66話 クルアとルーシィ
私とルーシィは今一緒にお風呂に入ってる。
レンとミーナが急いで洗ってくれた。
ルーシィはお風呂にちょっと戸惑い気味、暑いの苦手だものね。
なんだか私がここに来たばっかの時もこんな感じだった気がするわ
「ルーシィ、お風呂気持ちいでしょ」
「はい、お姉様、でもちょっと熱いです」
「まぁ、最初はね、でも毎日入ってると、入らなかった日は気持ち悪いわよ」
「そんなもんですか、それにしてもこの家はすごいですね、設備が一体どんな魔術回路をしてるのでしょう」
あら、やっぱり姉妹ね、私も最初気になったのがこの事だもの。
「レンが作った家だからね、わからないわ」
「あの人は、何者なんでしょうか?」
「んー、私にもわからないわ、でもレンは優しい人よ、あと血がとっても美味しいの」
「え?! お姉様、レン様の血を吸ったのですか?」
「ええ、助けて貰った時に貰ったわ」
「それにしては魅力にかかってる様子ではありませんでしたが」
ああ、そっか、吸血鬼が普通の人間を吸血したら魅力状態になるんだったわね、すっかり忘れてたわ。
「レンに魅力は効かないのよ」
「そんなんですか? なんで効かないんでしょうか」
「んー、私も考えてみたけど結局分からなかったわね、一応快楽は感じてるみたいだけど」
「あ、そういえばこんな話を聞いたことがあります、吸血鬼の魅了はすごく想ってる人がいる人には効果がないって」
すごく想ってる人か、ありそうね。
レン、ミーナが迫ったときも私が迫ったときも一切手を出そうとはしなかったし、でもカレンが言うには昔は女がいたこともあるから男色でもない、枯れてる訳でもないし、
それならその相手は誰なのかしら? カレン? 一番ありえそうだけど……
「お姉様、お姉様!」
「ん? なにかしら」
「お姉様のレン様に対する気持ちは分かりましたし、連れて帰るのは諦めるので、一度だけでいいですから帰ってきてください、お姉様のお荷物とかも向こう置きっぱなしでしょう?」
まぁ、それもそうね、いつまでも顔を見せないってのもね
「わかったわ、ただライドルフだけは……」
「あはは、はい、わかってますよ、お姉様は本当にライドルフ様が苦手ですね」
「なんか無理なのよ、ギザったらしいところとかきついわ」
ライドルフ=フォン=ナイトメア、私の婚約者候補。
私は結婚なんてあまりしたくないのだけれど、この人は私の親が勝手に決めた許嫁みたいなものでめんどくさいのよね。悪い人じゃないのだけれど、今の私の想い人はレンだし。
「ライドルフ様には、お姉様には婚約者ができましたって伝えておきますね」
「ええ、それでいいわよ」
「でも、お姉様、まだレン様落とせてませんよね?」
「うぅー、しょうがないじゃない、ミーナもカレンも可愛いのよ」
「一夫多妻制なのですから全員娶ればいいのでは?」
「そうだけど、正妻の座は譲れないじゃない、そういうルーシィはどうなのよ」
「私ですか? 私はお姉様が知ってる通りヘルネス様と婚約しました」
「あら、そうだったの、おめでとう」
「ありがとうございます、そろそろあがりませんか? 私のぼせちゃいそうです」
「そうね、上がったらすごいわよ、レンが張り切ってたから凄く美味しいものが食べられるわ」
「それは楽しみですね!」
私たちはお風呂をあがって、食堂に向かいました。
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「「「「「お帰りなさいませお嬢様方!」」」」」
食堂にいくとオリアたちとカレンとミーナがフリフリのエプロンミニスカートみたいな格好で待っていたのだけど。
「何してるのよ……」
「クルア、メイド喫茶だよ」
「メイド喫茶?」
「まぁ、細かいことは気にしないの、どうぞおすわり下さい」
そう言って椅子を引いてくれるカレン、なんだかカレンにやられるとむず痒いわね。
「お嬢様方、本日はオムライスがオススメとなっております、というかオムライスしかないのでそれにしてくださいね」
カレンがそう言うと、奥からお皿に乗せられた黄色い何かが持ってこられた。
これがオムライス??
「クルアさん、ケチャップ失礼しますね、なにか絵のリクエストはありますか?」
ミーナが聞いてきます、絵を描くのかしら?
「なんでもいいわよ?」
「なるほど、レン様への愛ですね!わかりました」
この子いつも思うのだけど話聞いてるのかしら?
ミーナが最近食卓に並ぶようになったケチャップでハート大きく書いて真ん中にレンって書いた。
なんだか食べるの恥ずかしいわね。
ルーシィのほうはカレンがシスコン?って書いてる、どういう意味かしら?
ルーシィも何書かれたのかわかってない様子、まぁカレンとレンの意味不明な行動は今更だけど……
「それじゃあみなさん練習通りにやりますよー、さんはいっ!」
「「「「「美味しくな〜れ、萌え萌えキュンっ!!」」」」」
「では、お召し上がりください」
やっぱりカレンはアホなのね、私はもう慣れたから受け流せるけど、ルーシィはまだ何が起きたかわかってない様子。
まぁ、頑張って慣れて!!
「いただきます」
私はオムライスをスプーンですくって食べてみる、ルーシィも恐る恐る食べていた。
「ん、おいしいわ」
「お姉様! これなんですか?! トロトロしててふわふわしてて、上にかかってる赤いソースがとっても美味しいです!」
ルーシィにはお気に召した様子、いつも気品高く振舞ってるけどこうしてみるとまだまだ妹って感じね
「ルーシィ、よかったお口にあったみたいでー」
「はい! レン様、美味しいです!」
「二人でこれからどうするか話は着いた?」
「それは私が勝負に負けたからもう決まってましたが、伝えたいことは伝えましたので大丈夫です」
「そう、それはよかったー」
「はい、お気遣いありがとうこざいます!」
「それとクルア、家族は大切にした方がいいよ、僕と華憐とミーナはもう会いたくても会えないんだから、ちゃんと安否くらいは知らせてあげなきゃ」
「そうね、寝る前に手紙を書いておくわ」
「うん、それがいいよー」
レンはやっぱり優しいわね、だからあなたのこと欲しくなっちゃうのよ
このあと、部屋に戻って今日はルーシィと寝ることになりました。




