の方に向かう蓮くん。


 私とクルアは顔を見合わせて、苦笑い。


「レン、そっちは出口じゃないわよ」


 クルアが言うと、ピタッと足を止めて、顔を俯かせながら蓮くんが戻ってきて、私の服の裾を掴んだ。


 案内してくれってことらしい。


 今日はちょっと女々しい蓮くんが見れるかも。


 まったく、ここに来る時はあんなに派手に壊してきたのに……


 私とクルアはすすり泣く蓮くんを慰めながら、城の出口に向かって歩き出した。




 ………………………………………………………………





「逃げろー! 逃げろー! 食われるぞー!!」


「な、なんなんだあのニワトリは!!」


「足を止めるな!! 空中から狙われる!!」


 門から外に出ると、デモゴルゴンの部下の悪魔たちが逃げ回っていた。


「おそいおそいよー!!」


「なんだ?! あれ!!」


「ニワトリ??」


「それにしては大きいですね……」


 天使族の三人組や他の助けた人たちもかなりビックリしてる。まぁ、それはそうだよね……


 ピィナは逃げる悪魔を、まるで鷹が空から動物をハンティングするがごとく、噛み付いたり、蹴り飛ばしたりしている、ニワトリなのに……


「あ! カレンお姉ちゃん!! おなかすいた! あの逃げ回るやつ食べてみたけど不味くて」


 ピィナが私たちに気づいて近くにおりてきた。


 え?! ピィナ、悪魔食べたの?!


「ピィナ!! 今すぐペッして!! ペッ!!」


「えー、むりだよー、もう飲み込んじゃったし! それより、レンお兄ちゃんどうしたの? あと人いっぱい増えたねー」


 蓮くんは今、クルアとオリアさんがよいしょよいしょで褒めちぎってる、なんとかメンタルを復活して貰わないと……


「大丈夫だよ、ちょっと敵が強くて苦戦しちゃったみたい、だけどちゃんと倒して来たから!」


「そっかー!」


 蓮くんのことはさっきみんなで話して、見たことはなかったことにしようということになった、あのSMプレイのこととか、みんなにはいつもどうり勝てたことだけを伝えることを決めた、蓮くんの名誉のために!


 それより、人数増えちゃったけどどうしよう、ピィナに全員乗れるかな?


「ピィナ、ここの人達は全員乗せられる?」


「んーーーー、」


 ピィナが上品に翼を顎あたりにつけて首を傾げる、ほんとうにニワトリなのかな? すごいね幻獣種。


「おっきくなったら大丈夫だよ!!」


「え?」


 ピィナはそう言うと、ボンっと煙を出して2倍くらいの大きさになった。


「なっ、なっ……」


 もう、ピィナは訳分からない! どういう原理なの?!


「すーーーはーーーすーーーはーーー……よしっ!」


 私は深呼吸して、心を落ち着かせてからみんなの方を向く。


「じゃあ、みなさん!! この子に乗って帰りましょう!!」


 みんなはまだ驚きから立ち直ってなくて、顎が外れそうだったけど、恐る恐るピィナに乗り始めた。


「このニワトリはいったいどこまでぶっ壊れればいいのかしら」


 みんなが登ってるのを見守ってるとクルアが来た。


「蓮くんは大丈夫??」


「会話できるくらいにはなったわ、ピィナに乗せちゃうわね」


 そう言って、蓮くんをおぶって空中を飛んでピィナに乗るクルア。私も空飛びたいな〜って思いながらピィナに乗った。


「よし! みんな乗ったね! ピィナ、向こうの方に真

 っ直ぐお願い!」


「わかったー!」


 ピィナが翼を広げてバッサバッサと飛び始める。


 向こうの方にって言ったのは私が方角が分からないからじゃなくて、ピィナが絶対ゲートの場所を覚えてないと思ったからだからね!


「蓮くん、大丈夫??」


 蓮くんはまだ復活してないみたいで、端っこの方で体育座りしていた。


「華憐……僕はもう、結婚できないかもしれない……」


 わぁー、ネガティブ蓮くんだ、いつものふざけてる感じが全くない……


「大丈夫だよ! ほらミーナとかなら絶対気にしないよ!」


 蓮くんは首を横にプルプル振る。


「僕の身体は汚されたんだ、こんな身体誰も貰ってくれないよ……」


 はぁー、まったく、らしくないなー、しょうがない慰めてあげよう!


 私は蓮くんの隣に正座して、パンパンと太ももを叩く。


「はい、蓮くん、膝枕してあげる、おいで?」


「いいよ、僕の穢れた身体なんかに触ったら華憐も穢れちゃう……」


「まったく、慰めてあげるって言ってるんだから素直にこっちきなさいなっ」


「おわっ?!」


 私は蓮くんの頭をちょっと強引に自分の太ももの上に乗せて、撫でてあげる。


 男の子を膝枕するなんて弟以外初めてだからなんだか気恥しいな……


 蓮くんは抵抗する気力もないのかされるがままになってる。


「大丈夫、蓮くんの身体は穢れてなんかないよ」


「いやいや、あの触手に身体の至る所をまさぐられたし」


「大丈夫だって、ミーナとかクルアならどんなに汚れた蓮くんでも貰ってくれるよ、それにゆいりさんだってきっとどんな蓮くんでも受け入れてくれるって」


「ううぅ、やっぱり汚されたんだ、もうお婿に行けない……」


「だから、大丈夫だって! もし、ミーナもクルアもゆいりさんからも拒否されたら、私が貰ってあげるから!」


「え?」


「あっ……」


 あれ? 私今、貰ってあげるとか恥ずかしいこと言わなかった?!


「貰ってくれるの?」


 蓮くんがちょっと真面目な目をしてじーっと私のことを見つめてくる。


「も、もしそのとき私に好きな人がいなくて、本当に誰も貰ってくれなかったらだからねっ!」


 私は顔が熱くなるのを感じてちょっと恥ずかしくなって顔を逸らして両手で蓮くんの目を覆って見れないようにする。


「あはは、恥ずかしがるんだったら言わなきゃいいのに」


「うるさいなぁ、蓮くんを慰めるための言葉のあやだよ!」


 蓮くんのほっぺをムニムニして言う。


「いたいいたい! でも、発言には責任を取るべきだと思うなー、だから本当に誰も貰ってくれなかったら華憐が僕を貰ってね! よっ! と」


「あ……」


 蓮くんが掛け声をかけて立ち上がる。


 なんだか蓮くんの温もりが離れてくのが名残惜しくてつい、手を伸ばしそうになった。


「華憐、ありがとう、もう大丈夫!」


 そう言って、蓮くんはクルアたちが話してるところに向かった。


 たぶん、お礼と謝りに行ったんだろう。


「もう少し、慰められてればよかったのに……」


 こんなことを思う私はミーナたちに言われる通り蓮くんのこと好きなのかな?


 わかんないよ、もしそうだったら初恋だもん、誰だって初めては分からないでしょ。


 この気持ちを整理するのはもう少し時間がかかるかも。


 そんなこと思ってるとピィナが到着を知らせてくれて、無事ゲートまで戻ってきた。


 ゲートをくぐると、向こう側はもう夜中で、天使族達の魔法でゲートを破壊したあと、みんなを連れて家に帰った。


 家に帰ると、真っ先にミーナが飛んできて蓮くんに抱きついていた。ね? 大丈夫って言ったでしょ。


 それから囚われていた人たちと天使族の人達の部屋をルンに頼んで、服をお鶴さんたちに頼んで、助けた人達が私たちの生活水準と高技術の我が家に驚いて、その日はもう夜中だったから詳しいことはまた明日。


 お風呂に入って寝ました。


 やっぱり今日は、私の『超電磁砲(レールガン)』が1番かな!










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