75話 プール計画
ドワーフたちが来てから数日がたった。
ドワーフたちが来た日の晩に大食堂でみんなにドワーフを紹介、種族代表はジダンさんとして仲間に入った。
ザリュさんやエルフの主に大人たちはお酒が作られると知って喜んでた、みんなお酒飲みたかったなら言ってくれればよかったのに。
歓迎会の料理は今までの料理とは違いついに鶏肉を使った料理も出してみた。
うん、やっぱりお肉は最高だ! みんなも美味しい美味しいと食べてくれて作ったかいがあった。
最近気づいたけどオリアの才能は料理の才能だった。
僕の料理を食べて、なんの調味料を使っているのかとか使った材料は何かとかを当てたり、僕の料理にあと何かを加えたら良くなるかを指摘してくれたりしてくれる。
オリアの作った料理と僕の作った料理を比べるとオリアの作ったやつの方が美味しかった。
だから、シロ様と同じでその分野の天才だったんだろう…………悔しい!
もうずっとハルに料理を手伝ってもらってたおかげでハルは結構料理を覚えてきた。
最近はよくオリアと台所に立っているのを見る。
華憐の『命名』で擬人化した者たちは基本的にみんな頭がいい……………………一人を除いて。
その一人とは言わずもがなピィナである。
あの鶏、口を開けば7割はお腹すいたしか言わない。
そして超超超大食い、ドワーフの歓迎会の時だってドワーフ以上に食べてた。
というか、今思ったけどピィナが鶏肉食べたら共食いならないのかな? 一応人間の姿だけど鶏のはず……考えなかったことにしよう!
次に朝、鳴き声がうるさい! 朝の4時くらいになると「コッケコッコーーーーーー!!」ってなーがい鳴き声がする。
まぁ、これに関しては目覚まし時計になってる人もいるからよしとしよう。
ただ、これだけは本当になんとかして欲しい。
ピィナ、体は人間でも元は鶏だからか3歩歩くと忘れる。
少し前、キッチンでヨダレ垂らして暇そうにしてたから華憐を呼びに行って貰おうとした。
指示を出すと、元気よく歩いていって3歩すると誰を呼びに行くのか忘れた。また3歩歩くと、なんで呼びに行くのかを忘れ、また3歩歩くと呼びに行くこと自体を忘れ、また3歩歩くとなんで歩いているのかを忘れて、結局またキッチンでヨダレを垂らしてた。
本当に馬鹿だ、アホじゃない馬鹿だ!
でも、歩かなければ忘れないらしく鶏状態で飛行してる時は忘れないみたい。
まぁ、それでも少しずつゆっくりだけど忘れる歩数が伸びてるから学習能力はあるみたい。根気強く行こう! うん!
最近は外に出て空を見ると鶏が飛んでてかなりシュールだ………想像してみたまえ、空を飛ぶ鶏を。
スマートフォンを見ると日付はもう8月、日本では夏休みだ。
気温もどんどん暑くなってきて、毎日華憐が伸びてる。
そんな華憐のためにプールを作ろうと思う! 夏らしいことしないとね、ついでに泳ぎを覚えてもらいたい。
コロッケに橋から突き落とされて泳げなくて僕が助けに行くのそろそろちょっとめんどくさい。
まぁ、滝の下の湖でもいいんだけどそこは風情だ!
ということでプールを作るため、場所を決める。
一緒にいるのはミーナとクルアとハルとかコロッケとかちみっこたちに無理やり連れてきた華憐とピィナそれに珍しくサイカもいる。
みんな夏で暑いからか薄いワンピースに麦わら帽子を被ってる。いいね、夏の美少女って感じ! オリアだけはメイド服だけど。
「さて、どんなプールを作るかなー」
「レン様、プールとはなんですか?」
「ありゃ? 教えてなかったっけ、えーとね、こんなのだよ」
僕はスマホの写真からプールに行った時のをミーナに見せる。
懐かしいなー、ゆいりとスライダーめっちゃ乗ったな。
「む、レン様、このレン様と一緒に写ってる方は誰ですか?」
「え、そこに食いつくの? まぁ、そのうちねー、でどういうプール作る?」
「はぐらかしましたね! まぁ、今はいいでしょう」
「ねぇ、蓮くん、私プール苦手なんだけど……泳げないし」
「とりあえず50mプールは作ろう、華憐を泳がせるために」
「ふぇぇぇぇぇーー」
なんか頭抱えてうずくまってるけど無視無視。昔プールでなんかあったのかな?
「じゃあ、まずはその50mプールとやらから作りましょう」
「そうだな、空から計測するかー、そっちの方が楽だし」
作る場所は最初から決めてある。
巨木な我が家からはだいぶ離れたところ作ることにする。
たぶん、結構大きくなるし、夏の終わりにプールからやりたいことがあるしね。
僕は空を飛ぶ鶏に乗って空を飛んで印をつける。どうしよう、そのうちチキンライダーとか呼ばれ始めたら……なんか弱そうだしダサいな、気おつけよ。
まずは適当な場所に『炎の槍』の魔法で地面を焦がして印をつける。
それから直線にだいたい横30m×縦50mのところに同じく魔法で印をつける、そのまま点と点を『太陽光線』の魔法で結んで印完了!
「ピィナ、終わったからみんなのところに戻ってー」
「わかったー!」
みんなのところに戻ると華憐がまだうずくまってた。お豆腐メンタルかよー。
次は邪魔な木を切るか。
「じゃあ、印付けてきたからそれを目印にここら辺一帯の木を切るよー」
「「「「「えーーーーー」」」」」
えーーーって、みんな不満かよー、まぁ結構広いしね。
「いいかー? 一番木を切った人には今日の夜ご飯のデザートを一個増やしてやろう」
「「「「「よし! やるぞーーー!!」」」」」
うわー、チョロい! それに現金なヤツらだなーまったく。
それからみんなで木こり大会が始まった。
一番凄かったのはピィナで、あの空飛ぶ鶏は空から大きな翼を広げて木に激突して切るというよりなぎ倒してた。
次はクルアで、なんかウ〇トラマン〇ブンの技のアイ・〇ラッガーみたいな感じに風の刃を飛ばしてスパスパ切りまくってた、魔法はずるいなー。
コロッケとハルはなんか張り手でなぎ倒してたけど、あとのみんなはだいたい同じくらいかな。
残り三分の一くらいかなーってところで事件が起きた。
「レーーーーン! 人が倒れてるぅーー!!!」
ハルが走って人が倒れてることを伝えに来た。
「こっちきてぇー!」
僕はハルに連れられて現場に行く。
現場には人が集まっていた。
「ピッピー、ピッピー! 警察です、空けてください、空けてー!」
僕が人集りの中心に行くと華憐とオリアが倒れてる子を介抱している。
「あ、蓮くん」
「どうしたんだ? その子は………羽?」
倒れてる女の子は中学生くらいの翡翠色の髪色のロングヘアで背中に羽が生えている。
「天使族よ」
「天使族?」
「蓮くん天使族は……」
華憐の話によると、天使族はむかしむかし、人間のふりをして下界に降りてきていた女神様と人間族の男が恋に落ちて産まれた種族らしい、女神様が天界に帰らなければならないその時まで愛されていた事から女神に愛された種族とかいわれている。
最初の天使族は女神と人間のハーフなためかなり神気を使えたみたいだが時が経ち天使族も増えて血と一緒に神気は薄まり、今では神気はほとんど使えない、少し感じることが出来るくらいらしい。
それでも中には神気を使える天使族もいるし、一応種族全員が神気をほんのすこーーーーーーしだけ持ってるみたい。
今の天使族は主に人間族に解決できない事件を解決したりして共存し天使族の国があるみたい。
「その天使族の少女がどうしてこんなところで倒れてるんだ?」
「それは起こして聞いてみましょう……『目覚め』」
「お……ねえちゃん…………………お姉ちゃん!!」
クルアが魔法を使うと少女がゆっくりと目を開けて起きた。
てか、目覚めさせる魔法とかあるのかやっぱり便利だなー、僕ももっと極めよう魔法。
「起きた? 大丈夫??」
華憐がすかさず安否を確認する。
「ここで何があったの?」
「お願い! 助けて!! お姉ちゃんが!! お願い!!」
話を聞こうにも少女はパニックになってるのか要領を得ない、とりあえず落ち着かせよう。
「落ち着いて! 深呼吸だ! すってーーーはいてーーーすってーーーはいてーーー」
「すーーーすーーーすーーーすーーー」
え?! 吸ってる吸ってる全部吸ってるよ!!
「すみません、落ち着きました」
え?! 吸った空気どこいったの?! はいてないよね?!
「お願いします、どうか私のお姉ちゃんを助けてください!」
僕達は少女の話を聞くことにした。




