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72話 ひよこ

 


 あ〜〜〜〜〜〜つ〜〜〜〜〜〜い〜〜〜〜〜〜


 私は今ベットに伸びてる。


「きゅうちゃん、風ちょうだい」


「ブルルル」


「ありがと〜」


 最近、暑くなってきた。


 まぁ、暦の上ではもう夏だもんね、日本では夏休みが始まったところかな?


 私は暑いのが超超超苦手。


 だって私、最近はあんまり目立たないけどアニメオタクだよ?


 夏の暑い日なんて、コミックマーケットの日以外冷房の効いた涼しぃーーい部屋でゴロゴロ、ポテチ片手にアニメ見たり、漫画読んだり、ラノベ読んだりゲームしたりしてたに決まってるじゃん!


 7月末でこの気温なら8月の夏真っ只中だとどれくらい暑いんだろ?


 これ以上は必ず暑くなるよね、あーもういや、溶けちゃうよ。


「華憐ー、鶏舎見に行くよー」


 外から蓮くんの声がする。


 えー、いやだー、動きたくない。


「開けるぞー、ほら華憐、行くぞー!」


「やだー、蓮くん行ってきて、私の足はもう溶けちゃったよ」


「そんなこと言ってると強制連行するぞー」


「できるものならやってみな! 私の意志は固いよ!」


 私はベットにがっしりと掴まる。


「ほう、いいだろう、こうなることは想定済み……『早着替え(イリュージョン)』!」


 蓮くんの服装が一瞬で変わった。


 また変な魔法作ってるなぁ。


 蓮くんはいつもの背中にれんTシャツから青基調の服装になり赤い野球帽を被った。ん? あれはサ〇シ?


「クルア! 君に決めた!」


 あ、やっぱりサ〇シだ。


「はいはい、全く付き合わされるこっちの身にもなって欲しいわ」


 クルアがでてきた。


 なんか、パントマイムやってるけどなんで? あっ! バリ〇ードの真似か! 蓮くんに仕込まれたね。


 しかも、うまい! 本当に壁があるみたい!!


 でも甘いよクルア! バリ〇ードはバリバリって鳴くんだよ! まだまだだね!


「クルア! サイコキネシスだ!!」


 え?


「『念動力(サイコキネシス)』」


 あっ、まって! 体が勝手に動くんだけど!!


「わぁーーー! 蓮くんずるいよ!!」


「はっはっはー! さぁ、強制連行させてもらうぞ!」


「やだぁーー!! 私外出ちゃダメなの! 陽の光を浴びると溶けちゃうの!!」


「カレン、吸血鬼でもないのに何言ってるのよ」


 ううううぅぅぅーー、体が言うこと聞かないよう!


 それでも私は最後まで抵抗の意志を訴え続けたがそれに反して体は勝手に動き、無理矢理鶏舎まで連れてかれた。




 ………………………………………………………………




「クルア、もう解除していいよー」


「わかったわ」


 あぁーー、やっと体が自由に動く。


 ここまで喚いて外に出たくないことを訴えてたけどもう抵抗する気もないや。


「蓮くんなんでそんなに暑いの大丈夫なの? 蓮くんもオタク側の人間じゃなかった?」


「ん? いやまぁ、確かに本は沢山呼んでたけど、僕陸上部だったし、暑いのには耐性あるよ?」


 あっ! そうだった、蓮くん結構アニメの知識あるからオタクだと感じるけど普通に部活で活躍して学校では結構人気のリア充男子だった!


「裏切り者ぉーー!!!」


「ええ?! なんで?!」


 当分蓮くんと口を聞くのをやめよう! うん! オタクの裏切りは重いよ!


 鶏舎からは鶏がコッココッコ鳴いてるのが聞こえてくる。


 リザードマン達が連れてきてくれた鶏たちで増やすことを目標にしてるけどそろそろ増えたか見に来た。


「レン様、カレン様、鶏は順調に増えてますよ! どうぞ入ってください」


 鶏舎を担当してるリザードマンの人が鶏舎から出てきて中に誘われた。


 蓮くんたちと一緒に鶏舎の中に入る。


「レン様、たくさん増えましたね!」


「そろそろ鶏肉も食べられるかなー?」


 ミーナと蓮くんがそう言うくらいには増えてた。


 20匹くらいだった鶏は40匹くらいの倍になってた。


 うーーん、声聞いちゃうとなんか食べにくいなぁー、『言語』の能力はシャットダウンしておこう。


 最近使ってなかったけど私は『言語』の能力で様々な生物と意思疎通ができる。


 もちろん鶏も、だから普通に話してるの聞くと食べる時になったらなんか抵抗あるじゃん?


「レン様の鶏肉料理、楽しみですなぁー……あっ、ひよこも見て見ます?」


 え?! ひよこっ?!


「見る見る! 見ます!」


「あ! 華憐、ひよこ見るのはいいけど勝手に名前付けたらダメだぞー」


「分かってるよ!」


 私が『命名』すると擬人化したり精霊化したり何が起きるかわからないからね!


 私たちは奥にあるひよこのいる所にやってきた。


「ピィーピィー」


 うん、黄色くてちっちゃくて可愛い!


「触ってもいいですか?」


「どうぞ、カレン様、皆様も」


 やった! お触りの許可が貰えた!!


「わぁー、レン様可愛いです!」


「そうだなー、昔動物園でふれあったなー、あっ! こいつウンコシヤガッタ……」


「レン、汚いわよ、『洗浄(ウォッシュ)』」


「え? そんな全身?! ゴボボボボ……」


 ミーナははしゃいでて、蓮くんはフンをされたみたい、それをクルアが全身くまなく洗ってる。


 私も一匹のひよこを触ってみる。


「ピィーピィー」


「可愛いなぁ、お話してみよ」


 私は『言語』の能力を使用する。


「ピィーピィー」


「うん、ちょっと待ってね」


 私は鶏舎担当してるリザードマンの所に行く。


 さっきの子がなに話してるのか聞くと「お腹空いたお腹空いた」って言ってたからご飯貰いに行こうと思った。


 リザードマンの人から餌を貰ってさっきの子にあげる。


「ピィーピィー」


「はい、どーぞー」


 ひよこはパクパクと餌を食べる。


 可愛いなぁ……名前付けたらダメかなー?


 私は蓮くんをちらりと見る。


 蓮くんはひよこと戯れてこっちを見てない。


 バレなければいいかな? いいよね! そう! 全てはバレなければ合法!!


 こんなちっちゃいんだから、擬人化しても精霊化してもきっと、ちっちゃいよね!


 私はひよこに口を近づけて蓮くんにバレないように小さな声で『命名』する。


「あなたは今日から『ピィナ』ちゃんね」


 それからみんなでひよこと戯れて遊んで、家に戻る時にこっそりピィナちゃんを服の中に隠して連れてきた。









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