60話 リザードマンについて
中ホールにはリザードマンが30人いる。
小ホールの裁判セットのところでもよかったんだけど流石に人数が多いからこっちになった。
今からリザードマンたちに仕事内容と注意してもらいたいとこなどを伝えるために集まってもらった。
一応、獣人族の人もいるが彼らは客人として扱うことにした。
だから、部屋はホテルじゃなくて僕達みたいに一部屋を貸し与えた。
少し滞在してから里に戻るらしい。
ザリュさんもガルさんもここに来るまで巨木な我が家の設備に驚きまくっていた。
そんなに珍しいのかな? エレベーター
さて、そろそろ始めるか。
僕は即席で作った木の朝礼台の上に乗ってパンパンと手を叩く。
みんなの視線が僕に集まった。
僕は大きく息を吸って、勢いよく腕を突き上げた……
「ニューヨークに行きたいかぁぁぁーー!!」
「………………レン様、ニューヨークとはどこですか?」
「ちっがーーーう!! 『ニューヨーク行きたいかーー!』って言ったら、『おーーーう!!』だろー!!」
「ぶっ……」
あ、待ってデジャブ、前もこんなことあった気がする!
てか、華憐知ってるなら乗っかってよ!
「まぁ、いい、もう1回! …………ニューヨークに行きたいかぁぁーー!!」
「「「「「お、おーーーう!」」」」」
「気合いが足りないぞ! もう1回! ニューヨークに行きたいかぁぁぁーー!!」
「「「「「おーーーう!!!!」」」」」
うん、まぁさっきよりは良くなったかな? これから頑張って欲しいね。
「レン様、折り鶴さんたちの時もあんなことしてませんでした?」
「ねぇカレン、レンって毎回あんなことしてるの?」
「蓮くんアホだから……」
そこっ! 聞こえてるからな!! 目をそらさない!!
僕は三人娘に目を向けると、ばっ!! っと明後日の方向に視線を逃がしよった。
「えーと、リザードマンの皆さんには基本的に鶏の世話と生簀を作りたいからそれを任せたい」
まぁ、やっぱりリザードマンって言ったら水場関係な気がするしね、鶏は自分たちで持ってきたんだし大丈夫だろう。
「鶏に関しては鶏舎を見たらわかる通り沢山育てたい、だから当分は増やすことに専念して貰いたい、生簀に関してはのちのち要相談、あとは野菜とかの収穫に手伝ってくれればいい、何か質問はある?」
「質問よろしいですか?」
僕が質問の有無を聞くと、ピシッとひとつの手があがった。
うーーん、たぶん声からして女の子なんだろうけど顔の見分けがつかん、なにか目印になるものでもつけさせようかな?
とゆうか彼女? なにか光る蕾が見えるんだけどなんだ?
「どうぞー?」
「私はもちろん鶏の世話もできますが、戦闘のほうが得意です、なのでそういう職のほうが活躍できるのですが……」
ああ、なるほど、適材適所の方がいいかもか、エルフの人たちも基本的にみんな建築とかできるけど戦闘とかが得意な人もいるみたいだしな
というか、そろそろ人数も増えてきたし色々組織化した方がいいかな? 後で華憐たちと話し合おう。
「おーけーおーけー、言いたいことはわかった、とりあえず、そういうのもそろそろ考えようと思ってたから少し待っていて欲しい、それと君あとで僕のところ来て、他に質問ある人ー?」
「はいっ!」
子供のリザードマンが手を挙げた。
子供を見て思ったんだけど、リザードマンって爬虫類だから卵生? あとで、ザリュさんに聞くか。
「はい、きみ!」
「鶏、勝手に食べちゃダメなの?」
「食べてもいいけど、僕が料理した方が何倍も美味いぞー? 異次元の美味しさを味あわせてやろう」
「ほんと?」
「本当だよ、だって料理の才能持ってるもん」
「じゃあ、楽しみにしてるね!」
「覚悟しとけよー、美味しすぎて溶けるからなー」
もう質問はなさそうだったから、解散を命じた。
それから僕が呼んだリザードマンがやってきた。
「レン様、私に何か用ですか?」
「ああ、『開花』しようと思って」
「開花? なんですか?」
「君の中に光る蕾、つまり才能を見つけたから『開花』させようと思ったの」
「は、はぁ」
まぁ、何言ってんだこいつって思われるのはわかってる。
僕は彼女のほうに手をかざして……
「『開花』!!」
一瞬だけ僕の髪が金色になって、赤金色のオーラがリザードマンの女の子に纏った。
その瞬間変化が訪れた。
リザードマンの女の子の身体が光って、その光が収まった時、人間の女の子がいた。
「え? なんで?!」
近くにいた華憐たちもみんな同じ反応。
というか、女の子が一番口をパクパクして驚いてる。
女の子はベリーショートの青髪で腕やうなじには鱗っぽいものが着いてる。
「おお、サイカ、進化したのか!」
黒色リザードマンのザリュが来た。
進化? リザードマンって進化するの? てか、サイカっていうんだ名前
「華憐、鑑定してみて」
「うん、ちょっと待ってね ……『鑑定』!!」
リザードマンの定義ってなんなのだろう? 人なのか魔物なのか、進化するってことは魔物なのか? ていうか、ザリュさんはハイリザードマンじゃなかった??
「蓮くん、サイカちゃん、リザードマンじゃなくてドラゴニュートって種族になってるよ」
「リザードマンって進化したらハイリザードマンじゃないのか??」
「あー、レン様、サイカは私の子なんだがちょっと特殊でな……」
ザリュさんの話によるとサイカはザリュとザリュの奥さんの竜人族の間にできたハーフらしい、だから進化したらハイリザードマンじゃなくてドラゴニュートになったとか。
てか、ザリュさんの子なのかよ!
「いやー、しかしサイカ、お前はあの人に似て美人だな!」
お父さんと全っぜん似てないけどね! トカゲ顔と人の顔だから親子なのか全然わかんないよ!
「なぁ、リザードマンって魔物なのか? それとも人なの?」
僕は華憐に聞いてみた。
「んー、いろいろややこしいよ、この辺の話、まずこの世界には竜が二種類いるの……」
華憐の話によると、この世界には人になれる竜と竜になれる人がいるらしい、竜人族は後者で人扱い、ちなみに神龍は竜人族。
人になれる竜、つまり高度な知識を持つ竜は幻獣種とされ魔物扱い、例はコロッケたち。
リザードマンはその幻獣種の竜と人のハーフで、つまり魔物と人のハーフだから一概にどっちとは言えないらしい、強いていえば両方。
昔々、幻獣種の竜にそれはもう性癖が悪いやつがいて、女とみたら誰でも孕ませる奴がいたらしい、そいつのせいでリザードマンという種族ができたとか。
はた迷惑な奴だなー。
「なるほど、じゃあサイカはかなりのハイブリットということかー」
「なんで、サイカちゃんだけ開花したの?」
「んー、なんか光る蕾見えたんだよ、だから」
「つまり勘ってこと?」
「そう」
ま、人も増えたしこれからも賑やかになっていきそうだなー。
僕は羽を生やしてパタパタさせてるサイカを見ながらそう思った。
今思ったけどリザードマンって寝る時尻尾どうするんだろ?
リザードマンの謎はきっと一生解明されないだろう。




