64話 クルアの妹と侍女たち
僕は華憐に事の経緯を話して連れて来て、みんなで食堂に集まった。
そろそろいい加減、会議室か応接室か作ろう。
「じゃあとりあえず、自己紹介からやるかー」
僕は席に座るみんなを見回す、反対意見はなさそう。
「じゃあ、まず僕から……ゴホンっ、オッス! オラ雨宮蓮! ワクワクしてくっぞ!! 次、華憐ね」
「えっ! 蓮くんそんな感じで行くの?! うーーん、うーーん、あっ! にっこにっこに〜 あなたのハートににっこにっこに〜 笑顔届ける塔野華憐にこ〜♡」
おおう、華憐はそのチョイス出来たのか……しっかり振り付けもしてるし、てか恥ずかしいならやるなよ、顔真っ赤だぞ。
「お姉様、あの方たちはどうしたのですか?」
「ルーシィ、いつもの事だから気にしたらダメよ」
なんだ、いつもの事って、いつも孫○空してないけど、まぁたまにスーパーサイ○人みたくなるけどさ。
「あ、じゃあ、次は私が……えーとえーと……す、すみませんレン様、カレン様、何も思いつきません……」
「い、いや、ミーナ別に変なこと考えなくていいんだぞ? 悪かった、変な流れ作って悪かったから普通にしてくれ!」
「そ、そうですか? なら普通に、私はハイエルフのミーナです、よろしくお願いします」
うん、やっぱりミーナは華憐に毒されてる気がする。
「私はべつに名乗らなくてもいいわよね、レン、カレン、ミーナ、紹介するわ私の妹と侍女よ」
クルアが僕達の正面に座る人たちを紹介してくれる。
「よろしく、私はルーシィ=フォン=スタッド、スタッド家の次女でクルアお姉様の妹よ」
まぁ、そうだよなー、同じ髪色だし貴族然とした格好だし。
「よろしくお願いします、わたくしはクルア様お付の侍女長、鬼人族のオリアといいます」
鬼人族?? ほんとだー、確かに額に二本の小ぶりの角がある。
それから、他の侍女たち6人も自己紹介してくれる。
オリビア、アイシャ、メリッサ、ビアンカ、ジネヴラ、イネスという名前、なんかヨーロッパな感じがする名前ばっかりだなぁー
「それじゃあ、まずはレン達のことから話すわね、ルーシィ、レンたちは……」
クルアがルーシィに僕達のことを話してくれる。
僕達とここに住んでることと、僕とクルアがダンジョンで会ったこと、そのとき僕がクルアの命を助けてダンジョンを制覇、そのまま一緒に住むことを決めたこと、などなど
「家に帰らなかったのは悪かったわ、でも向こうは居にくいのよ、レンたちといると毎日楽しいから帰る気にはならない、そのうち手紙でも書くわ」
「とりあえずレン様、お姉様を助けてくださって本当にありがとうございます、先程の無礼をお許しください」
「まぁー、別に気にしてないからいいよ」
「ありがとうございます。お姉様、お姉様のお気持ちは分かりましたが、やはりダメです、どうかお帰りください」
「嫌よ!」
「お姉様!!」
あー、これまたさっきの二の舞になるんじゃ……止めるかー
「なぁー、とりあえずルーシィさんたちはなんでここに来たんだ?」
「ルーシィでいいですよ、私たちは……」
ルーシィからの説明によると、クルアはダンジョンに行くことを誰にも言ってなかったせいで失踪ということになったらしい、それで3ヶ月間ずっと探していてついに見つけたってことらしい。
「そらまー、連れ帰りたくもなるか、行く先伝えなかったクルアが悪い」
「だ、だって、ダンジョンに行くなんて言ったら止められるもの」
「はい、クルアさんのお気持ち分かりますよ、私もどこか行きたいと言うといつも止められましたから、それでルーシィさん、ライドルフって誰ですか?」
「ミーナ! 今はその話はいいでしょ!」
「良くないです! 大事な話です! ルーシィさん!」
「は、はぁ、ライドルフ様は吸血鬼族の王族の方でクルアお姉様の婚約者候補です」
へー、やっぱあるんだなー政略結婚、クルアも僕と同い年くらいだから婚約者いてもおかしくないのかー
「ほら、カレン様聞きました? クルアさん婚約者いるみたいです」
「みたいだね、すごいね、婚約者なんてクルアほんとに貴族だったんだね」
「ミーナ! だから違うって言ってるでしょ! 私はレンが好きなの! あんな男知らないわ!」
うーーん、嬉しいけどそこで僕の名前を出さないで欲しいなー、答えるつもりないし、あとルーシィが僕のこと睨んでくるから。
「お姉様! いくらお姉様でもそんなわがままは通じませんよ! 貴族としての責任があるんです、どこの馬の骨とも知らない人に嫁ぐなんて許されませんよ!」
「レンはここの種族たちの主よ! 十分に嫁ぐ価値があるわ! とにかく私は帰らない! レンのそばに居るわ!」
「なら、レン様と闘って私が勝ったらお姉様には帰ってきていただきます」
え? 今僕が闘ってとか言わなかった?
「いいわよ、レンは強いからあなたくらいには負けないわよ」
良くないよ! 僕が良くないよ!
「おいおーい、クルアさんや僕を巻き込まないでくれー、てか僕の意見は?」
「じゃあ、決まりですね。レン様、覚悟してください、お姉様は返して頂きます」
「レン、手加減なんてしたらダメよ」
「カレン様、なんだか面白くなってきましたね!」
「う、うん、そうだね!」
「じゃあ行きましょうか」
みんな席を立ち上がって外へ出ていく。
僕は一人部屋に残されて……
「僕、みんなに無視されるくらい嫌われてるのかなぁ……」
みんなに無視されて落ち込んだ。




