79話 華憐サイド
私たちは蓮くんと別れて、部下三人の天使族を助けに地下牢獄に向かってる。
「お姉ちゃん! お姉ちゃん!!」
マールちゃんのお姉さんは気を失っていてオリアさんが抱えて運んでます。マールちゃんがお姉さんのことを呼んでるが目を覚まさましてくれない。
「侵入者だぁー!! とっ捕まえて犯せー!!」
後ろからは敵の悪魔が追いかけてくる。
「『氷の槍』!」
それをクルアが魔法で攻撃する。
だけど、敵の数が多すぎてキリがない!
「こなすちゃん、来て! 『遅動』!!」
「モォーー!」
「なんであいつらあんなに早いんだ!」
「くっそ、追いつかねぇー!」
私は精霊牛のこなすちゃんを召喚してスキルを発動、敵の悪魔の足を遅くして時間を稼ぐ。
「カレン、地下牢はまだなの?!」
「もう少し! あそこを左に曲がったらすぐ!!」
私が言ったところを左に曲がると、地下牢の扉が見えてきた。
その前には扉を守る悪魔が一人
「侵入者か、ここを通りたかったら俺を倒していくんだな、俺は『侯爵』の悪魔、グルデンだ!」
侯爵って言うと上から3番目の悪魔階位、けっこう上なはず。
でも、残念相手が悪い、こっちは先祖返りの吸血鬼に竜人族のハーフ、鬼人族に天使族、そんじゃそこらの公爵くらいじゃ足止めにもならないよ!
「はぁ!」
グルデンが手に持つ斧を地面に叩きつけると地面を伝って斬撃が飛んでくる。
「おいで、きゅうちゃん! オリアさん!」
「ヒヒィーン!」
私はきゅうちゃんをよんでオリアさんからマールちゃんのお姉さんを受け取って横に避ける。
みんなも横に避けてた。
私は戦闘は不得意だから積極的には参加しない。
「はっ!」
サイカがグルデンに向かって高速に槍を振るう。
グルデンは斧で器用に捌いてた、なかなか強い。
けど、
「『ライトニングセイバー』!!」
「『魔術二重奏:魔力砲撃』!!」
マールちゃんとクルアの魔法がグルデンを襲う。
「ぐぅぅぅぅ!!」
これでもグルデンは斧を盾に耐える、なかなか頑丈なやつ!!
グルデンが斧で耐えている間にオリアさんはいつの間にかグルデンの後ろにいた。
そのままグルデンの大きな体に抱きついて……
「はあああぁぁぁーー!」
気合いの大声をあげてジャーマン・スープレックスホールドを決める。あの後ろから抱えて地面に叩きつけるやつ。
え、オリアさん、まさかのプロレスラー?! 衝撃の事実なんだけど……こんどキン肉バスターやってもらお。
グルデンは頭から地面に激突した。
「これで倒れたかしら?」
「ええ、決まりましたから」
「クルア、オリアさん! それはフラグだよ!!」
「「はい?」」
「ウオオオオオオオオ!!!」
その時地面に突き刺さってたグルデンが起き上がった。ほら、言わんこっちゃない!!
ここは、蓮くんに封印されし私の魔法を使うしかないね!
私はポケットから獣人族から貰った一枚のコインを取り出す。
「みんな、離れて!!」
「カレン?! あなた魔法は禁止じゃ……」
やだよ! みんなが戦ってて私も血が湧いてきちゃったから!
「いくよーー!」
私はコインを親指に乗せてグルデンに向ける、身体の中の魔力を電気に変えてキンっとコインを空中に飛ばし、落ちてきたコインを弾く
「『超電磁砲』!!」
きゃーーー!! これ超やってみたかったんだよ!! 毎日毎日コインを弾く練習しててよかった!!
魔力制御ができない私はいつも全力全開で魔法を使う、結果グルデンは焦げて消滅、後ろの扉も貫通してその奥の地下牢まで半壊。
「な、なんて威力なんですか……」
「カレン、相変わらず規格外の魔力量ね」
「よし! 進もう!」
私は上機嫌できゅうちゃんに乗って進む。
地下牢はとても大きくて、何個も牢屋があった。
中にいる人は女性ばっかりでみんなボロ布みたいな服とも言えないものを着て、ボロボロだ。
「ついでに、みんなも出してあげよう!」
「そうね、まったく趣味が悪いわね」
女性は、人間族、獣人族、エルフと多種多様の人種がいる。
「クロウさん! コロネさん! マリアさん!」
マールちゃんが牢屋の一番奥で部下三人の天使族の人たちを見つけたみたい。
「マールちゃん?! どうしてここに……」
「助けに来ました! 今開けますから待ってください! 『ライトニングセイバー』! 」
マールちゃんが魔法で牢屋を壊す。
「マールちゃんっ!」
「マールっ!」
「ああっ、よく無事で……」
三人の天使たちはマールちゃんに抱きついて涙を流す。
「レンさんとカレンさんに助けて貰ったんです、お姉ちゃんも助けたんですが……」
「あっ! そうだ、ルカ様は?!」
「その、お姉ちゃんは……」
マールちゃんがマールちゃんのお姉さん、ルカさん? を抱える私に目を向ける。
どうしよう、ルカさん気を失ってて反応できないんだけど……私が変わりに手を振っておいた方がいいかな?
「ルカ様……」
「まさか、堕天……?」
「そんなっ……」
三人の天使たちはみんな悲痛そうな顔を浮かべる。
え?! これそんなにまずい状態なの?! 息は一応安定してるし心臓もしっかり動いてるけど……
「カレン様、牢屋に囚われていたもの全員救出できました」
「怪我してた人達はちゃんと癒したわ」
私が困惑してるとクルアとサイカとオリアさんが来た、その後ろには囚われていた人たちもいる。
「ありがとう」
私は3人にお礼を言って、囚われていた人達に視線を向ける、大きく息を吸って、
「みなさん!! ここから脱出します!! 地上への行き方は私がわかるので着いてきてください!」
私がそう声をかけると、囚われていた人達は口々に喜び、涙を流して抱き合っていたりした、相当酷いことをされてきたんだと思う。
「三人は戦えますか?」
私は部下三人の天使族の人達に声をかける。
「もちろん!」
「ええ」
「任せて!」
「じゃあ、囚われていた人達の護衛をお願いします」
それから、仲間たちの配置を決めて、陣形を組んで蓮くんのところに戻ろうとした時
「あ、あの私達も一緒に行っていいんですか……?」
と、背中から黒い翼を生やした悪魔の女の子たちが恐る恐る話しかけてきた。
「もちろん!」
「でも、私達は悪魔族です……」
「そんなの関係ないよ、大丈夫だから着いておいで」
「はい、はいっ! ありがとうございます……」
私達は私が先頭で蓮くんのところに戻り始める。
小さな子供や、足の遅い人は巨大化したきゅうちゃんに乗せて運ぶ、途中襲ってきた悪魔は部下三人の天使族の人達が魔法で倒してくれる。
そうしてぞろぞろとやっとこさ、蓮くんと別れた地下室に繋がる階段に差し掛かった時、蓮くんの声が聞こえた。
「はぁん……あ…あ…ひぁっ!」←※蓮です。
え? なんかおかしくない? 喘いでるよね?
「ほらほらほらー、ここがええんか?! ここがええんやろ?!」
それからなんかエロオヤジみたいな声も聞こえてきた。
「カレン、なんかレンの様子おかしくないかしら?」
「やっぱり? 私もそう思ったよ、クルア変な予感するから超冷たい氷水用意しといて」
「わかったわ」
私達は最後の階段を登りきった。
そして、視界に入ってきたのは
「おら! もっと声出せよ! 欲しいんだろ?! これがよぉ!」
「んっ!……はぁんっ……やめっ……」←※蓮です。
鞭をブンブン振り回すデモゴルゴンと、デモゴルゴンの触手に絡みつかれて上半身裸でベチョベチョで背中とかお尻をビシバシ鞭で叩かれて恍惚の表情を浮かべて体をビクビクさせる蓮くんのSMプレイだった。
「蓮くん……何やってるの?」
自分でもびっくりするくらいの底冷えた声が出た。




