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70話 思い出の写真

 


 ルン裁判長に有罪判決を受けたその日の夜。


 僕は、ベットに寝っ転がってミーナにキスされた時のことを思い出してた。


「はぁー、本当に最低だ」


 僕はミーナにキスされた。


 だけど、その時思い出したのはやっぱり元カノ、ゆいりのこと、クルアの時もそうだった。


 僕のファーストキスはゆいりだから、今もその時のことを鮮明に脳が、唇が覚えてる。


 ゆいりの唇の柔らかさとか、温かさとか、味とか。


 ミーナにキスされた時、その事を思い出して、ミーナとゆいりを重ねちゃって、だからミーナにとても申し訳ない。


「はぁ」


 もう何度目かもわからないため息がでた。


 僕はなんとなく電池が残り少ないスマートフォンをとって電源を入れる。


「わぁお、やっぱりもう充電ないな、まぁいっか」


 僕は写真のアプリを開く。


 スワイプして、何年か前の写真を適当にタッチ。


 タッチした写真は僕とゆいりの自撮りツーショットで水族館に行った時の写真、チンアナゴと一緒に撮ってる。


「懐かしいなぁー」


 スライドしてどんどん写真を見ていく。


 ゆいりは写真を撮るのが好きだったから本当に沢山ある。


 遊園地の写真、ゆいりの誕生日の写真、東京で芸能人を見つけて一緒に二人で撮った写真、なんでもない日の写真、部活の時の写真、海に行った時の写真。


 二人の写真も多いけど僕がゆいりだけを写した写真もある。


 笑ってるゆいりの写真、拗ねてほっぺを膨らませてるゆいりの写真、髪の毛切りたてホヤホヤの写真。


 そういうのを見て、懐かしんだり、思い出したりするのがこの世界に来る前の日課だった。


 自分で女々しいことしてるのも自覚してるし、こんなことしてるからいつまで経ってもダメなんまんまなのも、このままじゃいけないことも分かってるけどやめられない。


 ずーーーーっとスライドしていくと高校の入学式の日、二人で入学式の看板の前でとった写真でスライド出来なくなる。


 この写真でゆいりと撮った写真は最後だからだ。


「どこ、いっちゃったのかな……」


 僕はメッセージアプリのゆいりとのトーク画面を開く。


 ゆいりからのメッセージはなく、僕からの電話やメッセージばっかりが目立つ。


 ゆいりは入学式に来て次の日、どこにもいなくなっていた。


 一緒に登校しようと家に迎えに行ったら、ゆいりのお義母さんにいないって言われ、学校に行ってもいなくて、放課後にもう一度ゆいりの家に行ったけどやっぱり居ない。


 それから僕のゆいりを探す日々が始まった。


 まずは市内、次に県内、警察にも連絡した。


 二人で行った場所や、これから行きたいねって言ってた場所にも行った。


 二人で行ったはずの場所は一人で行くと全然違った、全く楽しくなかった。


 ゆいりがどこにもいないと分かってから、毎日がすごくすごく退屈でつまらなくなった。


 学校も最初の頃は行く気になれなかったし、本当に無気力な感じで、それでもいつかまた僕の前に現れるんじゃないかと思って、なんとか普通の日常を送ることが出来た。


 僕はゆいりを探してる。


 一度死んでこの世界に来た今でも、入学式の次の日からずっと探してる。


「あぁ、逢いたいな、ゆいり……」


 たぶん、明日も僕は探すんだろう。


 こんな所にいないとわかってても、探して求めてしまう。


「もうちょっとで、電源切れちゃうな」


 バッテリー表示を見ると5%になっていた。


 僕はなんとなくメモのアプリを開く。


 そこにはゆいりと考えた高校生になったらやりたいこと、行きたいとこリストがある。


 それを見て、ここに二人で行ったらどんなことがあったのか想像してみる。


「きっと、楽しんだろうなぁー」


 下に下にスライドしてくと一つだけ知らないメモがあった。


「ん? なんだこれ、見覚えないんだけど……」


 タッチして開いてみる、そこには……



 ………………………………………………………………


 雨宮蓮へ


 久しぶり雨宮蓮、元気にやってますか?

 やつと君たちの荷物を復元することができたので送つておきますね!

 この荷物を取られないために一応最新のロボットみたいのをゴーレムとして守護につかせときました。

 祭壇に関してはこっちからそちらの世界への片道転移装置みたいなものなので気にしないでください。

 このスマホ? に関してですが原理とか色々ちんぷんかんぷんすぎてわからなかつたので復元が完璧ではないです。

 それでも神気対応にしましたし、電話とカメラくらいなら私でもわかつたので是非活用してください!

 やっぱり最近のものは分かりにくいですね、この文書くのに4時間かかつちやいました。

 では、頑張つてくださいね!


 神より

 ………………………………………………………………


「わぁお、こんな大事なことなんでこんなメモの最後のところに……」


 神様ー! こういうことは転生する時に「あとで荷物送るからねー」とか一言言ってくれればよかったのに!


 ていうか、やっぱり神様、機械音痴だよね? 小文字使えてないもん。


「神気対応ってどゆこと? 神気で充電できるとか?」


 僕はスマートフォンに神気を流してみる。


「おお! 充電できるじゃん!!」


 それから色々アプリを開いてみるけど、WiFiが入ってないからかゲームはアウト、動画アプリもアウト、電話やメッセージはデータが抹消されていた。


 そりゃそうか、死んだ人から電話かかってきたらホラーだもんねー。


「本当にカメラと写真とかだけか、でも、電話はできるって書いてなかったかな? 電波ないけど使えるのか?」


 んー、わからないことが多いけど、これはもう今日は夜遅いし明日華憐と話し合いだなー


 僕は他になにか使えることがないか一晩中スマホをいじってた。





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