67話 カレーのルー
今日は先週と同じで4時間ごとに6回投稿します
「では、お姉様、レン様、カレン様、それとみなさん一泊二日だけでしたけどありがとうございました」
「いえいえ、それはいいんだけど本当にあと一日休まなくて大丈夫なの? 飛行って疲れるんじゃないん?」
「大丈夫です、一応ここまで飛んできましたし」
「んー、そっかー、じゃあ気をつけて帰れよー」
「ルーシィちゃん、もし良かったらまた来てね!」
「ルーシィ、お父様とお母様にしっかりとお手紙渡してね」
「はい、お姉様! それではみなさんまた会いましょう! さようならー!」
ルーシィが飛び去っていく。
ルーシィはお母さんとお父さんに姉の無事を早く伝えたいらしく、一晩だけ泊まって帰ることにしたらしい、もう一日くらい泊まっていけばいいのに。
せっかちな人だなぁー。
いつかまた来てもらいたいね!
「あなた達は本当に帰らなくてよかったのかしら?」
「はい、私たちはクルア様の侍女ですから、主のそばに居るのは当然です、なのでクルア様がここに住むなら私たちも住みます」
「そう、ありがとう」
そう、鬼人族のクルアの侍女たちはここに残ることにしたらしい、もともとクルアの侍女でルーシィと一緒にいたのはクルアを探すためだったとかなんとか。
「でも、一応ここの主はレンってことになってるから、お世話をするのはレンが第一優先でいいわよ」
「いやでも、この人達はクルア専属のだったんじゃないの?」
「そうだけど、そういう誰がここのトップかどうかっていうのは大事なことよ、だからレンが第一優先」
まぁ、そういうものか、最近人数増えてきて料理とか大変だったし手伝ってもらおーっと。
ん? 鬼人族の人達よくよく見ると一人だけ光る蕾を持ってる人がいるな侍女長の人かな?
「オリアさん、ちょっとこっち来て」
「オリアでお願いします、レン様」
「わかった、今からなにか変化があるかもしれないけど悪いことじゃないから驚かないでね」
僕はオリアに手をかざして『開花』の能力を使う。
僕の髪の毛が金色になって赤金色のオーラがオリアに纏って消えた。
サイカみたいな変化はなかったけど、僕が見える光の蕾はしっかりと咲いているので大丈夫だろう。
「蓮くん、オリアさんになにか見つけたの?」
「うん、何かの才能を見つけたから開花した」
「あの、主様、今何をなさったのでしょう?」
僕はオリアにやったことを教えて上げる。
「なるほど、たしかに主様は神気を使えるのでしたね、ありがとうございます」
「とりあえず、君たち侍女は僕のお世話係ってなってるけど、クルアと華憐のこともよろしく頼むよー、僕の時は食事当番が僕だからそのときに沢山手伝ってくれ、人数多くてエルフと僕だけじゃ大変なんだよー」
「はい、かしこまりましたご主人様」
「うん! これからよろしくね!」
こうして鬼人族が仲間になった。
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さて、今日はもうひとつやることがある。
昨日植えたカレーのスパイスの畑。
たぶん芽が出てるから『開花』させようってことになった。
昔から柿ピーで植えたやつは一日で芽が出るんだよなー。
そんなこと思いながらスパイスの柿ピーを植えたところに到着。
「やっばり一日で芽が出るよなー」
「レン様、また神の豊舞を踊るのですか?」
僕達が畑のところに集まってたから畑仕事してるエルフたちがなんだなんだと集まってきた。
なんかいつの間にか僕がふざけてやったのびのびダンスが神の豊舞って名前になってるんだけど神格化しすぎじゃない?
エルフたち、やりたいのかな?
「えーと、やりたい??」
「はっ! もちろんでございます、日々踊り続けて上達しましたうえ是非見て頂きたく」
まーじか、まぁいっか、いつもやってるしなー
「いーよ、じゃあ見てるから踊ってみて」
「はっ! よしみんな踊るぞー!」
「「「「「おーーー!!! 」」」」」
スパイスの柿ピーを植えた畑に並ぶエルフたち
「蓮くんちょっと楽しんでるでしょ」
「いやだって、面白くない? 僕がふざけてやったことが神の豊舞になってるんだよ?」
「でも、当初私たちが来て初めてめにした時は実際に神秘的でそのように感じましたから」
「ねぇ、神の豊舞ってなによ」
「ああ、そっかクルアはまだ一度も見たことないもんね」
華憐がクルアにのびのびダンスのことを説明してる。
いやー、まぁしかし思い込みって怖いな、もう今更エルフさんたちに「あ、それ、なんの意味もないよ」なんて言えないよ。
「レン様ー! 皆様ー! 始めていいですかー!」
「どーぞー!」
エルフたちが踊り始めた。
「「「「夢だけどー! 夢じゃなかったー!」」」」
うーーーん、キレッキレだな、足の爪先から指の先までしっかりの伸びて、縮めてってやってる。
「「「「夢だけどー! 夢じゃなかったー!」」」」
いつの間にかリザードマンとか、折り鶴たちも増えてるしなぁー
どうしよう、ここが大きくなって参勤交代みたいになっちゃったら。
「「「「夢だけどー! 夢じゃなかったー!」」」」
5分くらいやった。
もーいいかい? まーだだよ? わかったよ。
10分だった、そろそろいいよね? 新参のリザードマンとか疲れちゃってるし。
「じゃあ、開花するね……『開花』!!」
僕が能力を使うと、僕の髪が金髪になり、オーラが芽に吸い寄せられていき成長して、木が生えた。
「「「「おおおおおー!!!!」」」」
エルフたちは大興奮。
えっ?! 木?! まって、スパイスじゃないよ?! え、なんかデジャブ……
僕は大混乱。
「蓮くん、大事な柿ピー、なんて願って植えたんですか?」
はっ! 冷たい視線、華憐さん怒ってらっしゃる。
「まってまって!! 今回はちゃんと植えたよ!! カレーのルーくださいって!!」
うん、過去を振り返ってもニギリメシコシヒカリの二の舞になどならんって思ってしっかりと欲しいものを頭にうかべて願ったはず。
「蓮くん、ばかぁ? ルーって願ったらスパイスの材料じゃなくてカレーのルーその物が育つに決まってるじゃん!!」
「え……? 」
「え? じゃなくて! まったくもー、やっぱり、次からなにか植える時は私が植えるから!」
「はい、すみませんでした」
とりあえず、育った木を見に行くことにした。
木は、まぁ見た目は普通の木みたい、見た目はね?
まずこの木カレーの匂いがぷんぷんする。
多分葉っぱが匂いを放ってるんだと思う。
次に実なんだけど、茶色い、形こそ丸いけどおもっきしカレーのルーだ、スーパーとかに売ってるみたいなやつ。
あと樹液、これもカレーのルー、こっちはドロドロ、この木が下痢してるみたい、え? 汚い? ごめんなさい。
「と、とりあえず、カレーは食べられるようになったから結果オーライじゃ……だめ?」
「蓮くん、柿ピーは私が預かっておきます」
「あ、はい」
僕は柿ピーの瓶を華憐に渡す。
このあとはみんなでカレーを食べた。
ミーナがマヨネーズぶっかけて美味しい美味しいと食べてるのがすごく印象に残った。




