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7話 朝の騒動 2

 


 ◇◇カレンside◇◇




「……がうぅぅ」


 私はコロッケの寝言で目を覚ましました。


 昨晩は蓮くんがかまくらのなかに葉っぱを敷き詰めといてくれたおかげで身体があんまり痛くなく起きることが出来ました。


「うーーん……」


 かまくらから出てみるとまだ朝日が少し顔を覗かせたくらい、周りはまだ薄暗いです。


「すーすー……」


 蓮くんは気持ちよさそうな寝息を立てて寝てます、まったく外で雑魚寝なんて風邪でもひいたらどうするんですか! かまくらのなかに入ってきてくれればよかったのに……。


「すごい……」


 蓮くんの周りには、昨日の夜蓮くんが作ったんだろうコップとか茶碗とかが沢山置かれてます、どれもとってもキレイで上手いです。


「がるがる」


「おはよう、みんなしーーっだよ、蓮くんまだ寝てるからね」


 コロッケたちが起きてきたので、口元に指を当ててしーーってしました。この仕草を昔隣の席の男の子にやったら真っ赤に俯いてたんですよねー、なんで?


「みんな、川に行こ! 朝ごはんと私は水浴び」


「がるがる!」


 私は水浴びしたくなったので川に行くことにしました。その前に、


「風邪ひくから今度からはちゃんと入ってきてくださいね。夜と早朝は肌寒いんですから」


 まだ寝ている蓮くんに私のブレザーをかけてあげます。


 川に見えてくると、コロッケたちは我先にと走り出します。まだ子グマだからコロコロしてて可愛い。


「コロッケたち、ちょっと待ってー」


 私も、コロッケたちを追いかけて川淵にやってくる。そういえば、昨日は蓮くんとエンカウントハプニングが起きて結局身体を洗えませんでしたね。


「うぅ……思い出したら恥ずかしくなってきた」


 ピチピチ……ブルンブルン……


 忘れましょう忘れましょう! 私はフルフルと頭を振って昨日のシーンを頭の中から消去します。


「コロッケたち、あんまり遠くに行っちゃダメだからね!」


「「「がうがう!」」」


 三匹は川の中に入って、水を飲んだり、気持ちようさそうに水を浴びたりする。クマって水中好きなのかな?


 私も身体を綺麗にするために制服を脱ぎます。下着姿になってふと、思う、「誰かに見られたりするかな?」って、けれどこんな森ですもんね、誰かが見てるとは思いませんね。


「ん〜〜! きもち〜〜!」


 ゆっくりと川の中に入ると、冷たい水がひんやりとしていて気持ちいいです。シャンプーとか、石鹸がないのは残念ですけど、あまり贅沢は出来ないですしね。作り方は分かるので材料を探してみましょうか。


 そんなことを思いながら身体を拭いていると、コロッケたちが水面をじーーっと睨みつけてることに気づきました。


「コロッケたち、どうしたの?」


 気になったので近づいてみると、


「がうぅぅ!」


「きゃっ!」


 コロッケがいきなり水の中に飛び込みました。顔にかかった水しぶきを拭いて、コロッケたちを見てみると、昨日蓮くんがとってきてた魚を口にくわえてます。


「おおー! コロッケたち魚とるのうまい! ん? え……わぁわぁわぁ! 食べられる魚の声聞こえちゃったよ………うぅー、夢に見そう……」


 コロッケを褒めようと思ったら、コロッケの牙に身体を刺されながら咥えられた魚が口をパクパクさせて「いい……魚生だった……」みたいなことを言ってます! さすがに今から食べられる魚の言葉がわかるのは……この能力オンオフできないのでしょうか?


 それから、私もコロッケたちにならって魚をとろうと頑張ってみますが、まぁノロマな私じゃ捕まえることなんてできる訳もなく、しかも泳げないので溺れてコロッケたちに助けてもらう始末……私がノロマなんて分かってたことですけど。


「コロッケたち、そろそろ戻ろう!」


 身体を拭き終わった私は、さすがにそろそろ身体も冷えてきたので戻ることにして、コロッケたちに声をかけた時でした、



 どおおおおおおおおおおお「わああああ!」おおおおおおおおおおおおおおおんんんんんんん!!!!!!



「えっ?! なにっ?!」


 突然、かまくらの方からどデカい爆音とそれに紛れて蓮くんらしき人の叫び声が聞こえてきました。そして、


「な、なにあれ……」


 私の目の前には、周りの森の木よりも何十倍もの大きさの大木がそびえ立ってます。朝あんなところにあんなものは無かったのに。とりあえず戻りましょう!


「コロッケ、ポテト、ハルマキ! 戻るよ!」


 三匹にそう言って、私は素早く制服を着直して蓮くんの元に向かいました。



■■



 ◇◇レンside◇◇




 まどろみの中で僕の脳はゆっくりと覚醒していく。


「………うーー」


 この世界に来てから早起きになってしまった、それに変なとこで寝ちゃったから体がまたまた痛い。


「よっこいしょっと」


 ジジくさい掛け声をして上体を起こすと僕の上に何かがかけられてた。


「ブレザー? ああ、華憐さんのかー、かけてくれたんだ……華憐さんおはよー?」


 華憐さんにお礼を言おうと思ってかまくらを覗くと、誰もいなかった。


「どこいったんだろ?……ふあぁぁぁ……まだちょっと眠いや、顔洗い行こ」


 まぁ、コロッケたちもいないようだし、散歩でも行ったのかな? そう思った僕は顔を洗うために川に向かうことにした。


 川に向かって行く途中、川の方向からバチャバチャと水が弾く音がする。


「誰かいるのかー? …………はっ………」


 小太刀に手をかけ警戒しながら音がするほうをみると……そこは天国(エデン)でした、なんと華憐さんが、一糸まとわぬ生まれたままの姿で水浴びしています。


 コロッケたちは水面をじーーーっと見つめていたと思ったら突っ込んで、魚をとってる。


「おおー! コロッケたち魚とるのうまい! ん?え……わぁわぁわぁ! 食べられる魚の声聞こえちゃったよ………うぅー、夢に見そう……」


 今は背中を向けてるが、それでもつい抱きしめたくなるくらい麗しい姿。


 肌柔らかそうとか、真っ白で粉雪みたいだなとかついつい考えてしまう。


「………はっ! だめだだめだ!! 煩悩滅殺!!!」


 女の子の水浴びを覗くのは誘われた時以外絶対にタブーだ!! よし!!もどろう!! ………ああ、でももう少し………アカンアカン!! はあああぁぁ!!!


「……ぅぶぶ」


 僕は己を恥じて思いっきり頬を殴り、来た道を戻ることにした。


「ああ……やっぱりちょっと惜しいことしたなぁ……」


 戻ってる途中早くも少し後悔しながら歩いてると、

 なんとなく昨日「家育て〜〜」って、念じた柿ピーを植えた湖の島が視界に入った。


「え、芽ででるやん……」


 おもわず関西弁でびっくり!! だって植えて一日ってはやすぎん??


 湖の島に泳いで渡っていく、うぅ……冷たい、はやく橋かけよう……。


「わぁお、ほんとに芽が出てるよーーーん?」


 僕はこの時ある映画のワンシーンを思い出していた、そう、あの、夢だけど夢じゃなかった!


 そう思ったときにはもう身体が動いていた、畑の周りをのびのびダンスしながら畑の周りを回る………。



 回る………



 回る…………


「夢だけどぉー!! 夢じゃなかったぁぁー!!!」


 セリフも言っておこう


 回る回る回る

「夢だけどぉー!! 夢じゃなかったぁぁー!!!」


 回る回る回る

「夢だけどぉー!! 夢じゃなかったぁぁー!!!」


 回る回る回レ

「夢だけどぉー!!夢じゃ………回レ??」




 回レ回レ回レ回レ回レ回レ回レまーわーレっ♪派手に花弁散らすようにー♪♪

 回レ回レ回レ回レ回レ回レ回レまーわーレっ♪髪をふーり乱して♪♪




 僕は回った、それはもう目が回りすぎるくらい回った、それに歌った、そのうちのびのびダンスも加えてのびのびしながら回って踊った、何分そうしていただろう、その時は突然訪れた。





 どおおおおおおおおおおお「わああああ!」おおおおおおおおおおおおおおおんんんんんんん!!!!!!






 富士山が大噴火したかのような大音量が響いて僕の叫び声はかき消された。


 僕はいつの間にか湖に落ちていて、パニックでなかなか水面に出れない、溺れてる。


「ぶはぁっ!! え、えええええええぇぇぇぇ!!」


 やっとの思いで水面に顔を出したら目の前にはでかいでかいでかすぎる巨木があった。


「蓮くん!! どうしたんですか!!!」


 華憐さんが戻ってきたみたいで僕を呼んでますが僕はパニックでそれどころじゃありません。


「がおおおー!!」


 コロッケの声がしたかと思ったら近づいてきて、僕を陸まで運んでくれた。


「蓮くん!! 大丈夫ですか?!」


「え? あ、ああ、大丈夫?」


 何がなんだよくわからなくて、僕は華憐さんに聞き返しちゃう。


「はい、私は大丈夫です! 大丈夫じゃないのは蓮くんですよ!! これでもくらえ、、えぃっ!!」


 ぺちいぃぃん!!


「ぶえぁっ!!」


「大丈夫ですか??」


「あ、うん、大丈夫だよー」


 僕は相当パニックになってたみたいで華憐さんに引っぱたかれた、ほっぺいたい………でも、なんとか冷静になれた。


「で!! すっごい音したけどあれはなんですか?!!?」


 びしぃ!!っと華憐さんが巨木を指さします。


「えーーと、家? かな??」


「なんで疑問形なんです?!」


「いや、僕も何が何だかさっぱりで……」


 僕は華憐さんに何が起きたのか全て話した、うっかり水浴びのことまで話しちゃって、さっき叩かれた反対側のほっぺもひっぱたかれた………いたいよぅ………。


「はぁ、まったくもう! 覗かれてたなんて! あ、でもこれでおあいこ……?」


「おあいこ??」


「なんでもないです!!! で、あれは蓮くんがと〇ろと、雪〇花をやったから起こったんですか、」


「はい、たぶんそうです」


 僕はほっぺを抑えながら言う。ううう、いたいよぉ……。


「そうですかそうですか………」


「華憐さん?? どうしたの??」


 華憐さんが突然俯いた、どうしたのかな?


「………わああああああぁぁぁ!!! すごいすごい!!!! でっかあああぁぁい!! 異世界だね!!!異世界だよ!!!蓮くん!!!」


「え、う、うんそーだねー」


 華憐さんがいきなり叫び出す。そうだったね、君、こういう異世界でありそうなもの好きだもんね。何となくわかってきたよ。


「すっごおおおおおい!!! おおきいねぇー!おおものだねぇー!!!」


 華憐さん、感激のあまり語彙力低下??


「私!! こういうのは見るの夢だったの!!!」


「は、はぁー、さいですか」


 華憐さんって夢多いよなー、まぁ夢は大きくしっかりと!がいいしね。


 それにしても、ほんとに大いなーー、上を見るの首が痛くなっちゃうよ、どれくらい大きいんだ?? 滝と同じくらいかな??


「蓮くん! 近く行ってみよう!!」


「はいはい、わかったよーー」


 僕はヒリヒリするほっぺを抑えながら華憐さんに続いた。


「あっ、私泳げないんだ! 」


 泳げないんかーい。




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